#3 いきおくれの女騎士とか大好物





「改めて自己紹介をしよう。私は神殿騎士団、団長のラナ=スロコックだ」


「旅の冒険者ガンマです……」




テーブルの対面に腰掛け腕を組んでいる騎士様。


薄紫色の癖毛のセミロングヘアー。目つきは鋭く気の強そうなところが伺える。The女騎士と言った風貌のラナさん。まさに女騎士。


不愉快が顔に張り付いたような表情をしており、見るからに機嫌は悪く。俺と、そして隣に座る聖女ちゃんを睨みつけている。


イタズラがバレて親に叱られている子供の如く。俺達2人は縮こまっていた。






豚箱直送をキメた司祭の周りが徹底的に調査された。まぁ調査せずとも《本音》の影響にあった司祭が自らほとんどをゲロったのだが、その裏がとれた。


出てくる出てくる汚職の数々。


司祭は女の子達を食い物にする他にも裏で様々な悪事に手を染めていた。


確かに物的証拠は無いに等しかったが、司祭自らが語ったこと、それと司祭の共犯者達は多数存在したので、そいつらにも俺が《本音》をかけて回った。


やっぱりなぁ教会のお偉いさんと言えば権力を駆使してエロい事してて貰わんとなぁ(偏見)


そんなんで司祭とその他諸々関係者はまるっと処罰される事になり。教会で大粛清祭が開催。ここ数日は大変ごだごだしていた。


この混乱に乗じて俺と聖女ちゃんの関係も有耶無耶にならんかな、と淡い期待を抱きながら教会でこっそり聖女ちゃんをイチャラブしていた所。




「な!?お、おま、お前たちは一体、なななななナニをしているのだ!?」




神殿騎士団長のラナさんに見つかり、聖女ちゃん共々しょっぴかれ、教会の一室に居た。




「まったく!お前達はこの忙しい時に一体なにをしているんだ?節操が無いにも程がある!しかもここがどう言った場かわかっているのか?女神のお膝元である教会だぞ?そんな神聖な場所で、あろうことかあのような……ふ、ふしだらな事をっ!人とモンスターの違いは何か?それは人には本能を抑制する理性があるということだ!モンスターは本能のままに行動し、せ、せ――ゲホンゲホン!繁殖しますが、我ら人には理性があるのです!しっかり段階を踏み、お互いの理解を高め、しっかり心を通じ合わせ。そして、婚姻した後に”ああいった行為”はするべきなのです!確かにせっ――じゃなくて…は、繁殖行為は生きていく中で必要な行為ではありますが!それはしっかり時と場合を考えることだ!それをあんな人目が着くかも知れない場所でするなどと!現に見つけたのが私だからよかったものの、他の人に見つかっていたらどうするつもりだったんだ!?そういった理性の欠けた行動は人ではなくモンスターの所業だ!我々はモンスターではなく人、それをしっかり理解してもっと節度のある行動をとらねばならんのだ!このバカ者共が!だいたい――ガミガミガミガミガミガミ……」




説教なう。長い、口説い。どんどんヒートアップしてる。これまだ暫く続きそうだ。


ここ数日、神殿騎士達は司祭のごだごだで忙しく動き回ってたから、きっと疲れてるし、ストレスも溜まってたんだろうなぁ。


ひと段落したところで、俺と聖女ちゃんがこそこそイチャラブしていた現場を見つければ、そらブチ切れもするわな。


このお堅い性格に神殿騎士という立場上、処女である事は必須だろうし、恋人とかも居たことも無いだろう。


見たところ美人だが人を寄せ付けないタイプの美人だ。おまけに年齢も20代後半か、下手したら三十路ぐらい。



いきおくれ。そんな言葉が脳裏を過ぎり興奮した。



いやだって、いきおくれの処女で美人な大人のお姉さんとか最高じゃん?おまけに女騎士でしょ?もう言うことなくね?めっちゃ好き。


是非とも、男を知らぬ女騎士さんに男とは何たるかを教えこみたいところである。



そんな馬鹿な妄想をしてる間も女騎士さんの説教は続く。


長いなぁ。いつ終わるのかなぁ、これ。もはやほとんど聞いてない。



俺はテーブルが死角になって女騎士さんから見えないのをいいことに、隣に座る聖女ちゃんの下半身に手を伸ばした。



「…………ッ!」



一瞬、ビクリと身体を震わせたが、聖女ちゃんは表情を変えることなく、女騎士さんの話を聞いている。


くくく、聖女ちゃん。いつまで俺の攻撃に耐えられるかな?


表情は変えず、心の中でゲス笑いしながら俺は聖女ちゃんの下半身をまさぐる。



「…………んっ」



必死に表情を変えまいと頑張っているようだが、薄ら頬が赤くなってきた。



「…………!」



反撃とばかり聖女ちゃんの手がこちらの下半身にのびる。ふっ、流石は聖女ちゃん。1ヶ月以上にわたって、いろいろ仕込んで来ただけはある。わかってるじゃないか。



俺VS聖女ちゃん。勝利条件は相手を自分より早くイカせる事。ファイ!



女騎士さんの説教が響き渡る中。俺と聖女ちゃんの仁義なき戦いがこっそり始まった。


勝者は聖女ちゃん。俺は3回ほどヌかれた。聖女ちゃんのテクニックしゅごい。まさかこれほどまでに成長しているとは思わなかった。悔しかったので聖女ちゃんを派手にイかせてあげた。



「きききききききききさまらはい、いいいいったいなななななに、なに、ナニをしているんだぁああああッ!!!!!!」



もちろん女騎士さんにバレた。今度は2人揃って正座。



このあとめちゃくちゃ説教された。













女騎士さんの説教が終わる頃にはすっかり日は沈んで夜になっていた。


おまえらは一晩、頭を冷やせとばかりに聖女ちゃんは鍵付きの部屋に軟禁、俺は地下牢に叩き込まれ、変な事を出来ないようにと魔力封じの手枷をされ、おまけに鉄球の重り付き足枷をされた。念を入れすぎじゃね?



しかし俺と聖女ちゃんの仲を引き裂こうなどと卑劣の極みである。人肌恋しくて早速死にそう。俺、スケベ出来んと死んでしまうねん。



まぁこの程度で俺を押しとどめておけるなどと舐めた真似よ。秒で脱獄出来るわ!ちなみにじっとしているという選択肢は無い。



どれ脱獄するか。そして聖女ちゃんに逢いに行こう。今、貴女のガンマが参ります。



まずはあたりの様子を伺う。見張りは1人。神殿騎士か。


ん?あの神殿騎士、女の子じゃね?


神殿騎士専用の白銀のフルプレートアーマーを身につけて、身体の凹凸もわからなければ、フルフェイスのヘルムで顔も見えないが。


俺には男か女かは匂いでわかる。経験のある無しもわかる。


間違いない。見張りの神殿騎士は女の子である。



となればあの神殿騎士ちゃんを篭絡して――。



ガチャリ。



俺がよからぬ妄想を始めたところで牢屋の扉が開かれて、中に人が入ってきた。



「大人しくしているか?」



女騎士、ラナさんだった。



「見ての通りだが」



手枷、足枷をガチャガチャさせながら答える。これじゃ動けませんよというアピールだ。


一瞬前まで、神殿騎士ちゃんを手篭めにして脱獄しようとか考えてたが、まだやってないのでセーフ。


微妙に危なかった。もしタイミング悪く俺が脱獄を試み、神殿騎士ちゃんにスケベしてるところを見られていたら、おそらく今度は俺の首を物理的に飛ばそうとしてきたに違いない。




「おまえに話があって来た――ちょっと外してくれるか?」


「かしこまりました」



女騎士さんが声をかけると、神殿騎士ちゃんはひとつお辞儀をして牢屋から出ていった。


さらば神殿騎士ちゃん。ちょっとの名残惜しさ。人の出会いって一期一会だね。



「それで俺に話って?」


「まずはそうだな。この度の司祭の件について礼だ。あの司祭。私も前々からきな臭いものを感じてはいたものの、なかなか尻尾を捕まえられなくてな。まさかあの様な……」


「《本音》か?相手に自分の考えてることを喋らせる俺のオリジナル魔法だ」


「そう、それだ。まさかあの様な魔法が存在しているとはな…驚いたぞ。何にしてもアレのおかげで教会の膿を出すことが出来た。その事での改めての礼だ感謝する」


「感謝してるならここから出して貰えません?」


「それとこれとは話が別だバカ者。おまえに感謝はしているが、私の前であのような事をするなどと……!流石に目に余る!今夜はここで頭を冷やせ!」



昼間の事を思い出したのか女騎士さんは怒りに震えながらも顔を赤くした。


俺と聖女ちゃんが机の下でバトってた時なぁ。バレた時に俺は下半身丸出しだった。その俺の息子ガン見してたんだよなぁ、この人。


魔力と性欲の関係。神殿騎士団長の女騎士さん、もちろん相当な実力者であろう。ということはだ。きっと性欲も強いのだろう。ワンチャンお父さん以外のは初めて見た!とかもありそう。



「ゴホンっ!とりあえずその話はこれまで。次の話というか本題だ」



咳払いと共に話を切って、改めて女騎士さんは話を再開する。



「聖女様の事だ。ここ数日でおまえと聖女様の関係は充分に理解出来た。多少――いや、かなり問題がある関係性ではあるが……おまえに脅されているか、洗脳されているかの線も考えたが、それは無さそうだ。聖女様が心よりおまえと居ることを望んでいる。それは良しとしよう」


「それなら――」


「とはいえだ。おまえと関係をもって聖女様の力は失われた。もはや今はただのか弱い町娘となんら変わらん。しかし聖女は聖女。協会のシンボルにして民草の心の支えでもある。だからこそ、少しばかり不思議な魔法を使えるだけの、どこぞの馬の骨には任せられん」


「だったら、どうしろと?」


「力を示せ。おまえが力を失った聖女様を任せられるだけの実力があると証明して見せろ」


「腕試しか?それなら話は早い!それでロエちゃんを連れてっていいって言うなら願ってもない!」


「ふん…まだなにをするか聞いてもないのに随分と強気だな」



そりゃあなた他のことならいざ知らず。女の子がかかった勝負となれば、俺が負ける道理はない。


どんな相手だろうと、どんな状況であろうとも、なんだってするし、どんな手を使ってだった確実に勝ちに行く。そうしてこれまで生きてきたし、これからもそうして行く。



「私自らおまえの実力を測る。私と勝負だ」


「え?それでいいの?」



もっとドラゴン倒してこいとか言われのかと思った。



「団長さんホントにいいの?俺と勝負して?どうなっても知らんよ?」


「……舐めた口を聞く……自惚れるつもりは無いが、私は精鋭と謳われる王都でも名の知れた神殿騎士団団長だぞ?おまえはそれをわかって、その様な口を聞いているのか?」



女騎士さんは僅かに怒気を孕んだ声で言う。



そうは言われてもなぁ……俺の持つ48つのスケベスキル。スケベスキルが故にどう言った相手に対して最大の効果を発揮するかなど言わずもがな。


女の子とスケベするために開発したスキルなのだ。それ以外の事でも使えるってだけで、本来の目的は女の子とスケベするためのスキルなのだ。



女性相手の勝負って事はそういうことだろ?(違)



その真価。とくとその身に味わってもらうかね。女騎士さん。














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