#5 新婚初夜とか響きが良すぎる



翌日、昼過ぎのおやつ時。


場所は聖女ちゃんが軟禁されてた一室。


そこで俺を挟んで口論を繰り広げている2人が居た。




「この男は危険な存在だ!このような男の傍に聖女様は置いてはおけません!この男は私に任せてください!私自ら四六時中、離れること無く、この男の傍で監視しますので!ですから聖女様はここで救いを求める者共の相手でもなんでもしていて下さい!」


「そのような事、認められません!既に私の身も心も全てガンマ様のモノ!常に傍らで、ありとあらゆるサポートをするのが私の役目です!ラナさんこそ団長なのですから、仕事は山ほどあるのではないのですか?それが1人の殿方にうつつを抜かして四六時中、侍っているなどと!ちゃんと責務を全うしてください!」


「どの口がそんなことを言いますか!聖女様こそ、ご自身の立場を理解しているのですか?貴女は教会のシンボルにして王都を代表する聖女ですよ?それがあろう事か1人の男にうつつを抜かして、ところ構わず乳くりあって!羨ましい!私なんてこれまで立場とこのキツい性格で恋人など出来たこともなく仕事ばかりの枯れた人生を送ってきたというのに!周りからは仕事が恋人だ、いきおくれだ、なんだと陰口まで叩かれ!さらには自分の半分も生きてない小娘が男を作って旅に出ますだと?ふざけるな!私だって恋人と甘ったるい幸せな旅生活を送りたい!あと結婚したい!」



悲痛な叫びだった。涙ちょちょぎれる。


モンスターが溢れるこの世界。常に死と隣り合わせだ。だからか大抵は10代後半でみんな結婚して子供を作る。


そんな中で三十路で処女で年齢=彼氏無しとか、いきおくれの残念なオバサンでしかなかった。


嫁の貰い手も無く。仕事に明け暮れた結果が神殿騎士の団長という立場なんだろうね。世知辛いね。


でも、そんな貴女で居てくれてありがとう女騎士。そういうのもめっちゃ好き。愛してる。





「私はもう残りの人生をご主人様に捧げると決めた!団長なんてやめてやるっ!結婚する!寿退団だ!私にあんなことやこんなことまでしたのだ!責任とってもらう!」


「たった一晩愛されたぐらいで嫁気取りですか!?そういうことは、もう既に1ヶ月以上毎日愛を注いで貰っている真の嫁たる私に話を通してからにしてください!」



すまん聖女ちゃん。俺、故郷には既に年単位で愛を注いで妊娠した嫁が3人居るんだ……。


出会った当初に話した事あったんだけど記憶から抹消したのかな?



「なにを!小娘の分際でっ!おまえなんか、ただ、ご主人様と出会うのが私より早かっただけだろ!それに、見ろっ――!」



ばっと女騎士は自分の服をめくりあげ、お腹を晒した。そこに見えるのは俺が刻んだ淫紋。



「な、な、なっ!?そ、それは……っ!?」


「ふふふ、その様子ではこの刻印の事を知らないようだ!これはご主人様が私に刻んでくださった愛の証!これで私はご主人様と深く繋がりあっているのだ!言わばご主人様のたった1人の特別!どうした小娘、おまえにも勿論この刻印があるのだろ?」



