24 乳姉妹との再会
冬の休暇にはさすがに家に戻った。
この時には家からポーレとゲオルグが迎えに来た。
駅までは皆と一緒だった。
鞄一つの荷物とかさばらない程度の土産を持って、乗り合い馬車に揺られて行く。
「リューミンは残留組なのね」
「向こうは雪で支線が止まることがあるからって」
「残念だろうなあ、向こうの家族は」
だろうな、と夏に会った彼等を私も思い出していた。
あれは本当に楽しかった。
「それじゃよい年を!」
「よい年を!」
言い合って、それぞれの地方に向かう停車場へと向かった。
すると暖かそうな格好に身を包んだポーレが大きく手を振っていた。
「テンダー様あ」
「ポーレ!」
私は駆け出していた。
「元気だった!」
「また戻らないのかと心配でしたよ~」
「夏はごめんね。でも新年は一応家で過ごさなくちゃ」
そして既に取ってあった客車にまた乗り込んだ。
「皆二等でもいいのに」
夏のことを思い出し、ぼそっと口にした。
すると。
「「それは駄目です」」
二人の声が揃った。
「少なくとも、自分がついている以上、ちゃんとお嬢様を一等車でご無事に帰さないといけません」
ゲオルグは――以前はあまり気付かなかったが、なるほど真面目なんだなあ、とふと思った。
「それに私もテンダー様と久しぶりに沢山話したいです!」
ポーレのその言葉には、使用人的にはどうか、という視線が彼から放たれたが。
*
走り出した列車の中で、先に私はポーレとフィリア宛てのお土産を渡しておいた。
「戻ってからのことが今一つ想像できないので、今のうちにね」
「そうですね…… やっぱりテンダー様が居ないと伯爵家の仕事も私はつまらないです……」
ポーレはしゅんとなる。
「そう言えば最近はどう? 東の対の人達は」
私は妹と、彼女と一緒に過ごしている両親のことを尋ねた。
「ああそうですそうです、聞いてくださいよテンダー様!」
ぐい、とポーレは身を乗り出した。
「最近向こうのお嬢様が東だけでなく、本館にお友達を呼ぶ様になりました」
「本館に?」
本館は、朝食と正餐の時にだけ行く場所だった。
それは基本的には自分もアンジーも同じはず。
「何でも奥様が訪問した先の同じ年頃のお嬢様方をお招きになって、お茶会を、と」
「……何だか大変そうね」
「大変なんですよ! 十二、三のお嬢様方が、奥様方を真似たお茶会を開くから、と招待状が飛び交うわ、それまで真面目にやって来なかったピアノを弾き出すわ、ドレスはこれがいいあれがいい、って型録を奥様と首っ引きで……」
「で、それにメイド達が皆かき回された、と」
「そうなんですよ……」
はあ、とポーレはため息をついた。
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