第19話
澄香ははっと口を押さえる。
「あいつはやってはいけない事をした、したんだ! 許せる範囲を超えている……だから僕は亮平を殺す……でも、そうしたら僕は人殺しだ、日本には帰れない」
「……なら、私もこの世界に残ります」
澄香はよどみなく答えた。
「ダメだ! 君は……」
「この一件は私にも関係がある事です。あなただけに重荷を負わせないわ」
「でも」
「もう決めたこと」澄香は微笑む。
「だけどずっと一緒にいてね」
橙夜は強く拳を握りしめた。涙が止まらない。
彼は自分の甘さと弱さを己で嫌悪した。
……あの時、亮平を殺すべきだった。澄香は『優しさ』と言ってくれたけど、違う。あれは『弱さ』なんだ。その為にテオは、エヴリンは……。
「ジュリエッタ!」橙夜に呼ばれてはらはらと見守っていたジュリエッタがびくりとする。「頼む、僕に亮平を殺す技を教えてくれ」
「……いいの?」
「ああ」
「分かった……あんたにあいつの殺し方を教えるわ……でも勘違いしないでね! ……これはあんたの為だからね。トウヤの為だけだから。そして、あたしはあたしの為にバロードを殺すわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます