SS#3 メストカゲ調教記録(前編)



[時系列]結婚式後〜冒険者活動前






「ふぅっはっはっはぁっー!この頃ご無沙汰であったが遂に我の出番だな!あるじよ!」



謎の高笑い声をあげる半人半竜残念銀髪スレンダー美女の銀月龍ハリング、もといメストカゲ。



急に何を訳の分からないことを言ってるんだ、こいつ……まぁ、いいや。



「ハリング、おまえを傍に置くにあたって、いろいろと守ってもらわないといけない事がある」



断固としてねぐらに帰らず俺と一緒に居ると主張するメストカゲに根負けしたわけではあるが、それならば、この天災の塊であるメストカゲには人の社会に溶け込むために制約を貸さねばならない。


ほっとくとすぐそこら中お花畑になってしまう。



「まずひとつ。おまえの魔力は常に俺が抜き取って、ほぼスッカラカンの状態で居てもらう」


「困る」


「困るじゃねえ。素の状態のおまえが存在するだけで周りはお困りもんなんだよ」



メストカゲ周辺の春化現象は魔力を抜き取ると収まる事がわかっている。おそらくメストカゲから溢れ出す魔力の残滓が周辺に影響を与えているのであろう。



「ふむ。まあ、魔力が尽きていようとも我、強いし。あるじと共にあるためだ。致し方ない了承しよう」



まぁ、いっか。と言った具合に了承するメストカゲ。わりと軽い。


魔力が無くとも神話級のドラゴン。そもそもの個体スペックがバグっている。並大抵の攻撃ではかすり傷を付けることすら難しい。力いっぱい蹴り飛ばせば吹き飛びはするがケロリである。



「次、金輪際、人は食べてはいけません」


「なんと!?めっちゃ美味いのに!?」


「人の社会で住ごすんだ。人は仲間。仲間は食べたらいけません」


「ぬぐぉおおお……もう人は食えぬのか……我から好物を取り上げるとは……あるじはド畜生だ……」



この世の終わりとばかりにガックリと項垂れるメストカゲ。好物て。そんなに人って美味いの?まぁ確かに美少女とかめっちゃ美味いけども(性的な意味で)



