【 クルクル 】


 授業が終わると、すぐさま私はミントを問い詰める。


「ミント、ツンツンするのやめてよ! 何でそんなことすんの!」


 すると、ミントは机にその自慢の長い足をピンとした状態で乗せて、体をふんぞり返りながら両手を頭の後ろへやり、シャープペンシルを咥えて言う。


「だから、しゃんしぇーに当てられてるって教えてやっただろー」

「そうだけど、いつもツンツンするから、そんなの分かんないじゃない!」


「アズさぁ、前にツンツンされるの好きって言ってなかったっけ?」

「だ、誰が言うか! そんなもん!」


「電気が走っちゃうから~♪ って言ってなかったっけか?」

「だ、誰がそんな、で、電気って……」


 ミントは目を瞑りながら、シャープペンシルを口に咥えて、器用に円を描くようにクルクル、クルクルと回している。

 なぜかその姿を見て、ものすごく悲しくなった。


「……」

「あ、あれっ? アズ、お前、泣いてんのか……?」


 ミントになんか、涙なんて絶対に見せない。

 私は、二度首を振り、窓の方へ体を向けて、涙目で空を眺めた。


 今日の空は、やけに灰色の雲が多い……。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る