【14】おすわり


 翌朝――。

 窓から差し込む太陽の光で目覚めた私。ザ・自然な寝起き。


「……」


 スマホのアラームで叩き起こされないのって、いつ以来だろ。

 朝って、こんなに気持ちよかったんだね。

 銀狼形態のモフモフディル君を起こさないように、ゆっくりと立ち上がる。


「……主様? おはようございます」

「うん。おはようディル君。ごめんね、起こして」

「いえ。主様と一緒に起きれて嬉しいです。俺」


 なんだその歯が浮くような台詞は。

 ぞわぞわするではないか。


「……ごほん。私、これからシャワーを浴びたいんだけど」

「湯浴みのことですか? ご案内します」


 そう言うと、狼姿のまま私の前に来るディル君。これ、乗ってってこと?

 おそるおそる、背中にまたがる。


「おお……!」


 モフモフなのに安定感抜群だ! すごい、お尻が痛くならない!

 とてて、と軽快に進むディル君。湯浴み――つまりおフロ――がある場所は少し離れた場所にあるらしい。無駄に広いよ。


 風呂場に到着。


「お湯なら俺が――」

「おすわり」

「はい」


 大人しくその場で座るわんこ。よし。

 いくら狼の姿だからって、ディル君が見てる前でシャワーなど浴びれるはずがない。


「さて」


 昨日に続いて魔法の実践だ。

 目標、魔法でシャワーを浴びよう!


 ……チートの無駄遣いキタぁ……!

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