「……わかった。人はダメだが、定期的にこれを食わせてやろう」



ニュるりと《変化》を使って触手を1本出した。



「む?これはあるじの体の一部?食ろうて大丈夫なのか?」


「《変化》で出した触手は俺の体の1部ではあるが魔力体だ。触手の1本や2本、食われた所で魔力が少し減るだけだから問題無いぞ」


「そういうことならば言葉に甘え、ちょっと食うて見るか」



メストカゲは差し出された触手を鷲掴み、ブチリと音を立てて俺から引き抜いた。


あっ。この触手抜かれる感覚、新体験。ヌく時みたいな快感がある。癖になりそう。


そして、メストカゲは掴んだグロい見た目の触手に躊躇すること無くかぶりついた。



「ふぅおぉおおおおおおッッッ!!!これはッ……!なんたる美味っ!めっちゃ美味!あるじこれ美味!」



ぐっちゃぐっちゃと音を立てて触手を咀嚼していくメストカゲ。触手からは謎の白い液体が飛び散り顔や胸元を汚していく。なんかぶっかけたみたいになったシコい。



「うむ!これを定期的に食えるのならば人を食らうのは我慢してやろうか!」



なんにしても触手の味に満足したようなのでよし。



「あとはとりあえず俺の言うことは聞くように」


「ふむ」


「ついでにロエちゃんの言うことも聞くように」


「ロエチャン……?うーむ……誰のことだ?」


「てめぇあろうことか我らが完全無欠のスーパーアイドル聖女のロエちゃんが誰だかわからんと?いい度胸だ。覚悟は出来てんだろおなぁ?おおん?」


「ま、待て!あ、アレだろ!えーっと……そう!我と見た目が被っている女子だろ?!」


「てめぇにロエちゃんが被ってるんじゃねぇ。てめぇがロエちゃんに被ってんだよ。丸焼きにすんぞ、このヤロウ」


「ひっ……!そ、そのように怒らんでもよいだろ……」



カタカタと恐怖に震えるメストカゲ。いかんいかん聖女ちゃんの事になると如何せん沸点が低くなる。


危うくメストカゲを串刺しにして地獄の業火で強火でカラッと上手に焼き上げるところだった。落ち着け落ち着け。


なんにしてもメストカゲは俺以外のことに対して関心も興味も殆ど無い。聖女ちゃんの事ですらうろ覚えという始末。



「ラナとかそこら辺はどうでもいいが、ロエちゃんの言うことは絶対だからな?わかったな?」


「わ、わかったから、あまり睨まんでくれ……」



首を取れそうな勢いでぶんぶん振り了承の意を示す。わかればよろしい。



「しかしロエチャンか……あるじに言われんでも何故かわからんが、あの女子の言うことには逆らえんもんがあるから、おそらく問題無い」



我らが聖女ちゃんは溢れでんばかりのママチカラで持って、あれこれとメストカゲに苦言を呈することも、しばしば。


思い返してみれば確かに聖女ちゃんの言うことは、なんやかんや言いつつも聞いていた気がする。女騎士の事はガン無視するが。



「あの女子、なんだろうな……本能に訴えかけてくるというか……あれではまるで……いやそんなハズはないしな……」



あーでもないこーでもないとうんうん唸り声を上げながら思い悩むメストカゲ。


まぁ、聖女ちゃんは聖女ちゃんであるし。全ての生命の頂点にして至高のグランドマザーでもあるわけだから、何もおかしい所は無い。また聖母ちゃんに甘やかされたい。オギャァ。



「兎にも角にも俺とロエちゃんの言うことはしっかり聞けよ」


「よかろう。あまりにも無茶なことでなければ聞いてやろう」



ちょっと上から目線の返答。こうは言ってるが気分やな部分もあるメストカゲだ。僅かばかり先行きの不安を感じる。


やはり淫紋での支配を完全なものとしておかないといけないだろう。



「ハリングちょっと腹出せ」


「ん、こうか?」



ワンピースタイプの服を着ていたメストカゲは躊躇せずにそれをたくしあげて腹を晒す。


ついでに下腹部も丸出しになる。ノーパンだった。


そもメストカゲに服を着る習慣は無い。全裸でほっとくわけにもいかなかったのでワンピースタイプのゆとりのある服を着させていたが下着は未着用。


顕になってさらけ出されたメストカゲの交尾穴をしばし観察。自ら服をたくし上げさせてその中をマジマジと視姦するのはなかなか来るものがある。ムラッ。


いや違う違う。交尾穴の方じゃなくて淫紋の具合を見るんだった。交尾穴から目を離し、その上。下っ腹に刻まれている淫紋に目をやる。


うーん……進行度は3割と言った所だな。これはまだまだ調教していかねばなるまい。



「はぁ……はぁ……なんだあるじ、そんなに我のを見つめて交尾か?交尾か?」



トロンとトロけたメス顔で僅かに荒らげた呼吸と共にメストカゲは問う。白い肌は高揚して僅かに赤みを帯びている。見られて興奮したか。



「よし、交尾だ」



絶頂を迎える度に淫紋の支配は増していく。これはあくまで淫紋の進行を進める行為である。故に激しい交尾は必要不可欠なのである。


《擬人化》したメストカゲと交尾に及ぶのは初めてである。よし頑張るぞ!


俺はメストカゲを押し倒した。



◇◇◇



「ところであるじよ。ずっと疑問だったんだが、あるじが使う魔法……アレはなんだ?」



俺が使う魔法となると48のスケベスキルの事か。俺の使える魔法は身体強化とか気配探知とか無難なモノとスケベスキルしか使えない。



「あるじの使う魔法はどれもこれも我が知らないものばかりだ。"この我"が、な」



この我を強調しながらメストカゲは言う。


四季龍。本人曰く、女神の実子。


この世界を創造した女神の直属となれば、その存在は最上位の存在だ。「メシ!」とか「交尾ッ!」とかヨダレを垂れ流しながら擦り寄ってくるメストカゲではあるが、その実、この世界の管理者の一端である。


故にメストカゲはこの世界の事ならば知らない事は無い。勇者と魔王の裏事情すら知っているのだ。相当にヤバい。


そんなメストカゲが知らないという俺の魔法。


まぁ、スケベスキルは俺が前世の知識を元にエロマンガ的超展開を実現する為、編み出したオリジナル魔法。俺が元の世界から、この世界に持ち込んだ知識とも言える。知らなくても無理はない。むしろ知らない方が当然ではある。



「俺の使うのは自分で開発したオリジナル魔法だ」


「オリジナル魔法……あるじよ。それがそもそもおかしいのだ」


「……?何がおかしいんだ?魔法なんてやろうと思えば自分で作れるだろ」



魔力とはただ魔法を行使する為だけの燃料ではない。この世界に置いて万能の力だ。明確に想像する事が出来れば、その想像を具現化する事が出来る。


世間的には知られていないようではあるが、俺はこの事実に幼少期の頃に気が付き、そして48のスケベスキルを編み出すに至ったのである。


しかしながら、そう簡単に出来た訳でもない。


普通の魔法ならば既存の詠唱によって発動、行使ができるが。自分でオリジナル魔法を作ろうとなると既存の詠唱が存在しない訳で1から自分で作る必要がある。


魔力を練りながら、明確に詳細に魔法を想像し、その作り出す魔法以外の雑念を捨て、それだけに集中しないと発動しないし、求めていた効果とは別の効果が出たり、魔力暴走を起こしてリアルに爆発したりと危険性もある。


