#7 お花畑で大乱闘




48のスケベスキルが1つ


《挟壁(スッポリウォール)》


対象がギリギリ通れそうな穴が空いた壁を顕現させる魔法だ。そこを通り抜けようとした相手はその壁に胴体がつっかかり抜け出せなくなる。そして無防備なお尻を晒す羽目になる。


所謂、尻壁である。



「……ぬ?穴にハマって抜け出せん……?」



困惑と共にじたばたする銀月龍だが壁から抜け出せない。



「ぐぬ……こんなもの抜け出せぬのなら壊して――馬鹿な!?壊れんだとっ……!」



ドンドンと壁を叩いたり蹴りつけているが壁はビクともしない。



くくく。そうだろうそうだろう。例えドラゴンと言えどもその壁は抜け出せ無いし、壊せはしない。そいつは俺自身にも壊せないとっておきだ。


尻壁を実現するにあたり開発した《挟壁》は一見するとただの壁だが、ただの壁では無い。



俺が長年の研究の末に編み出したエロマンガ的ご都合主義という絶対の概念が契約魔法の応用によって付加されている。


壁を通り抜けようとした事をトリガーとして契約魔法が発動し、一通りのスケベ展開が終わるまで絶対不可侵の壁と化すのがこの《挟壁》の本質だ。一見ただの壁と侮ることなかれ。


契約魔法は絶対のルール。たとえ神様だって、何人たりともこれに逆らうこと能わず。



「ぐおぉ……どうなっているこの壁は……!」


「暴れても無駄だ。その壁からは絶対に抜け出せない」



なおもじたばたする銀月龍。俺はそれに近寄りつつ銀月龍の顔付近に《発情霧》を発動させた。大きく開けたこの場所で効果が薄いと使ってなかったが、相手が動けないなら話は別だ。



「霧か?なんだムズムズしおる。しかし毒の類では無い?」



銀月龍は《発情霧》を吸い込むが目立った変化は無い。体がデカい分、効き目は遅いが時期に効いてくる事だろう。



「さて人を舐め腐ったメストカゲにはお仕置だ」


「はっ!人の子が我に仕置と?笑わせてくれる!動けぬとは言え我の力が衰えたわけではない!」



言うや否や。無数の植物の根が俺に殺到する。


尻壁にハマったメストカゲを前にちまちまやるのはお終いだ。一気にいくぞ。



「《変化・豚王(メタモルフォーゼ・オークキング)》」



残りの魔力のありったけを込めて魔法を行使する。


俺の身体が肥大化する。内側から服をぶち破り変質していく。


見上げるほどの巨体。顔は豚顔。脂肪まみれのでっぷりとした体型。俺は巨大な二足歩行の豚のモンスターへと変化した。



《変化・豚王(メタモルフォーゼ・オークキング)》


オークそれはゴブリンとならんで女の子にスケベするファンタジー世界定番の竿役だ。二足歩行の豚のモンスター。ゴブリンの強化版みたいなもんだ。


《変化》で全身を変質、巨大化させてそのオークの上位個体オークキングへと変化する。ファンタジー世界でオークになって女の子にスケベしたかった結果がこれである。


オーク化した事により俺のフィジカルと精力が超強化され、さらに厚い脂肪は大概の攻撃を跳ね除ける。


まぁ理性がちょっと飛び思考もオーク化の影響を受けるのが難点。自分で言うのもアレだが元々が元々なので変化は微々たるものだったりするが。


ちなみに本来のオーク化はもっと身長が小さい。今回は銀月龍に併せて巨大化した。



迫る植物の根をオークキング化して強化された巨体と圧倒的なパワーでもって力任せに粉砕する。



「巨大なオークだと……?なんと……美味そうなっ……!」



変化した俺を見て銀月龍が宣う。やはりこいつ食うことしか頭に無い。


それならたっぷり味わってもらおうか。オークキングさんとなって巨大化したこの剛直を!


俺は全開でイキり立たせて壁にハマっている銀月龍に近寄っていく。


なおも植物の根やらなにやらが襲い来るがオークキングとなった俺のフィジカルにそんなモノは通用しない。



「な、ナニをイキり立たたせている!我にナニをするつもりだ!?ええい!こっちに来るな!止まれ!止まらんか!」



俺のそそり立つイチモツを見て銀月龍が激しく動揺していた。壁から抜け出そうと必死にもがいているが抜けられない。もはや銀月龍は逃げられない。


どうやらようやく気がついた様だ。自分が食う立場では無く、食われる立場だと言うことを。


俺はのっしのっしと銀月龍の背後に回り込む。



壁から突き出る尻にする事なんて決まってるよなぁ?



