第23話:違う
「疲れた・・・」
2月上旬の平日
22時半頃・・・
この頃、大きな仕事を抱えていたの自分は
かなり忙しく、帰りは毎日午前様
久しぶりに22時台に帰ることが出来たので
帰ったら、あやかちゃんに電話をしようと思っていた
声が聞きたかったから・・・
いつもの帰り道を車で走り、契約している駐車場についた
当然、家では電話は出来ない
なので、電話をする時は駐車場に
とめた車の中で
車内に置いてある毛布に包まりながら
しゃべるのが定番であった
通話ボタンを押す
トュルルルルッルルッルルル
「もしもし」
「あ、あやかちゃん。」
「あ、コウちゃん?
お疲れ様~~」
「お疲れ~久しぶりに早く終わったよ」
「全然早く無いじゃん。いつも大変だね~」
初めはこんな感じで会話をしていた2人・・・
あやかちゃんは電話だと口下手だと、この頃は思っていた
良く考えてみれば、たぶん自分もあやかちゃんに対していまだに少し緊張していて
口下手になっていたのでそれが原因だと思うが
いつもなら、話が詰まってくると自分から電話を切る癖をつけていた
そうすれば、話が弾まなくて詰まらないイメージは無いと思ったから
要するに沈黙になるのが怖かった
でも、その日は妙に電話を切りたくなかった
話がしたかった
声を聞いていたかった
無理やり話題を作った
でも無理やりなので話が弾まない
弾まないはずの会話で、あやかちゃんが弾んだ会話をしてくれないので
不安になる自分・・・
冷静に考えれば当たり前
早く切ればいいのに段々余計なことを言い始め出す自分・・・
その回答に困るあやかちゃん・・・
なんとかこの雰囲気を払拭しようと懸命に頑張る
余計、落ちていく・・・
疲れていたんだと思う、この時の自分は・・・
最後にこんなことを言ってその日の電話を切った
「違う、ごめんね。
声が聞きたかっただけでこんな会話をするつもりじゃなかったんだ・・・
夜遅くにごめんね。おやすみなさい」
・・・
駐車場の中で一人、ハンドルに頭をつけ、しばらく動けずにいた・・・
「何してんだ・・・バカ」
「第24話:二日後に掛ける」
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