status abnormality
正体不明の何者かに落とされたフリッツは森の木々に無様にぶつかりながら、なんとか減速し地面に着地する。
相応の衝撃が身体に伝わってくるが構わず動く。上空から何者かが接近してくるのが分かったからだ。
身体強化もかけたのだが完全に回避はできなかった。
後頭部に鈍い衝撃が伝わってくる。
その瞬間。地面が揺れているかのように視界が揺れ動く。足に力が入らない。
(不味い。回避できない!)
今度は鳩尾に鈍い衝撃を受ける。
息がつまる。
踏ん張れない。
フリッツは重力がなくなったように簡単に飛ばされてしまう。
背中に衝撃を受ける。
木にぶつかったのだ。
体勢を立て直そうにも足がもつれ立ってられない。木に寄りかかるように尻もちをついてしまう。
自分に何が起こっているのか理解ができない。
暴風の渦に巻き込まれたように抵抗すらできない。
混乱の最中フリッツは敵を探す。
しかし探知ができない。視界も妙に霞んでおり殆ど見えない。
耳鳴りがしてるわけでもないのに音も聞こえづらい。
(・・もしかしたら)
フリッツは慌てて自分の現在の状態を確認する。
(やられた・・・)
認識する。
そして襲撃してきた者の正体についても。
それから、もう逃げる事ができない事。
あの約定はきちんと遵守されていたという事。
色々と認識したのである。
(バッドステータス!・・少しの接触でここまで付与できる者を俺は一人しか知らない。いや、一人しかいない!)
自身の状態に愕然とする。
弱体化(レジスト失敗)
体力低下(レジスト失敗)
減速(レジスト失敗)
催眠(レジスト成功)
暗闇(レジスト中)
麻痺(レジスト中)
恐怖(レジスト失敗)
混乱(レジスト中)
猛毒(レジスト失敗)
封印(レジスト中)
老化(レジスト失敗)
呪(レジスト中)
自身の能力が激減しているのを理解する。
徐々に思考が鈍くなる。吐き気を抑えられない。体が小刻みに震えている。魔力循環範囲が狭くなっている。
己の戦闘能力が奪われているに等しいバッドステータスを付与されている。
(やられた・・・)
四天王に数えられた自分が簡単にバッドステータスを付与できる相手は少ない。
王である魔王。
そして・・・・勇者である。
この場に現れるのは勇者しかありえない。
しかしフリッツには何故勇者がこの場にいるのか理解が及んでいなかった。
自分が知らない約定があったのだろうか。
怒っているのは間違いない。
フリッツは自身の企みが失敗した事を悟るしかなかった。
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