第2話 お父様との企み(side:シャロン)
婚姻の手続きが済んで話しもまとまるとヨハン様たちは先に戻っていった
「シャロンちょっと来なさい」
お父様が執務室に私を呼んだのはその時だった
「なーに?お父様」
「これを」
お父様がそう言って執務机に置いたのは小汚い麻袋と何かの液体の入った小瓶だった
「何これ?」
「いいかシャロン、ヨハン君はお前を愛してはいない」
「そんなことないわ」
「マリエルの本当の姿を見た時の反応を見てもそう言えるのか?」
「!」
私は唇をかんだ
マリエルの姿を見たとたん女神だと崇めやり直そうとすらしたヨハン様
引き止めようとした私を恫喝した時には何が起こったかわからなかった
「そんなの認めないわ」
悔しさに涙が溢れてきた
「私はずっとヨハン様を思ってきたのよ?ヨハン様だからこの体だって差し出したのに…!」
「少なくとも30年間、書類上お前たちは夫婦だ。でもお前の立場は弱い」
「…私はどうしたらいいの?どうしたらヨハン様をつなぎ止めることが出来るの…?」
縋る気持ちでお父様に尋ねる
「1日でも早く息子を産むんだ」
「息子…」
「娘じゃだめだぞ?息子だ。そのためにこれを使いなさい。この瓶に入っている液体は媚薬効果のあるものだ」
「媚薬…」
「無味無臭、無色透明だから食事や飲み物に混ぜてもわからない。日に1滴で効果は充分だ。それ以上はかえって悪い作用が働くこともあるから注意しなさい」
「…それを使えばヨハン様は私を求めてくれるの?」
「その通りだ。息子が生まれるまでこれを使って頑張るんだ」
「分かったわお父様。私、ヨハン様をつなぎ止めて見せるわ」
お父様がここまで考えてくれるなんて思わなかった
「この中には500万入っている。精の付くモノでも食べに行くといい。この薬との相性も抜群だからな」
その言葉に私は生唾を飲み込んだ
私が学園に入学した頃は毎日求めてくれたヨハン様
でもおじさまにアパートを貰ってからは執務を増やされたからと週に3日になってしまった
この半年は週に1度求めてくれればいい方なのだ
お父様には感謝しかないわ
お父様にお礼を言って積み込まれた荷物と共にインディペイト家の離れへ向かった
そして精の付くモノを食べさせるために外食に誘った
さすがに450万コールもするとは思わなかったけど元々お父様のお金だから構わないわ
後はこの媚薬を…
屋敷で紅茶を用意しながらヨハン様のカップに媚薬を1滴
“ポタッ…”
カップの中で波紋が広がっていくのを見ながら笑みがこぼれてくる
「ヨハン様紅茶がはいりました」
「ああ、ありがとう」
ヨハン様の隣に腰かけ、媚薬入りのカップをヨハン様の前に置く
喉が渇いていたのかヨハン様はすぐに飲み干した
そういえばどれくらいで効果が出るのかしら?
細かいことを聞き忘れたと悔やんだがその心配は必要なかったらしい
10分もしない内に私はヨハン様に押し倒されていたのだから
ヨハン様は獣のように私を求めてくださった
朝まで何度も子種を注いでくださったから子供ができるのも時間の問題だろう
媚薬のせいとは言え、毎夜求められることに私は喜びを感じていた
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