第3話 体の異常(side:ヨハン)

シャロンと結婚してから1年たった

最近俺の体はおかしくなったのかもしれない


もともと色欲は強い方だったし学生の頃は毎日何度も女を抱いても足りないくらいだった

でも卒業した後は何度も抱くほどではなくなっていた


それがどういうわけか結婚してから毎日シャロンを求めてしまう

気持ちがいいからその点に問題はない

でも最近はそれだけでは足りなくなっているわけで…


持て余した性欲を処理するために俺は半年前から別の女と関係を持ち始めた

「相変わらずお盛んね?私は嬉しいけど」

差し出されたグラスの水を一気に飲み干した


「結婚したんじゃなかったっけ?」

「してる。毎日抱いてる」

「…それでこれなの?」

「そう言うなよマーガレット…」

「あなたなりに苦しんでるのかしら?」

項垂れる俺を見てマーガレットが笑い出す


限られた金で生活するようになって初めて、俺は自分のしてきたことを考えるようになっていた

共に生活する中で、シャロンのわがままや思い通りにいかなければ起こす癇癪は酷く、俺が知っていたシャロンはほんの一部だったのだと思い知った


今ならマリエルがあっさりとアジアネス家を捨てた理由が理解できる

同時に俺がレオンにしてきたことも最低の事だったと思う様になっていた


それもありシャロンへの気持ちは時間と共に嫌悪に変わっている

だからこそ毎夜そのシャロンを求める自分がイヤで仕方がないのだ


「笑い事じゃないんだぞ?まぁおかげで体力は付いたけど」

「確かに昔に比べていい体になったわよね?学生の頃は腹筋も割れてなかったし」

マーガレットは学生の頃にも体の関係を持っていた相手だ

家が借金を負ったため金持ちの後妻になることが決まっていた

今はその旦那もなくなり未亡人として悠々自適な日々を送っている


「でもねぇヨハン、私毎日あなたの相手するのはきついんだけど」

「そう言うなよ…」

「あなたには感謝してるし、元々嫌いじゃないから応えてあげたいのはやまやまなんだけど。だから代わりに2人紹介するわ」

「は?」

「多分あなたの相手、週に2日が限界よ?だから3人いれば何とかなるんじゃないかと思って」

俺はそんなに異常なのか…

本当に何がどうなったのか…

イヤではあるがシャロンで発散させようにも夜だけで限界なのは明らかだ

かといって娼館に通うような金もない


「心配しなくてもヨハンも知ってる人よ」

「俺も?」

「ええ。あなたが学生時代に私同様囲ってた子だから」

「囲ってたって…」

「事実でしょう?表向きはシャロンだけ。でも裏ではかなりの女に手を出してた。その内2回以上抱いたのは5人もいなかったかしら?」

「はは…確かに」

自分でも最低だったと今では思う

若気の至りでは済まされないだろう


「とにかく、その5人のうちの2人よ。エレーナとルーミー。2人とも私と同じように未亡人だから丁度いいと思うわよ」

「そうか…でも2人は…」

「大丈夫。2人とも同意は得てるから。これが住所と連絡先ね。暇だからいつ来てくれてもいいって言ってたけど」

マーガレットはそう言いながら笑う


「そうだ、もう一人、エミリー覚えてる?」

「ああ」

「あなたに会いたいって」

「俺に?」

「日曜日の15時そこの裏通り」

「…わかった。行くよ」

今さらどんな用かは分からない

罵られて終わりということも考えられる

それでもとりあえず会ってみようと思った

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