すまん女騎士。それ実験がてら、結構いろんな人に使ってる。人以外に使うとどうなるか気になって近所の野良犬とかにも使ったことがある。あとモンスターにもよく使う。



「……ぐぬぬぬぬ!ガンマ様っ!あれはどういうことですか!?何故ラナさんにはあれがあって私には無いんですか!?」



おっと飛び火が。


確かに聖女ちゃんに《刻印》は使ってない。


いやだってアレ、女騎士を屈服させる過程で刻んだもので、聖女ちゃんに至っては最初からほぼのりのりだったから特に使う必要も無かったってだけなんだが。


駄々っ子のように、ぽこぽこと俺を叩きながら訴える聖女ちゃん。まったく痛くない。くすぐったい。やめて興奮するから。



「ひゃっ!?」



ぽこぽこ叩いてくる聖女ちゃんの両手を捕まえる、くるりと回して背中から抱きしめた。



「よーしよしよしよし」


「ふぇぁああーー……」



わしゃわしゃと頭を撫でくりまわすと聖女ちゃんの体から力が抜ける。気持ちよさそうに蕩けた表情になった。



「ロエちゃん。あの淫紋は生意気なラナを躾ける為のものだ。ロエちゃんはラナとは違って素直ないい子だろ?だったらアレは必要無い」


「はひっ…ロエはいい子でしゅ…!」



耳元で優しく囁くと、蕩けた表情をさらに惚けさせて聖女ちゃんは答えた。へたりとその場に座り込む。



「うぅ……!またそうやって2人でイチャイチャして!やはりご主人様は私のような、いきおくれの堅物女など及びじゃないということですか!?」


「ラナ、おすわり」


「……っ!?」



喚き出した女騎士に一言。それだけで女騎士はさも嬉しそうに近寄ってきておすわりのポーズ。おそらく、しっぽがあったら高速で振っていたところだ。



「ラナ、待て」


「はいッ!!」



はぁはぁと呼吸を荒らげ舌を出して俺の指示に従う。すっかり訓練されたメス犬と成り下がった。


しかし、まぁ、一晩でこれかぁ。淫紋で躾けた効果が絶大すぎる。今更だけど俺の呼び方がご主人様になってるし。



「正直、おまえがどう思ってるとか、これからどうしたいだとか、なんだとか。俺の知ったこっちゃ無い」


「そ、そんな……!」



絶望に顔を歪め、今にも泣き出しそう。


あの凛々しく気高かった昨日までの女騎士の見る影はまったくない。


三十路を過ぎて結婚間近だと思ってたら、彼氏が若い女と家を出ていった時のOLみたいな悲壮感溢れる表情である。



「ラナ。おまえがどう思っていようが知らん。俺はおまえを離すつもりなんて無い。爪先から髪の1本まで全部俺のモノだ。残念だがもうおまえに自由は無いし死ぬまで一生、俺の傍にいてもらう」


「……うぅ……っ!ご主人様ぁああーー!!!」




泣きながら俺の腰にすがりついてくる女騎士。三十路のオバサンがガン泣きである。わりときっつい。


でもそんな所も好きよ。




「待てもろくに出来ないのか、この駄犬め」


「うぅ……ぐすっ……ごめんなさぃ……でも……その……う、嬉しくで……!」



求めて居たものとは若干(?)違うだろうけども、おそらく誰かと一緒になるということは女騎士の秘めた願いだったんだろう。結婚したい言ってたし。


言った通り一生死ぬまで大事に使ってやろうと思う。



「まったく…これはまだまだ躾けが必要だな…」


「はい!ラナの事いっぱいいっぱい躾てくださいご主人様!」


「ラナばかり狡い!ガンマ様!私もいっぱい躾てくださいっ!」




このあと2人ともめちゃくちゃ躾けた。


















それからしばらくの時が経った。


聖女様の失踪。

司祭の悪事の発覚。

そして神殿騎士団長の引退。


立て続けに起きた事件での混乱も最近ようやっと収まってきた。連日、聖女ちゃんと女騎士の2人を相手にする俺の性欲は全く収まる気配は無いが。


それはともかく、聖女ちゃんの1件については俺を「女神様の神託により選ばれた魔王を討伐する者」として世間に大々的に発表。聖女ちゃんはそれのお供ということにして無理矢理収めた。ついでに女騎士も俺の手助けをする為という名目で団長引退と言うことにした。


聖女ちゃんは兎も角、新しい団長の選出とか、教会粛清祭りの人員補給とかに一通りの目処がついたわけだ。


なんだかんだで1番働いていたのは女騎士。快楽堕ちして従順なメス犬に成り下がったとはいえ、元はクソ真面目な堅物団長。昼間は関係各所とのやり取りに奔走していた。



「これらの仕事は憂いを断ち、完全なご主人様のメス犬となる手続きのようなものです。となればモチベーションも高まります。それに真面目に働けば働くほどにその夜の行為の快楽が増します。「皆に頼られ尊敬される私が、ご主人様の前では卑しく無様にお情けを懇願するメス犬でしかない」そう考えると……はぁ…!はぁ…!」



立派な変態に仕上がっている女騎士。キャラ崩壊もいいところだ。


真面目な私が裏ではこんないやらしい事を!的な背徳感がいいんだろうね。多分。


とりあえずそんな女騎士の仕事っぷりは凄まじかった。女神の加護を失ったとは思えない働きっぷりであった。


そう女騎士も当然ながら処女を失って女神の加護が無くなり弱体化した。


俺と戦った時に使った光魔法全般に回復魔法や状態異常耐性等々あらかた綺麗さっぱり無くなった。


王都でも1、2を争う実力者であった神殿騎士団長にはもう中堅冒険者程度の戦闘力しかない。彼女の武器は今や鍛え抜かれた剣技ぐらいしかないのが現状である。魔法はほぼ使えない。



「そもそも女性の神殿騎士は大半が20代前半で結婚と共に引退します。私のように30を過ぎてまで神殿騎士をしているのがそもそも稀な例で……くっ……私だってホントなら既に結婚して子供を作って幸せな家庭を……うぅ……今まで私は何を……」



とってもナーバスになった。いろいろ不憫だったのでその日はまるで付き合いたてのカップルのようなイチャラブプレイでもって嫌という程に愛してあげた。


基本的には女騎士の扱いはメス犬のそれだが、たまにはこういうのもいいだろう。これまでの寂れた人生の埋め合わせとばかりに、心も体も潤いいっぱい汁いっぱいで見たしてやりたいとは思う。



