#9 愛しきメス犬に送る愛のカタチ
聖女ちゃんと魔王討伐して結婚。そしてめっちゃ子沢山な夢を見て飛び起きた。
悪夢だ……。
なんで魔王にスケベしないで、そのまんま討伐してんだよッ!馬鹿か俺はッッッ!!!
現状確認。胸は無い!息子は朝立ちで今日も元気!そしてそれを咥えこんでる女騎士がいる!よし!男だ!いつも通りだ!
隣でスヤスヤ眠る聖女ちゃんを見た。布団を捲って確認する。マーラ様は生えてない!よし!普通の女の子の身体だ!
ベットの惨状を見るに昨晩も聖女ちゃんとお楽しみであったのは明白だが記憶が混濁している。
どっからが夢でどっからが現実だったのか……。
「おい、ラナ」
「ふぁひ!ふぁんれしょうかごひゅひんはま!」
「とりあえず、その口に咥えこんでるのを離そうか」
「ふぃやでふッ!ふぉふぉひんはまふぉ、ふぁふぁいちふぁまひぃほぉりほぉちんほぉふぃるくふぉ
、ふぉっくんふふまふぇふぁふぁしまふぇん!じゅるじゅる」
まるで意味がわからない。そして、離す気配が一向に無い。指示無視、反抗的な態度。よし躾だ。
俺は両手で女騎士の頭をガッシリ掴んだ。
「ロエ様の躾も大変良いものではございましたが。やはりご主人様の人を人とは扱わぬド畜生の所業はおいそれと真似出来るものではございませんね!流石はご主人様です感服致します!はぁ!はぁ!」
回数を重ねる毎にメス犬の扱いがハードでマニアックなものへとエスカレートしていく。
過激すぎてモンスター相手にしかやらない事もトロ顔で涎を垂らしながら懇願してくるのはメス犬をおいて他に居ない。もはや才能と言っていもいい間違いなく逸材だ。
愛いやつである。めっちゃ好き。
手離したくない。他の誰にも渡したくはない。まぁ元より手放すつもりは無いし。他の誰にも渡すつもりもないのだが。
しっかりメス犬の所有者である証を立てねばなるまい。
「ラナ、おすわり」
「ワン!」
「ラナ、お手」
「ワン!」
俺が左手を差し出すと、しっかり左手を差し出してくるメス犬。
その薬指に不紫花の宝石をあしらった婚約指輪を嵌めた。
「…………」
無言の女騎士。嵌めた指輪をまじまじと見つめている。
しばらくして女騎士は何を思ったか勢いよく立ち上がりクローゼットに直行。
中を漁り、少女趣味全開なゴテゴテのドレスを引っ張り出して着替え始めた。ぶっちゃけ女騎士にはあまり似合ってはない。
自分の着替えが終わるとまたクローゼットを漁り。そこから白い男物の服を取り出して俺に駆け寄ってくる。
「…………」
無言。何も言わずにその白服を俺に着せ始める。王子様が着るような白い服である。これもまた俺には明らかに似合ってない代物だ。
着替えが終わると女騎士は俺の手を引き部屋を出る。しばらく歩いて着いた先は教会の聖堂だ。
早朝、まだそこに人は居ない。静寂に包まれる聖堂。ステンドグラスから注がれる朝日が神秘的な雰囲気を醸し出してる。
その朝日が注がれている陽光の下まで俺は女騎士に連れていかれて向かい合った。
女騎士は左手薬指に嵌められた婚約指輪を外すと俺の手の内に無理矢理ねじ込む。
「…………!!!」
未だに無言の女騎士はものすっごーく期待に満ちた瞳をキラキラさせながらで俺を見る。両の手のひらを合わせてお願いのポーズ。
やり直せと?
この王子様お姫様みたいな衣装で、この素敵なロケーションで、まるでお姫様を迎えに来た王子様の様なシチュエーションでプロポーズしてくださいと?
「…………」
「…………!!!」
女騎士の圧が死ぬほど強い。
「……はぁ」
ため息ひとつ。やれやれ。
女の子(というには歳食ってるが)にそんな期待されたら答えぬ訳にはいかないのが俺のポリシー。よろしい。やってやりましょう。
「ラナ姫、お迎えに参りました」
「あぁ!王子様!本当に私を迎えに来てくださったのですね!」
誰だおまえ。ノリノリやんけ。聖女ちゃんみたいな口調すな。ドギツイぞ三十路過ぎのババアが。でも好き。
「必ず迎えに来る、と約束したではありませんか。むしろ、お待たせして申し訳ありませんラナ姫」
「いえ!そんな事は!こうして私との約束を果たしてくださった……それだけで私は嬉しいのです!」
「そう言って貰えて安心しました。もしラナ姫に忘れ去られていたらと考えると気が気ではありませんでしたから」
「私が王子様の事を忘れることなど、有り得ません!たとえ王子様が迎えに来られなくても私はずっとずっと待ち続けるつもりでいました!」
本当に待ってたんだろうなぁ。夢見て待った末にこんな歳になってしまったんだろうなぁ。
王子様なんて来るわけが無い。実際、来たのは脳みそが下半身にあるドスケベ男だ。まぁ俺なんだが。
俺は王子様なんかじゃない。
俺が来なかったら女騎士は独身で1人寂しく一生を終えていたのかと思うと涙ちょちょぎれる。
今だけはちょっとだけ付き合ってやろう。
「ラナ姫ほどの美しいお方であれば、相手などいくらでもおりましょうに」
「例え他にどんな相手が居ても、王子様以上に素敵な人などおりません!私の瞳には貴方しか映っていないのです!あぁ……私の王子様……愛しております……!」
「俺も愛してます、ラナ姫。俺だけのお姫様」
小っ恥ずかしいなぁ。
「ラナ姫、左手を」
片膝をついて手を差し伸べる。おずおずと女騎士は自身の左手を差し出した。
そして、その左手の薬指にあらためて不紫花の婚約指輪を嵌めてあげる。
「あぁ、王子様!これはっ……!」
「この指輪には俺から貴女への永遠の愛を込めました。受け取って頂けますか?」
「……本当に私でよろしいのでしょうか?」
「はい。他の誰でもない貴女だけの為に作ったものです。これをつけるに相応しいのは世界中で貴女1人だけだ」
シチュエーションがこんなだが、これは紛れもない真実。
立ち上がり女騎士を抱き寄せて顎に手を添える。至近距離で見つめ合った。頬を紅潮させ、蕩けた瞳で俺を見つめる女騎士は夢見心地といったところだ。
「ラナ、おまえの全ては俺のモノだ」
「はい、ご主人様。私の身も心も、これからの人生も全て――貴方に捧げます……!」
優しく。2人の唇が触れ合った。
流石にこれでお姫様は満足したか?
なら次は俺を満足させて貰おう。
「《変化・豚王(メタモルフォーゼ・オークキング)》」
「……へ?」
王子っぽい服を内側からぶち破り、俺の体が肥大化していく。サイズは銀月龍と戦った時の大怪獣サイズではなく通常サイズ。それでも巨体ではある。
「ガハハハハ!馬鹿ナ女ダ!俺様ガ王子二姿ヲ変えたオークダトモ知らずに愛を誓いアウトハナ!」
「オーク!?王子様、私の王子様は!?」
「ククク!王子ナド俺様にトッテハ雑魚同然!捻り潰してヤッタワ!」
「嘘よッ!そんなの嘘!迎えに来てくれるって!約束だって!必ず守ってくれるってっ……!」
「ダガ、ここに居るのは俺様ダ!オマエが愛を誓ったのは俺様ナンダヨッ!!」
「キャーーー!」
俺はその場に女騎士を押し倒し、力任せに服を引き裂いた。胸は貧相だが、鍛えられ引き締まった裸体が顕になる。うむ。姫様って体型じゃないな、これは。
「イヤっ!やめてっ!離してっ!……ひぅ!」
じたばた暴れる女騎士を抑え込み、じゅるりと女騎士の頬をひと舐めしてやった。
「美味ッ美味ッ!コノ熟成サレタ生娘の味!グフフ!タップリ味わってヤルゾ!」
「うぅ……汚らわしいっ!」
「抵抗シテモ無駄だ!ソノ汚らわしいモノヲその身にイヤトイウホド味あわせてヤロウ!今後一生忘れられぬヨウニナ!ガハハハハ!」
「ヤダァ……助けて……王子様……」
女騎士兼お姫様はオークに酷いことされないとなぁ!
「オークしゃま……オークしゃま……しゅき……しゅきぃいい!!!」
「実は私、クーデターで処刑された1代前の暴君と呼ばれたクズ王とそれが囲っていた町娘の間に出来た隠し子だったりする。だからあながち"お姫様"という肩書きも間違ってはないので、これからラナ姫と呼んでください」
「メス犬」
「クズ王に捨てられた母は女手ひとつで私を育ててくれた。貧しかった幼少期。母は「ラナはお姫様だからきっと素敵な王子様が迎えに来てくれるわ」と私に言ってくれた。私はその言葉を信じ、飢えに耐え、なんとか生きながらえて来たわけだ。というわけでこれからはラナ姫と呼んでください」
「メス犬」
「母は過労で倒れ、私は1人になった。待っていたのは泥を啜り、残飯を漁る路上生活。それでもきっと王子様が迎えに来てくれると信じて生にしがみつき、生きて。そうして教会に拾われた。いくら辛くても現れなかった王子様。私を拾って助けてくれた教会。王子様なんていない。私は教会にこの身を捧げるべく神殿騎士となり。いつしか団長となっていた。ですからこれからはラナ姫と呼んでください」
「メス犬」
「団長になって職務に全うする日々。忙しく多忙ではあったが、充実していた。しかし心の何処かに漠然と何かが足りないという想いがあったんだ。幼い日、優しい母の言葉、もう捨てたはずの願い。そこで自覚した。あぁ私はまだ心のどこかで王子様を待っているんだと。だからこれからはラナ姫と呼んでください」
「メス犬」
「鬼畜!ド畜生!腐れオーク!性欲魔人!変態!ドスケベ!浮気者!ヤリチン!クズ!ゲス!カス!ゴミ!ザコ!クソ野郎!ケチ!ヒモ男!タダ飯喰らい!甲斐性なし!バカ!アホ!いいから私の事はラナ姫と呼べ!」
「メス犬」
「これが母の言っていたラナの王子様なのか?こんな奴が……でも……もう……ラナは……王子様かどうかなんて関係ない……王子様なんかじゃなくていい!今ッ!こうして!いっぱい私を愛してくれる!ご主人様が、大好きっ!」
俺を抱きしめるメス犬から伝わってくる火傷しそうな程に熱い想い。離したくない離れたくない離して欲しくない、重なりあう肌と肌を通じてお互いの熱が絡み合う。
……………………………………はぁ。
ため息ひとつ。
「たまにだけだからな、ラナ姫」
「うんっ……!」
少女の様にあどけない。満面の笑みで。
三十路過ぎのババアは頷いた。
このあとめちゃくちゃイチャラブした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます