#17 勇者パーティーとの邂逅



ギルマスルーム。


俺とリゼルが並んで座るテーブルを挟んで向かい側に勇者パーティの面々が座り、テーブルを挟んで右側、上座にギルマス殿は陣取っていた。


対面の勇者パーティーを見る。


向かって左側に座る女性の額に聖紋が刻まれていて、視界を覆うように黒い布を巻き付けている。盲目か、それとも魔眼的な物を封じてる系か。いいな魔眼カッコイイ。恐らく彼女が勇者だろう。


そして、向かって右に座る黒い軽装を纏い鉄仮面を被っている女性。雰囲気からして前衛の戦士職か。3人の中だと比較的マトモっぽい感じがする。


最後に中央に陣取るのは、白いローブにそれの備え付けのフードを被り、オペラマスクで顔を隠している少女。オペラマスクの変態臭が凄い。非常に色物感が強いが魔術師っぽいので、これはヒーラー的な立場かと思われる。



なんで勇者パーティの面々は全員揃って顔を何かしらで隠しているのでしょうね。色物集団かよ。



「まずは自己紹介とまいりましょうか」



口火を切ったのはオペラマスクの少女だ。



「ワタクシの名前はホワイトローズ。戦場に咲く1輪の可憐な白き薔薇、ホワイトローズですわ!」



ビシッとポーズを決め名乗りを上げるオペラマスクの人。可憐に滑稽。背景に花びらが舞ったような気がした。


ツッコミどころが満載だがスルーする方向で。


ホワイトローズって。なんかすっごい偽名臭いんですが。なんですか。正体を隠してる系ですか。仮面のヒーロー的な奴ですか。恥ずかしくないんですか?


口調が高貴な人のそれ。どこぞの王族とか貴族とかの線が濃厚とみた。



「私はセ――ではなくて……えーっと……く、黒騎士ブラックナイトだ……宜しく頼む」



言いよどみつつも自己紹介をする黒騎士さん。名乗りの照れが隠しきれてない。ブラックナイトねぇ……厨二かな?



「……ひ、姫様。やはりこの自己紹介恥ずかしいのですが……やめません?」


「お黙りなさいセロ。貴女はブラックナイト。そして私はホワイトローズ。いいですねブラックナイト」


「はい……」



何やらヒソヒソと小声で話すホワイトローズ&ブラックナイト。内緒話っぽいがバッチリ聞こえていた。


会話の内容から姫様のわがままに振り回される苦労人の女騎士の図が予想される。


なんか姫様が無理言ってヒーローごっこ的なことでもしてるんでしょうね。とりあえず今はややこしくなりそうだからスルーしよう。



「ホワイトローズ……ブラックナイト……か、かっこいい……!」



隣を見ると目をキラキラさせながら2人を見つめるクソザコちゃん。お前もそういう感性なの?アレをカッコイイと感じちゃうの?ちょっと関係性考え直してもいい?



「勇者、リクシャ」



そして最後に勇者が実に簡潔に自己紹介。随分と淡白。残り2人との温度差が激しい。


しかし、この流れをぶった切ってくれて助かった。正直、アレの後に自己紹介とかしたくなった。



「俺はガンマ。Bランクパーティー『ガロラハ』のメンバーの1人だ」


「最後はボクだね!この中にボクの名前を知らない人は居ないとは思うが――」


「こいつはリゼル。ギルマス殿の娘で俺の恋人だな」


「ちょっとガンマくん!?ボクの名乗りを遮らないで貰えるかな!?」


「やかましい。おまえは1度喋り出すと長いし、面倒くさいからちょっと大人しくしとこうな?」


「ふごぉ!ふぐっ!んぐぅ!」



隣のクソザコちゃんを羽交い締めにして口を塞いだ。


1話まるまる1人でぶっ通しで喋り続けるぐらいにクソザコちゃんは喋り出すと長くなる。今度また機会があればじっくり聞くから今は黙っとこうな?



「あらあら。これはまた仲睦まじいようで、これは恋人というのも嘘ではないようですね」



何処から取り出したのか、豪華な扇子をパッと広げ、それで口を隠しつつ話す姫様。



「ですが、それはまた別の話です。ワタクシ達は早急に欠けたパーティーメンバーの穴埋めをしなくてはなりません。こうしてる間にもまたいつモンスターの襲撃があるとも知れませんので。聞けばリゼルさんはかなりの魔力量保持されていて最上級範囲魔法を多数扱えるとか、これは中々に有用です。貴方の恋人、譲って下さらない?」



