第39話:温かい背中

中華料理屋さんの横に、街を見下ろせる大きな高台がある


自分たちはその高台の階段を登っていた




「あ、すごく綺麗だね~♪」

綺麗な夜景を見たあやかちゃんが少しはしゃぐ




「うん♪ってあれ?ここも来た事無い?」




「うん、無いよ~。だってこっちの方、全然用事無いもん」




「そりゃそうか・・・」

なんか、自分がこの年にもなると、この街の大抵の所には行っている

あやかちゃんも自分より”学年”は1コ下だけなのですぐ聞いてしまう





実はちょっとその時、何気なくあやかちゃんと手を繋いでいた




夜の風が少し冷たいけど、もうすぐ7月




とても気持ちのよい夜




手を繋ぎながら、高台を歩く二人







やっぱり、カップルにもってこいの場所だけあって、周りもカップルだらけ


いちゃいちゃ、ラブラブな感じ・・・







「あやかちゃん、あそこで座ろっか?」

大きな岩のような所を指差して言う自分




「うん、いいよ~♪」




そこの岩に近づく二人




「って、この岩座れないね~、斜めだね」

近づくと、座れるような岩じゃなかった



「そうだね。あ、でもここからの景色も綺麗♪」

そう言って、笑顔を自分に向けるあやかちゃん





バックの夜景にぼかしがかかり、手前にいるあやかちゃんにピントが合う








込み上げてくる、愛おしさ感・・・








気がついたら、あやかちゃんを両腕で抱きしめていた





「コウちゃん・・・」

あやかちゃんの手も、自分の背中を包む









時間が流れる







遠くには綺麗な夜景










・・・・。











シクシク・・・














あやかちゃんが、何故か泣いている・・・?




「あやかちゃん、大丈夫?」

何で泣いているのかわからず、変な聞き方をする自分





「うん・・・。ごめんね」





「どうした?」






「うん。コウちゃんの背中がとっても温かくて、泣けてきちゃった」

涙を浮かべながら、笑顔で言うあやかちゃん







「そっか・・・」










また強く抱きしめる自分



















しばらく、抱きしめ合った自分達


あれ?ラブラブ?っと勘違いしそうになる自分





高台の中央に行く


そこには、平たい座れる場所があり、360度夜景が見える


その一角に座る自分達




「風が気持ちいいね~♪」

さっきまで泣いてたあやかちゃん




「うん、涙はひいた?」




「ひいたよ~、また泣いちゃったね。ごめんね」




「いや、良いよ・・・」

あやかちゃんが愛おしくてしかたない



ゆっくりとあやかちゃんは、平たい場所にお尻をつける



何となく、あやかちゃんの後ろに回り座る



そして、後ろから抱きしめる



拒否はされない




「温かいね・・・」




また、目に涙を浮かべるあやかちゃん




「って、また泣いちゃった。ごめん。この姿勢、やだ?」




「うんん、やじゃないよ。コウちゃん優しいなって思って。」




「そうかな・・・」



「うん、で、私、何やってるんだろうと思ったら泣けてきた」



「あれ、あ、今の時間、駄目?」



「うんん。駄目じゃないよ。私が何してるんだろうと思っただけだよ」



「あ~(苦笑)」

ちょっとリアクションに困る自分








あやかちゃんを後ろから抱きしめながら、しばらく色々なことを話す二人








少し、寒くなる







「もう帰る?あやかちゃん?」



「うん・・・」




「まだ、時間ある?」




「あるよ」




「どっか行かない?」



「いいよ」




「どこが良いかな?」




「カラオケに行こうよ♪」




「あ、久しぶりだね♪カラオケ♪」





ってことでカラオケに行くことになった






「コウちゃん先に歌いなよ♪」





「あ~、じゃあこれ歌うよ。知ってる?この歌?」





「え?知らないよ?」





「そっか、今まであやかちゃんに会えなかった時に、想ってたことが全部詰まっている歌なんだ」




「そうなんだ」





「じゃあ、聞いてね♪」




「うん♪」




あの時、聞いた歌を歌った



やっぱり、自分が想ってたことや、感じたことがいっぱい詰まった歌だった・・・















「コウちゃん、その歌、ココロに染みたよ・・・・」

















「第40話:この人なんだ」

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