【23】皆さん神対応すぎませんかね?


 あの『小さな(でかい)イノシシ』からディル君が採取した宝石。

 どうやら、魔力を流すと強力な効果を発揮する代物だそうで、扱いを間違えると街が吹き飛んだり、持ち主が廃人になったりするそうだ。

 危なくって触っていられない。当たり前だ。

 私は何てものを売りつけようとしていたのか……。


 一目見て危険性を見抜いた道具屋のご主人は、すぐに通報した。当たり前ですね。

 来てくれたのがあの衛兵さんだったのが不幸中の幸いだった。


「ああ、今度こそ逮捕だあ。監禁だあ……!」

「そうなんですか?」

「そうなんですよディル君!」

「そうなんですね。あ、呼ばれたので行ってきます」


 騒ぐ私を余所にマイペースを貫くディル君。

 ……もしや私がヘタレすぎ?


 ディル君と何やら話をしていた衛兵さん。しばらくしてこちらに来た。


「それでは、行こうか」

「はい……できれば、初犯なので拷問は勘弁していただきたく……」

「? 何を言っているんだ」


 お互い首を傾げる私と衛兵さん。


 彼に連れられて向かったのは、大通り沿いにある三階建ての建物だった。

 ああ、ここが収容所……さすがに立派だなあ……あはは。


「レギエーラのギルド本部だ」

「へ? ギルド?」

「道具屋の主人が心配していたぞ。この宝石はまずギルドの管轄。けれど露店のいち商人に引き取りを依頼するなんて、誰かにだまされているんじゃないかとな。あんたの連れから事情を聞いて、その疑いは晴れたので良かったが」


 皆さん神対応すぎませんかね?


「レギエーラは初めてだから迷ったのだろう? 次回からは、このギルドを訪ねるといい。ああ、心配するな。ここの連中は皆、紳士的な連中で――」


 どがっがしゃがらがらがっしゃーん!!


 ……お?


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