【 ツンツン 】


『ツン、ツン』

「だから、やめろ」


 小声で言っているから、聞こえないのか?

 今日のミントはいつもよりシツコイ。


『ツン、ツン、ツン』

「ミントいい加減にしろ」


 私がミントの方を見ると、彼は右手で頬杖をつきながら、左手に持ったシャープペンシルをおもむろに前の黒板の方へと向ける。


「先生が呼んでっぞぉー」

「えっ!?」


 その指された方角へ目を向けると、先生が何か私に向かって怒っている様子。


「おい、小山内おさない! 聞いてるのか! こんな問題も答えられないのか! 何、さっきからブツブツ言ってるんだ!」

「あっ! す、すみません……」


(ヤバイ……、先生のご機嫌がピサの斜塔だ……)


 頭を下げながら、右横のミントの様子を横目で見ると、薄ら笑いを浮かべている。


「だから、教えてやったろう。先生に当てられてるぞって」


 教室内のクラスの皆が私の方を見て、クスクスと笑っている。


 しかし、私の右隣で鼻高々なこいつ、お前の鼻は「ピノキオ」か!

 絶対に許さん。その鼻、いつかへし折ってやる。


 全部、ミントのせいだ。



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