#13 世界の理



発覚した衝撃の真実。魔王様=ガンマくん説。


まず魔王の配下を名乗る魔人集団の噂。


そいつら全員が半人半魔の美少女であるらしい。こいつらは俺が《擬人化》して討伐(性的な意味)放置してきたメスモンスターである可能性が非常に高い。


修行時代。相手がモンスターで人に害しかない存在だ「殺ろうとするならヤラれる覚悟があるんだろうなぁ?ニチャァ」なんて感じに理論武装して好き放題してきた。


オスに容赦は無かったがメスのモンスターは片っ端から《擬人化》してスケベした。ありとあらゆるスケベスキルの実験台にもしてきた。


それで事後、放置した。


いや流石にモンスターとは言えスケベしたら多少なりとも愛着が湧いて殺すに殺せない。というか人の形をしたのを殺すのに抵抗がある。ド畜生の自覚はあるがスケベした相手をぶっ殺すほど非常にはなれなかった。


故の放置。殺すに殺せず。持って帰っても人間を襲うだろうし。というか何回か持って帰って人間を襲おうとしたし。危うく大惨事になるところだったのは昔の話。そんな危険物を傍に置いておくわけにもいかず山に捨てた。そして泣いた。



「むしゃむしゃ」



謎のマルタにかぶりつくメストカゲを見る。


今でこそ普通にしているが、ここまで来るのにかなり苦労した。


魔力を抜き取って無力化し、女体盛りにして自分が喰われる恐怖を叩きこみ、人を食べてはいけませんと教え、調教して淫紋の支配を強め、人としての一般常識を学ばせたり……etc。


腐っても四季龍という伝説のモンスター。知能はバカ高いからこそ、そういった努力が身を結んだ。


しかし、普通のモンスターではこうなれる知能を持ってる奴はそうはいない。大概は本能にのみ突き動かされ喰うか交尾するかしか考えないのである。



それならばおかしな話だ。奴らにそんな徒党を組むだけの知能があるのか?いやない。


ならば例の魔人集団にはそんな低脳のモンスターを統率する何者かがいる可能性は高い。そしてそれは俺じゃない。


俺じゃない誰かが《擬人化》して討伐(性的な意味)放置したモンスター娘達をまとめあげて率いているのでは無いのだろうか?


そして、それが美少女の魔王様である可能生はまだ残っている!諦めるな!美少女魔王は居る!居るったら居るんだ!



「そうだとするのでしたら、その魔王さんはガンマ様が《擬人化》させたモンスターさんなのではないでしょうか?」


「…………」



美少女魔王非処女説。ちなみに初めての相手は俺。



「というかそいつらは「我らが魔王の為に!」とか言ってるのだろ?だったらその集団に魔王はいない。魔王が居るのにそんなこと言うはずないからな。ならば、そいつらはそこに居ない魔王の為に行動している。魔王は一体どこに居るんだろうなぁ?」



女騎士がジト目で俺を見る。その魔王が俺だと?やっぱり俺魔王なん?美少女魔王いないん?絶望なんだけど?



「なぁハリング」


「どうしたあるじ?むしゃむしゃ」


「魔王についてなんか知らない?」



藁にもすがる思いでメストカゲに問うた。腐っても伝説を生きる四季龍。女神の実子、世界誕生とほぼ同時期に産まれたこいつならワンチャン何か知ってる可能性。



「魔王か?それならば知っている」


「くわしく!」


「魔王とは勇者と対を成す調停者だ。この世界は人とモンスターが均等にバランスをとって存在している。人が増えれば魔王が産まれ、人の数を減らし、役目を終えれば勇者と相打って共に消える。逆も然り。そうして世界はバランスをとるのだ」



衝撃の発言。世界の裏設定を聞いてしまった。見ると聖女ちゃんと女騎士も絶句している。



「あるじは魔王ではない。魔王は魔を統べる王。モンスターだ。あるじは人間だから魔王になることは無い」


「しゃおらぁあッ!!」



魔王は俺じゃない!美少女魔王は存在するんだ!こんなに嬉しことは無い!



「ちなみに最近勇者は産まれた。原因不明だがモンスターが爆増したからな。そのうち魔王も産まれるだろう。勇者と共に死ぬためにな」


「共に死ぬためか」



なんだそのやるせない設定。俺の魔王ちゃん死んでしまうん?