「結婚式がしたいです」



そんな甘さを見せた結果がこれである。死ぬほど懇願された。全裸で土下座もされた。足の指1本1本丁寧に舐められもした。「女性の神殿騎士の引退は結婚!故に引退は結婚式と共にあるのだ!」と力説もされた。それを聞いた聖女ちゃんが「私が先です!」と言い争いにもなった。



俺は想像した。結婚初夜。純白のウェディングドレスを着た2人の嫁をスケベな白い液体塗れにする光景を。



ヤらねば(大興奮)



「わかった。1週間――いや3日でいい時間をくれ。準備してくる」



王都に来てからは教会の一室に入り浸り聖女ちゃんと女騎士相手にイチャラブ。飯やなにやら生活に必要なものはだいたい教会から拝借するというヒモみたいな生活を送っていた。女神のお膝元、不届き極まりないのは今更の話。


金?無いですが何か?(屑)


しかし、それでは格好がつかない。これは遂に甲斐性を見せる時が来た。


ウェディングドレス姿の花嫁を汚したい。スケベに対する飽くなき衝動と共に俺は動く。全力で準備しよう。



まずはウェディングドレスだ。とっておきの物を用意したい。


泣き縋り「3日も我慢できません!」とついてこようとする2人を言いくるめるのは大変だったが、何とか説得して1人で旅立つ。


2人一緒だと3日で帰って来れなくなる。少なく見積っても3ヶ月ぐらいかかる(性的な意味で)


俺だってツラいが、これも新婚初夜ックスのため我慢だ。


向かった先は王都から離れたところに位置する『デスフォレスト』と呼ばれる場所だ。全力の身体強化で《粘液(ローション)》を足裏に纏ってかっ飛ばして来た。


このデスフォレストに生息するモンスターはかなり凶悪で、一般人はまず近ずかない。上位の冒険者のひと握りの者しか足を踏み入れないと言われるいわく付きの森だ。


ここの奥地にはカラミティ・デス・フォレスト・プリンセス・スパイダー・クイーンと呼ばれる災害級の特級モンスターが生息しているらしい。


なんでもそいつの糸で織った布の質は通常の物に比べて段違。滑らかな肌触りはあらゆるものを魅了し、見た目の清廉さは絶世の美女の如く。おまけに布であるにも関わらず物理耐性魔法耐性共に1級品。王族すら喉から手が出るほどに欲するものらしい。


ウェディングドレスの素材としてこれ以上のものは無い。ならば取りに行くまで。


立ちはだかるモンスターを《透明化》やら何やらで華麗にスルーしつつ森の奥地。カラミティ・デス・フォレスト・プリンセス・スパイダー・クイーンを目指して駆け抜ける。



最高級ウェディングドレスで新婚初夜……はぁ……はぁ…。



息が上がり脳が沸騰するようだ。俺の集中力は極限にまで高まっている。


デスフォレストを駆け回ること数時間。


奥地にて、発動させた探知魔法に大きな魔力反応が引っかかった。蜘蛛っぽい。おそらくカラミティ・デス・フォレスト・プリンセス・スパイダー・クイーンだろう。ようやっと見つけた。


魔力反応があった現場に到着する。そこは鬱蒼と生い茂る不気味な木々が立ち並び、辺り1面蜘蛛の巣に覆われていていた。そして、見上げた先に"それ"は居た。


小さな家屋ほどある巨体に白い体毛と赤く発行する甲殻。丸太ぐらいはありそうな太い八本足。深淵より深く不気味な黒い6つの瞳。



「でっか……」



思わず声が漏れた。とにかくデカい。



「先手必勝!《擬人化(ヒューマナイズ)》ッ!」



大蜘蛛攻略の算段はつけてある。だらだらと時間をかけるつもりは無い。出会い頭に俺はデカい蜘蛛に向けて魔法を行使する。



《擬人化(ヒューマナイズ)》

48のスケベスキルが1つ

無機物からモンスターまでなんでもかんでも人間の身体に作り変える魔法だ。まぁ、そのまんま擬人化である。元世界の日本文化的には定番のやつ。日本人は基本的になんでもかんでも擬人化しおる。そういうとこ嫌いじゃない。


擬人化した人外娘とスケベしたかった。その一念の元に制作した魔法だ。しかし、そもそも魂があるものにしか効果が無く、魂の無い無機物は効果範囲外。でも呪いの魔剣とかには有効であった。



「くっ……このッ……!!」


「――――ッッ!!!」



大蜘蛛の金切り声の様な不快な叫びが木霊する。



かなり抵抗が激しい。《擬人化》をレジストしようと雄叫びを上げている。


伊達に特級モンスターじゃないか。



だが俺のスケベにかける想いにッ!勝てるものなどいないッ!俺のありったけを受け取れッ!



「モンスター娘にぃいい!!!なぁあああああれぇええええええええーーーーッッッッ!!!!!」












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