そして魔法を行使出来れば、それを元に詠唱という形に落とし込んで次から詠唱で行使出来るようになる。


一筋縄ではいかなかった。俺のスケベに対する飽くなき欲求が実現させたわけだ。



と、まぁ、オリジナル魔法はだいたいこんな感じで、俺でなくても出来てる人なら作れるものだと思っていたが……。



「あるじよ……この世界の生物は基本的に自分で魔法を生み出すことは出来ん。全ての魔法は女神様と我らで編み出し伝承した」



出来んらしい。マジ?



「そもそも我ら以外の生物には自身で魔法が作れぬようにリミッターが付けられている。魔力の力は万能。そうポンポン新しい魔法が作られてはバランスが崩れるでな」



そういえば故郷の嫁、不老の魔女リーバも俺がオリジナル魔法を作って見せた時は大層驚いていた。それにいくら説明してもリーバはオリジナル魔法を作る事は出来なかった。


その時は、まぁ出来る人と出来ない人が居るんだろうなぐらいにしか思っていなかったが……。



「あるじよ。それも踏まえた上で聞くが……あるじは何者なのだ?」


「俺か……そうだな。別に隠してる訳では無いから言うが。俺には前世の記憶がある。まぁ、明確に残ってる訳じゃないが、この世界とは別の世界で生きてきた記憶がある」


「前世の、それも別世界の記憶か……ふむ。なるほど。そういうわけか。合点がいったぞ、あるじ。おそらく、その記憶が原因でリミッターが外れてるんだな」



ふむふむと納得したように頷くメストカゲ。


前世の記憶という不純物が原因で俺の中にあるはずの"自ら魔法を作り出せないリミッター"を外したからこそ、俺は自ら魔法を作り出すことが出来たと、そういうことか。



「しかし、何故、前世の記憶が残っているのか……別世界から魂が流れ着くことは珍しいことでは無いが、綺麗さっぱり洗浄される筈なんだがな……」


「俺以外にも異世界から転生した奴が居るのか?」


「居る。が、あるじの様に前世の記憶を持ってるものは今まで居らんかった」



居るには居るが記憶は無いと。それはもはや居ないものと思っていいわけか。


この世界に来た転生体として唯一の前世の記憶持ちという事にちょっと優越感を感じつつも、同郷のものが居ないという一松の寂しさがあった。



でも、前世の記憶があろうとも今の俺はこの世界で生まれ育った、誰でも無いガンマくんだ。


俺は俺、スケベを愛し、スケベに生きる、ただのドスケベだ。それ以上でもそれ以下でもない。



「それで四季龍よ。この世界の管理者として銀月龍ハリングは俺という異物をどうする?」



試すように口角を吊り上げながら、俺はメストカゲに問うた。



「あるじは生物を根絶やしにして、この世界を滅ぼすつもりはないだろ?」


「無い。むしろいっぱい交尾して繁殖したい」


「ならば何もせんよ。前世の記憶も別によいだろう。そも完璧に魂の洗浄がされなかったのは女神様の責任だしな。我、関係ない!」



知ったっこっちゃないとドヤ顔のメストカゲ。わりとメストカゲのこういうところ好き。



「それにあるじには逆らえんからなぁ」



メス顔で服越しにスリスリと下腹部を擦るメストカゲ。その服の下には俺が刻んだ淫紋がある。


メストカゲの淫紋進行率は50%ほど。もう、よほど抵抗されない限り俺の言うことには逆らえなくなってきている。そもそも本人に逆らう意思があまり無い。



「して、あるじよ。我、あるじの使う魔法に興味があるでな。教えてくれ」


「別にいいが。使えるのか?」



俺のオリジナルであるスケベスキル。その特異性から今まで習得出来たのは聖女ちゃんぐらいのもので、他のみんなは扱うことが出来なかった。



「うむ。"女神様と我々"ならばリミッターが無いからな。あるじの特殊魔法もおそらく使えるな!」



ふーん……なるほどねぇ……。



「よし。わかった!"実演"も交えて教えてやろう!」



四季龍。その頑丈さは折り紙付き。


効果が強烈で"人"に使うには考えものだった、あんなスキルこんなスキルがいっぱいあった。



全部使ったろ!




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