「そうさな。平和の為には強大な力を持つ魔王と勇者は不要な存在。故に奴らは必ず相対し、共に死ぬように仕組まれている。これは世界の理だ」


「……今更だが、それ話していい事なのか?」


「知らぬ。問われたから答えた。我はあるじの忠実なるメス奴隷!問われれば何でも答える!死ねと言われれば死ぬ!」



くっ……こんな立派なメス奴隷に育ちやがって……!調教大成功かよ。


お陰様で世界の裏事情を知ってしまった。魔王と勇者がそんな運命にあるとは世間一般では知られていない。


勇者と魔王。悲しい運命を背負った2人。世界の為。世界の理。なんともやるせない話だ。



まぁ俺の知ったこっちゃ無いけどね!



ていうか死ぬんだったら魔王ちゃん俺にくれ(爆)



「勇者魔王が生き残った事は?」


「無い。有史以来、幾星霜。勇者と魔王が誕生したのは数え切れないが、みな例外なく死んだ」
















そんなメストカゲの暴露話もあり。俺の魔王疑惑は払拭されたが問題は解決した訳では無い。


『魔人集団』そして『原因不明のモンスター爆増』


モンスター爆増の件はメストカゲの話によれば調停者たる勇者が、増えすぎたモンスターを倒し、数を減らすから特に手を出す必要は無いらしい。


しかし、魔人集団に関しては俺が巻いた種である可能性は否めない。文字通りの意味で。


ぶっちゃけ知らん顔してたい。


たが、その魔人集団が俺が討伐(性的な意味で)してきたモンスター娘達が徒党を組んだ集団だったとして、その行動目的に最終的な目標は何処にあるのか?それに俺が関係しているのか居ないのかを確かめるのは必要だろう。



直近で討伐(性的な意味で)したメストカゲが俺を追って大惨事を巻き起こしたのは記憶に新しい。


この1件で王都に花が咲いて乱行大会が行われただけ(それでも大惨事)で怪我人と妊娠したものは居たが死傷者は皆無だったのは幸い。しかし、次もこういくとは限らない。


もしかしたら致命的なまでの被害を受けるかもしれない。


まぁ魔人集団が何かをしでかすとして、ぶっちゃけ他がどうなろうと知ったことではないのだけれど(クズ)


嫁達に被害が及ぶというのなら、全力で対処しなければならないだろう。当たり前だ。



兎にも角にも謎の魔人集団との接触を測ろうと今後の方針が決定した。



決してモン娘ハーレムだひゃっほぅ!とかは思ってない。はぁはぁ。















魔人集団の情報を集めるために聖女ちゃん女騎士メストカゲを引き連れ冒険者ギルドを訪れた。


ちなみにメストカゲは目立つのを避けるために俺が手浸からず《変化》を覚えさせ、ドラゴンっぽい角羽尻尾鱗を人間のモノに変えてもらっている。



『冒険者ギルド』


異世界モノ定番の奴。一攫千金を夢見た冒険者達が集まり、様々なクエストをこなして冒険者ランクを上げている。


ここを訪れるのも今回が初めてではない。


すでに俺達4人はパーティを組んで冒険者ギルドに登録していた。



パーティ名『ガロラハ』



4人の頭文字を取ってつけた安直な名前だ。


パーティ名を決めるのに難航したのは少し前の話。



俺案『ガンマ君ハーレム』

聖女ちゃん案『ロエとガンマのラブラブ夫婦とその他』

女騎士案『プリンセスラナガーディアンズ』

メストカゲ案『銀月龍ハリング』



各々が各々で自己主張が激しすぎるツッコミどころ満載のパーティ名案だった。俺は悪ふざけ100%だったか他3人は割とガチだった。


聖女ちゃんはそもそものネーミングセンスが壊滅的だし、女騎士は頭ん中お花畑だし、メストカゲは普通に馬鹿だし。王都を襲った馬鹿の名前をそのまま使えるか、悪目立ちするわ。


