森の戦い


 全速力でフリッツから逃げながらも探知は止めていない。

 付近で活動している冒険者とか避けないといけないからね。だって彼らがフリッツとかち合うと即倒されてしまうもの。

 余計な被害は出したくない。

 問答無用なフリッツのギルマスへの攻撃。

 ギルマスはなんにもできなかった。あんなに強かったのに。

 それほど実力差はあったんだ。

 この街ではフリッツに対抗できる冒険者はいない。

 だから、これ以上犠牲を出すわけにはいかないもの。

 とはいえ、簡単に捕まるつもりも私にはないよ。命かかっているしね。

 別に目的も無く逃げているわけじゃない。

 この森の奥に行けばフリッツでも苦戦する魔物はいる。少しは時間が稼げるはずだ。

 他力本願ならぬ、魔物本願か?ま、なんでもいいや。足止めに使うのだ。うまくいけば手傷を負わせられるかもしんないし。

 でもね~、先に私が魔物に襲われたら意味もないのだけどね。

 ま、なんとかなるでしょう。

 これまでもこの森で魔物を避けて活動していたのだ。そこがフリッツに対抗するための私の唯一のアドバンテージだ。


 なめんなよ!

 簡単に捕まえられると思うなよ!


 でも結構焦っている。

 実はフリッツの追跡速度は強化した私の走る速度より早い。まじかよ。

 このままじゃ追いつかれるのは確実。

 そこまでに相応の魔物を見つけないといけない。必死に探知範囲を広げながら走るのみ!

 でもね、この探知は結構どころか、かなり辛い!

 だけど。

 自分の命がかかっているのだ!

 出し惜しみはできない。必死こいて探知よ!



 とか考えながら必死に逃げていたんだけど。

 フリッツより早いスピードで近づいてくる人型の何かを探知!

 移動速度がとっても早い!何者じゃ?


 あ。


 あ~。


 ・・・これって・・・もしや。


 うん、そうかもしれない。


 これはなんとかなるんではないか?


 アレが来たんだ。

 出不精だと思っていたんだけど。何があったのかしら?

 

 とりあえずフリッツに追いつかれる事は避けられるかも。

 でもフリッツを制圧できるかは未知数。

 アレ、相当鈍っているはずだもの。体動かさないし。

 

 大丈夫?

 ・・・・だよね?

 



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