「オラァっ!」



バシンッ!



「のぉおおーーッッ!??!」



乾いた音が響く。俺は力強く銀月龍の尻とおもしき部分にビンタをくらわしてやった。


オークキングさんの全力のスパンキングじゃぁ!!



「な、なにをしおるっ……!」


「オシオキトイッタハズダガ?」



オーク化した弊害で話す言葉が片言っぽくなっていた。



バシンッ!バシンッ!バシンッ!



「おっ!おんっ!んぉっ!?」



連打、連打、連打!メストカゲのケツを連続で引っぱたく!いい音たててくれるじゃねぇかッ!なかなかのケツドラムだなぁ!おいっ!



「や、やめろ……この様な真似をっ……!ただでは済まさんぞ!」


「ヤカマシイ!」



バシンィッ!!



「おぉんおーーッ!!?!」



一際、力を込めてメストカゲのケツを引っぱたいた。メストカゲの喚きに僅かに黄色い声が混じり始める。



「な、なんだ……?身体が熱くなってきただと……?ど、どういうことだ……?」



メストカゲは自身の変化に戸惑いを隠せない様だ。どうやら《発情霧》の効果が出てきたようである。



さて!たっぷりわからせてやるぞメストカゲがッ!














「……も、もう、やめ……こ、これ以上、叩くな……んぎぃ!?ごめんなさい!た、叩かないで……くぅっ……叩かないで――」









「許さん……許さんぞっ……!必ずや八つ裂きにして……喰らってや――……待てッ!?やめろっ!イヤッ!やめてくださいッ!お願いしま――」











そうして俺は銀月の涙を手に入れた。


精根尽きた。魔力もほぼ空っぽ。オーク化も解けていつもの姿に戻ってる。こんなんなるまで戦闘(性的な意味含む)したのも久しぶりだ。


しっかりメストカゲはわからせてやった。


メストカゲを見やる。仰向けに寝転がり腹を見せ絶対服従のポーズをしている。



「あるじのでお腹いっぱい。しあわせ。もっと食べたい」



何事か呟いているが放置する方向で。


銀月の涙を手に入れた今こいつはもはや用済みである。存分に楽しませても貰ったし。モンスターはお家連れて帰るなって教わった。モンスターを人間の街に放つとだいたい大惨事なる(経験談)



正直、連れて帰りたい気持ちはあるが



本来の目的を忘れてはならない。俺には新婚初夜ックスが待っている。故に今は放置だ放置。




とりあえず最中にしっかりメストカゲに刻んでいた淫紋から魔力を吸い上げておく。



「おぉおおんぉーーーッッッ!!!!」



メストカゲの嬌声が響くが無視。よし魔力が回復した。



あらためて銀月の涙を見た。淡く銀色に光る宝石、それはなんとなく聖女ちゃんを彷彿とさせる。聖女ちゃんに似合うこと間違いなし。


取りに来て良かった。これで聖女ちゃんへの結婚指輪の材料は良し。次は女騎士の婚約指輪用の素材だが。



王都を出発して2日が経過している。約束は3日。残りは1日。出来れば今日中に戻りたいところだ。帰りは《転送》使ってひとっ飛びするので見つけ次第、直帰をキメる予定である。



周囲を見回した。真っ先にメストカゲが目に付いたがそれを意識して視界から排除。


綺麗だった霊峰山頂空中庭園はドラゴンVSキングオーク〜お花畑で大乱闘〜の大怪獣バトルでしっちゃかめっちゃかになっている。


その荒れ果てた花畑の一角に紫色の一角がある。そこに近寄って状況を確認した。


そこに咲いていたであろう花は見るも無惨な状態だ。土はめくれ返り、さらに上から踏みつけられたのかペチャンコだ。これはもう使い物になりそうにない。


こんな時こそ、この銀月の涙である。


手にしていた銀月の涙に魔力を込めると銀月龍が放っていたような淡い銀光を放つ。


その光を浴びるとあら不思議。めくれ返った地面が元に戻り、潰れていた花が逆再生のように元の元気な姿に戻っていく。



これぞ銀月の涙の力。銀月龍の力の一端だ。



銀月龍は"春"を操る権能を持つ。それは春に生命が芽吹くように荒れた大地を復活させ、植物を再生、成長させるのだ。


あらためてとんでもない代物だと思う。これさえあれば人は飢えから開放されるといっても過言では無い。見方によってはかなりの危険物になり得る。


その劇物がかなりの数俺の手の中にあるがまぁよいでしょう(?)



