【6】誰をさばくんですか?


「ここは、元々カナディア様が神に至るために建てられた城なんです。聖域内には魔力が溢れ、城の設備はありとあらゆる不可能を可能にします。もっとも、今はカナディア様をお送りした直後ということもあって、ほとんどの機能が休眠していますが。かくいう俺もそのひとつで」

「え? じゃあディル君、この城の一部なの?」

「そうとも言えるし、そうじゃないとも言えますね」


 あっけらかんとした口調で答えるディル君。なんじゃそら。

 けど、少し手のかかるやんちゃな弟のような雰囲気があって、どこか憎めない。


 ……というか、ありとあらゆる不可能を可能にって。どんだけチートだよこの城。

 世界征服でもするつもりだったのか?


 まあいいや。

 このお城が超チートってことは、アレもイイモノでしょう。


「ディル君、さっそく案内して欲しいところがあるんだけど」

「はい。喜んで」

「キッチンって、どこ?」

「誰をさばくんですか?」


 怖いこと言わないで。


「平穏な生活の基本は寝るところ、着るもの、そして食べ物!」


 生前はろくに料理もできなかった。

 今度こそ、ちゃんと温かく美味しいものを食べよう!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る