モンスターの襲撃。近頃、王都ではモンスターの襲撃が頻繁に発生している。だいたい少なくても1週間に1回の頻度で襲撃がある。


前回あった襲撃は確か4、5日前。まさに姫様の言う通りいつ来てもおかしくない現状だ。


そして、それを毎度対処しているのは勇者パーティーの面々である。だからこそメンバーの補給は急務と言えた。


しかし、それで、はい分かりました。という問題ではない。


恋人を譲ってくれと?残念ながら俺にそんな寝盗られ趣味は無い。



「ちなみにですが。私たち勇者パーティーの提案を断るという事がどういった意味を持つかをしっかり考えた上で返答をして下さいね」



勇者パーティーはその有用さ故、様々な特権を国から与えられている。その発言力はそこいらの貴族の比では無い。下手をしたら王家にすら意見出来る程だ。


まぁ、この姫様。オペラマスクとか巫山戯たカッコをしてはいるが、恐らくガチもんの姫様っぽい。その発言力も当然と言えば当然である。



「それで?ご返答は?」


「何度も言ってるがリゼルは俺のモノだ。お前らなんかにやらない」


「残念ですね」



オペラマスクから見える瞳の奥。光が消え、暗いものが写る。



「ブラックナイト」



姫様の一言で黒騎士が動く。テーブルの上に乗り出し、一瞬にして黒騎士と俺の間合いがつまる。抜刀された漆黒の長剣が俺の首を捉えた。


ツーッと首筋から血が流れた。首の皮一枚で寸止めされた漆黒の長剣が鈍く光る。


身のこなし、超速の抜刀、首の皮一枚で寸止め出来る技術。巫山戯たカッコだが超一流の実力者であることは間違いなかった。



「このような強引な手段をとるのは些か気が引けますが、まぁ、仕方がありません。これが手っ取り早いので。もう一度聞きます。これが最後のチャンスです。ご返答は?」



底冷えする声。嘘や冗談などではなく、姫様の一言で俺の首と胴体は永遠の別れを遂げるであろう。



「えーっと……これって、あの、その……」



黒騎士に剣を突きつけられている現状について来れていないクソザコちゃん。どうしたものかとあたふたオロオロしている。



「そうですね。別に貴方に許可をとる必要はそもそもありませんでしたわ。リゼルさんワタクシ達の元に来ていただけますね?」



それは質問ではなく確認。相手の事情などこちらの知ったことではなく。いいから来いと暗に言っていた。


自分の身柄と俺の命とを天秤にかけたクソザコちゃんの答えもまた決まっていた。



「が、ガンマ君……!ぼ、ボクの事は、そ、その、もういいから!えっと、ホワイトローズさん?ボクはキミたちの――!」


「リゼルッ!」



首に添えられたら凶器など知ったことじゃないとばかりにクソザコちゃんの言葉を遮り叫んだ。



「ひぅ……!が、ガンマ君……?」


「何をされようと俺の答えは変わらない。リゼルは渡さない」


「そうですか。それが貴方の答えですか。なら仕方ありませんね。さようなら」


「ガンマ君ッッッ!!!」



リゼルの絶叫が木霊し、そして――。



















――世界が制止した……。



人もモノも吹く風も流れる水も全てのモノが停止した。


リゼルが叫び俺に手を伸ばした状態で停止している。


黒騎士が剣を構えた状態で停止している。


姫様が扇子で口元を隠し座った状態で停止している。


沈黙していた勇者が興味なさげな雰囲気のまま停止している。


ギルマス殿がどこか気の毒そうに俺を見ながら停止している。


ありとあらゆる全てのものが停止していた。



48つのスケベスキルが最終奥義。


《時間停止(タイムストップ)》


その効果は単純明快、時を止める。それだけの効果。それだけでありながら凶悪すぎる俺の扱うスケベスキルの最終奥義でもある。


エロマンガみたいな生活を送りたい?ならば時間のひとつやふたつ止めて見せねばなるまいて。


長年の修行の末に辿り着いた到着点。この停止した世界の中で俺だけが動ける。


つまり!スケベし放題!


ぐへへへへへへへ!


こんの勇者パーティー共が俺のクソザコちゃんを武力行使で奪い取ろうなどとふざけた真似してくれやがって!


どうなるかわかってんだろうな!このクソアマぁッッッ!!!


久方ぶりにブチ切れて《時間停止》使っちまったぜぇ!


はーい。それじゃまずは姫様からね。脱ぎ脱ぎしようか脱ぎ脱ぎ。ちょっとだけ情けはかけてやるよ!そのマスクは脱がさずにいてやろう!まぁ、それ以外は全部脱がすけどな!


うわっ!すっご!ローブ越しで分かりづらかったけどかなりのプロポーション!出るところ出てて締まるとこ締まってる!おっぱいめっちゃ大きい!思わずむしゃぶりつきたくなるが、まだ我慢。


さて全部ぬがせましたら縛り上げますか!こんなこともあろうかと荒縄用意しといてよかったぜ!縛って天井から吊り下げとこ!



次は黒騎士ちゃんな!正直、姫様に言われてやった感はあるけど実行犯やからね!逆らえなくてもそんな人の首に刃物あてるとかやっちゃダメでしょ!お仕置だよ!お仕置!大丈夫!仮面は取らんから!


黒騎士ちゃんも脱がせます。生まれたままの姿になってもらいます。刃物は危ないので没収。窓から外にぶん投げた。


ふむ黒騎士ちゃんの裸体はわりと普通か。まぁそれでも鍛えられて引き締まった裸体は素晴らしいの一言。胸は普通。くびれは素晴らしい。おしりも普通と。うむ。わりと嫌いじゃない。是非とも隅々まで堪能したいところだが、それはまだ我慢。


黒騎士ちゃんも姫様と同じように縛り天井から吊るしておく。



最後に勇者ちゃんか。勇者ちゃんは最初から我関せずの態度を一貫して貫いている。まぁ、特に何もしてないから今回は見逃してやろうか。



その分、もうちょっと姫様弄り回そうかな。



とりあえず口から《媚薬粘液(スケベローション)》をたっぷり流し込む。


次に取り出したのは削ってまん丸にしたタダの小石を数個。これに魔法をかけます。



48つのスケベスキルが1つ


《振動(バイブレーション)》


対象を振動させる魔法だ。魔力を込める量で振動の強弱を変えられて、さらに遠隔操作も出来る。


手の中でブルブル震えるまん丸小石。


どう見てもタダのローターです。ありがとうございました。


この小石ローターを胸に1個ずつ。下半身の大事な部分に複数個貼り付ける。



ブイイイイイイイイイイイイイイイン。



動作確認よし。よき振動音よな。



どーれ。こんなもんかな!



さて!《時間停止》解除とイってみようか!






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