銀月の涙の力で持って再生した花を見る。色と形も俺の記憶に会っているのでおそらく間違いない。


『不紫花』と呼ばれる紫色の花だ。


霊峰の頂上。銀月龍の住まう花畑にしか咲かないとされる幻の花。


この花を煎じて飲むことによって、老化を抑制し寿命を伸ばす効果があるらしい。端的に言って不老長寿の薬の原料である。



みなまで語らずヤバイものだ。



危険なデスフォレストの先、最強のドラゴンの一角である四季龍、銀月龍ハリングの住まう霊峰の頂上。冒険者達のひとつの到達点と言ってもいい。これを求めて一生を費やす冒険者もひと握り居るであろう。



とりあえず目につく不紫花を片っ端から引っこ抜いた。



よーし、これを絞って、そのエキスを凝縮させて宝石にしよう。きっと綺麗な紫色の宝石が出来るはず!女騎士への婚約指輪はこれでいいな!



これで聖女ちゃんと女騎士に送るウェディングドレスと婚約指輪の素材の入手完了。



素材が集まればあとは作るのみ。



「《創作(クリエイション)》」



48のスケベスキルが1つ

《創作(クリエイション)》

素材を元に様々な物を作成する魔法だ。


ここは異世界。それゆえ元の世界にあったオトナの玩具が何一つ存在していない。


この世界には何一つ無いのだ。バイブもローターも電マも何一つ無い!


さらに衣装関係もファンタジーなモノはあるが現代日本の衣装が無いッ!


セーラー服、スク水、ナース服、和服、穴の空いたスケベ下着等々。


これは由々しき事態だ。致命的と言ってもいい。


無いならば作るしか無い。


だから俺はそれらを自ら創り出すためにこの《創作》を習得したのである。全てはスケベの為に。


















「よし!こんなもんか!」



ふぅと一息。こだわりにこだわり抜いて2着のウェディングドレスを完成させた。


聖女ちゃんには真っ白でシンプルなウェディングドレスを作り、女騎士にはギリギリ下着が見えないぐらいの超ミニスカタイプのウェディングドレスを作った。三十路過ぎの堅苦しい女騎士が着るにはかなりドギツ仕様である。だがそれがいい。


女騎士の反応が楽しみだなぁ(ド畜生)



「こっちも我ながらいい出来だ!」



手にしているのは2つの指輪ケース。それに収まっているのは銀色の宝石をあしらった指輪と、紫色の宝石をあしらった指輪だ。


こうして婚約指輪を作るのもかれこれ4回目、5回目。そりゃ既に嫁が3人居ますもの。


前に嫁達に作った婚約指輪を思い出す。あれも大概ヤバイ物を使ったなぁと思い返した。


とはいえだ。婚約指輪とは永遠の愛を誓うもの。元世界でダイヤモンドが使われるのはそれだ。永遠の輝きを貴女にっていうね。



銀月の涙。銀月龍の力の結晶であるその宝石は不滅の至宝でもある。


不紫花を濃縮して作り上げた紫の宝石はまさに不死の宝珠だ。



色もそれぞれのイメージカラーに会っているその宝石を材料として作られた指輪は婚約指輪として申し分無い逸品であろう。



かなり熱中して作成していたし、忘れた頃にメストカゲが飛びかかってくるのを鎮圧したりで時間はかなり経過している。


時は夕暮れ、日が沈んでいく。なんとか3日で仕上がった。


婚約指輪を眺めていたら彼女らを思い出して逢いたくなった。帰るか



「《転送(トランスポート)》」



《転送》でひとっ飛び俺は王都に帰還した。










「あるじ?あるじ消えた?!あるじ何処に行ったんだ!?あるじっ!あるじぃいいーーーー!!!!」











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