すったもんだの末に妥協案としてガロラハになった。可もなく不可もなくだ。


そんなガロラハ絶賛売り出し中の新規パーティである。


元団長だが加護を無くして弱体化した前衛タンク女騎士。


魔力は常に俺に抜かれていてドラゴンとしての素のフィジカルのみで戦う前衛アタッカーメストカゲ


この世の美の収束点。最強美少女。「がんばれ!がんばれ!」と応援してくれれば否応なしに男はみんなイキリ立つ、無敵アイドル聖女ちゃん。


実力を隠し寄生虫として振る舞う荷物持ち俺。


というバランスもクソもあったもんじゃないパーティだが、大抵の事はメストカゲのゴリ押しと俺のスケベスキル(インチキ魔法)でどうにかなっている。


様々な高難度クエストを達成しトントン拍子にBランクまで昇格した。


ちなみにランクは上からSS、S、A、B、C、D、E、Fまである。上から数えて4つ目だから、中堅パーティといったところか。



みんなのアイドル聖女ちゃんに、名の知れた神殿騎士元団長の女騎士、謎の美女メストカゲ、そしてそれに寄生虫の如く引っ付いてる俺。否応なしに注目を集めた。主に俺が。


なんだあの寄生虫はどこのどいつだ。などなど嫉妬、軽蔑、やっかみの視線をうける日々。



「なぁガロラハの姉ちゃん達よ。そろそろそのクズを捨てて俺達とパーティ組まねぇか?」



ニタニタとゲスい笑い顔を貼り付けた悪人面の男数人が話しかけてきた。



「そんな荷物持ち。どう考えたって姉ちゃん達には不釣り合いだぜ!そこでどうよ!このBランクパーティ『✝︎暗黒剣✝︎』のリーダーである俺様なんていいんじゃねぇか?」



最近こういう手合いによく話しかけられるようなった。


『✝︎暗黒剣✝︎』何かと黒い噂が耐えない男3人のパーティだ。しかし、なんでパーティ名を十字架で挟んでんだ。厨二か。



「俺様の手にかかればどんなモンスターもイチコロよ!俺達と組んで楽しもうぜ!もちろん夜の方も楽しませてやるぜ?ガハハハ!」



こいつら。俺の嫁に汚ぇ目を向けやがって。ゴブリン村送りにすんぞコノヤロウ。


前に出ようとすると聖女ちゃんが手を差し出して俺の行動を制する。見るとニッコリと聖女ちゃんスマイルしかしまるで目は笑ってない。冷りと背筋に冷たいモノが流れた。よし、大人しくしとこう。



「ラナ、ハリングさん取り押さえて」


「はっ!」


「ふむ」



言うや否や。目にも止まらぬ早さで女騎士は1人、メストカゲは2人の男を取り押さえた。



「ぐほっ!?き、急に何しやがる!?」


「五月蝿い」



ゴキリッゴキリッ。嫌な音がした。



「ぐぉおおおっ!?」



野太い男の悲鳴が響く。問答無用とばかりに女騎士は組み伏せたリーダー格の男の両腕を容赦なくへし折った。うわっ。痛そう。



「私たちを楽しませてくれるのでしょう?さぁ楽しませてください《女体化(コンバージョン)》」



冷ややかな目線で男を見下ろしながら聖女ちゃんは魔法を使った。《女体化》俺のスケベスキルの一つ男性を女性に変える魔法だ。


何故、聖女ちゃんが俺のスケベスキルを使えるのか?


俺が聖女ちゃんに教えた訳では無い。聖女ちゃんが俺の魔法を見様見真似で覚えたのだ。


最初見た時は目を疑った。教えても無いスケベスキルをどうして使えるのかと。聖女ちゃんに聞くと「試しに真似してみたら出来ちゃいました!」と舌をぺろっと出して可愛らしく答えた。めっちゃ、可愛かった。好き。


そんなわけで今では俺のスケベスキルの大半を習得している聖女ちゃん。流石は俺の嫁。エロに対する情熱が凄い。


でもそれ使われると俺のアイデンティティが死にかけるからやめて欲しい所があったりするが、そんなもの聖女ちゃんには通用しない。聖女ちゃん最強。



「はっ!?どういうことだ!?俺の息子が無くなっただと……!?」



腕の痛みも吹っ飛んで、自分の息子が消失した事に取り乱すリーダー男。



「さて、それでは貴方達にはこれを《狂化(バーサーク)》」



聖女ちゃんはハリングに取り押さえられている残りの2人に魔法をかけた。



48のスケベスキルが一つ

《狂化(バーサーク)》


対象の理性を飛ばし、生殖行為以外の事が考えられなくなるようになる魔法だ。これをかけられた者は見境なく異性を襲い、腰をふりはじめる恐ろしい魔法である。


女の子に逆レイプされたいなーと思って開発した魔法である。


それが✝︎暗黒剣✝︎の男2人にかけられた。そしてリーダーは女体化している。つまり――。



「あ、あ、あ、おんな、おかす」


「おかす、おかす」


「お、おまえらどうしちまった!?ま、まて俺は……アッーーーーーー!!!」



(とても見苦しい映像の為、自主規制)



わー。じゅうじかあんこくけんじゅうじんか のメンバーは仲がいいなぁ。悪人面の男3人くんずほぐれずしてるぅ。グロ画像かよ。



「うーん。これはあまり楽しめませんね。というわけで貴方達とパーティを組むのは御遠慮いたしますね!」



ニッコリ聖女ちゃんスマイル。女騎士もウンウンと頷いている。メストカゲは花瓶にいけられていた花をむしゃむしゃしてる。コラコラ勝手に花を食べちゃダメでしょ。まったく。



冒険者ギルドは今日も平和。








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