第43話:プラネタリウム


「ジュース買っといたよ♪」



「コウちゃん気が利くね♪」



「あやかちゃんは、紅茶ね」




「うん、何かついてるね?」




「おまけ?」




「あ、かわいい♪携帯につけちゃお♪」




そっこう、おまけを付けちゃうあやかちゃんが、何だか可愛い。




今日は、7月下旬の土曜日

車で1時間半ほど離れた郊外でおこなわれる花火大会に、

あやかちゃんと行く約束をしていた



「今日、晴れてよかったね~~♪」



「うん、ねえねえ、今日の格好どう思う?」



「え、可愛いよ。首もと変わってるね?」



「ホント、可愛い~?なんか、お母さんに出てくる時に”変”って言われた」



「や、そんなこと無いよ。可愛い、可愛い。ちょっと首もと変わってるけど。ひらひらしてる?」



「ちょっとレトロな感じでしょ♪あ、でも何だか今日の私、古いかも・・・」



「や、古くないよ。携帯電話とかに、ジュースのおまけが付いてるけど、古くないよ」



「コウちゃん、本当は古いと思ってるでしょ?」




っと、会話しているうちに道路が少しずつ込んでくる




「あ~、そろそろ花火渋滞だね~」



「うん♪横の人浴衣着て運転してるね~」



「あ、本当だ」




ゆっくりペースだが確実に進んで行き、

1時間半後に花火大会の開催場所近くまでたどり着いた


辺りには、浴衣を着た人たちが多く歩いていた



「あ、あの子の浴衣可愛い~♪」


あやかちゃんは、浴衣を見てはしゃいでいる


自分は、車をとめる場所を探しながら運転していた



「う~~ん、なかなか無いなぁ」



「そうだね~、どうするの?」



「ちょっと、住宅街にいってみようか?案外、とめれるかも?」



「うん♪」



ってことで、住宅街に入る。皆も同じ考えのようで 結構、車がとまっていた

その一角に空いている場所があった



「あ、ここ空いてるじゃん。ココにとめよっと」


と、車を止める自分



「あやかちゃん、そっち出られる?」



「うん、なんとか出れるよ」



「あ、そうだ、ビニールシートを持っていこうかな」



後ろのトランクからビニールシートを探す自分



「確か、この辺にあったと思ったけど・・・?」」


物が乗りすぎていて探すのに苦労していると、あやかちゃんが道路整理?の係りの人に話しかけられていた



「コウちゃん・・・」

あやかちゃんが自分の背中をポンポンとやる



「あ、すみませ~ん。ちょっとここにとめるのは・・・」

係りの人が、自分に注意をしに来たようだ



「あ、ここマズイっすか?」



「えぇ、ちょっとここは・・・」



「あ、そうですよね。すみません、とめ直しますよ

でも、正直、空いてないんですよね~~お兄さん、どっか知りません?」



「そうですね・・・」

っと係りの人が、地図を見せてくれた



「ここですか?」




「えぇ、ここなら指定の駐車場スペースになっているんですけど・・・」




「でも、ここ、この時間じゃ空いてないっすよね?」




「あぁ、多分・・・。どうかな・・・」

係りの人も自信無さげだ



「ですよね~。じゃあ、お兄さん。あっちの方とかってどうですか?

 あっちの方にとめれば、お兄さんも迷惑じゃないですよね?離れるから?

 で、とめる所が無くて駄目だったら、お兄さんの言う所を見てきますよ」



「あぁ、そうですね」




「じゃ、」



「あ、良かったらこの地図使ってください」



「え、いいんですか?一枚しか無いんじゃありません?」



「あ、良いですよ」



「あ~すみませんね。じゃあ、どーも」



ってことで、あやかちゃんと車に乗って、係りの人から離れた所に

何とか一台分のスペースが空いていたので駐車をした




「コウちゃんってすごいね~」

車を降りた、あやかちゃんが何故か自分を褒める




「え?何が?」

?の自分



「さっき、係りの人に注意されたのに、なんか堂々としてて」




「あ~。え、普通に話してただけだよ?」



「うんん、私、ああやって注意されると何も言えなくなっちゃうもん」



「あ~、そっかそっか。仕事で営業してるから初めての人でも話せるからかな・・?」



「うん、コウちゃん処世術が上手なんだね♪」



予想外のことで褒められる自分

でも、あやかちゃんに褒められるのは、素直にすごく嬉しい♪



しばらく、人の列に添いながら歩く2人

途中、コンビニがあったのであやかちゃんがお手洗いに行く


その間に、飲み物とちょっとしたお菓子を買う



「ごめんね~、ちょっと込んでたよ」




「いいよ、いいよ♪だんだんと日が落ちてきたね~。あっちの方、キレイな夕焼けだよ」



「ホントだぁ♪」






そしてしばらく歩いて、池の近くに陣取る2人

座るのにちょうど良い、岩もある




「ここ、見えるかなぁ?」

あやかちゃんが、わくわくしながら自分に聞く



「大丈夫じゃないかな?ここなら」

っと自身ありげに言う自分



「ホントに~?コウちゃん信じるよ~」

ちょっと疑いの目で見る、あやかちゃん



「や、マジで自信あるってっ」

っとちょっとムキになって自信をアピールする自分



さっき買った、飲み物やお菓子を食べながら待つ2人

途中で、屋台とかに行きたかったのだが、何故か無かった・・・










そうして、一発目の花火が上がった・・・







ドンッ!







って全然見えないっ!ヽ(´Д`;)木が邪魔っ!






「コウちゃん、見えないよ~」

不満げに言う、あやかちゃん



「あ、ごめん。見えんかったよ(苦)あっちにいこ」

さっきの自信はいったい・・・

(´ε`;)ウーン…





でもまだ、開始の花火のようで、次が上がらない。

そのスキにっと、あやかちゃんの手を引き邪魔な木を抜ける。

そこは、ひらけた芝生になっており、人も少ない


っと


ヒューーーーーーン

ヒューーーーーーンヒューーーーーーン


ヒューーーーーーン

ヒューーーーーーンヒューーーーーーン

ヒューーーーーーン




ドンッ!ドンッ!

ドンッ!

ドンッ!ドンッ!ドンッ!


ドンッ!ドンッ!ドンッ!







っと、2人で見上げた、空一杯に

綺麗な花火が広がった











あやかちゃんと見た花火は、とてもとても綺麗な花火だった












「第44話:泣き虫」

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