#8

まだ朝方の校舎…

一人の教員が上へと上がっていた。その人は非常勤講師であり朝から4階へと上がっている

階段を使いてくてくと登っていく。4階へと着いた。ここはどこも鍵が閉まっている場所である

昔は鍵は閉まっておらずオープン状態だったが、悪い理由で扱う生徒がいたため全部閉まっている

その講師はとある部屋へと行く。その部屋はファリア達が使う部屋だった

この大学の教員一同は合鍵を持っており自由に部屋の鍵を解除できる鍵を持っている

そう言えば、まだアルカナ大学に入学したての人がここへ来て全部鍵が閉まっているのを知ってがっかりしてたっけ

教員は部屋の鍵を解除して開ける。そこにはキレイになった部屋があり、教員は少しだけ驚く

もしかして使うと決まったから掃除をしたのだろうか。そう思うとありがたい気分になる

?「あの子達、使うと決めたらきちんと清掃してくれたんだね」

そう言うと教員は笑顔になる。ハーフ種族というのは真面目な子が多いことだ。多分ね…

まだ時間があるためチラチラと見回る。とは言えど狭いスペースなので少しだけだが

やはり気になったのは殺風景なところと言ったとこ。少し花などを置けばいいとは思うが

今日はあるだろうか。もしあるのなら私が来よう。私だって実はハーフであり使っている生徒とほとんど変わりない

ある程度見回った。そろそろ自分の場所へ戻ろう。ドアを締めてきちんと施錠をする。これでいい

教員はその場を後にする

?「さて、後は私がハーフだと知ってもらって顧問になるべきだね…」


昼の大学内

もちろん色々な生徒と種族が集まってる食堂。ファリア達5人はまた食堂にいた

意外と食堂に集まれる時間は5人はほとんど一緒だ。1年生のセレネも食事を邪魔するような授業は無い

そんなハーフ一同。今日も食事をしながら喋っていた

バードン「今日は食事プラスアルファでりんご持ってきたよ」

美治「ほんとに持ってきやがった!?」

そう言うとバードンはりんごをバックから出した

ジェスト「それ、お母さんが用意したの!?」

バードン「いや?自分で買った」

そう言うと美治は言う

美治「お前そういう食事はねえだろ!」

セレネ「でも、お腹が膨れそうな気がしますね」

ファリア「いやいや。りんごだけじゃだめでしょ…」

ジェスト「だいたいあんた!アンデッドなのに歯は大丈夫なの!?」

バードン「大丈夫だって!アンデッドはギザ歯してるから歯は強いんだよ!」

意外な新事実。バードンが言うと歯を見せつけてきた

美治「やめろ!」

バードン「だから大丈夫~」

そう言うとバードンはりんごをがぶりと果実を噛み付いた。案外大丈夫らしい

バードン「ん~。りんごとはどうして美味しいものか。これは今日のサークルの話題決定だね!」

ジェスト「いやよそんな話題!」

ファリア「ジパングにあるみかんとか言うのはむちゃくちゃ美味しいって話はあるけど」

ジェスト「ファリア!ノったらだめ!」

ジェストがなんとかその話題を阻止しようと必死だった

セレネ「今度フルーツが提供されているカフェに行きたいですね」

ファリア「お!そうね。アタシも行きたいわ」

美治「お前らここでデートの予定かよ…」

バードン「ふー。食べた」

美治「もう食べたのかよ!?」

バードンは早食いなのか。芯だけ残しキレイに食べ終えた

バードン「今度は梨でももっていこ!」

美治「もう、勝手にやってくれ」

美治はさすがに物が言えない様子だった

ジェスト「全く…、で。今日の話題は果実の話は抜きね」

バードン「嘘に決まってんじゃん!」

ジェスト「あんたが言うと嘘に思えないのよ!」

セレネ「不死は真面目で正直者って言いますね」

美治「あまり調子の良いこと言うと更に調子乗るぞ」

バードン「正直者がバカを見るという言葉はあるけど…不死には関係なーし!」

バードンを除く4人はもう何も言えねえ状態だったという…


講義が終わった後

今日も5人は仲良く?4階へと向かう。当然サークルである

ファリア「ねえねえバードン」

バードン「ん?何ハーフエンジェルさん」

ファリア「ちゃんとファリアって言いなさいよ。顧問って…いるの?」

バードン「んー。実はその話一人顧問になりたいって教員がいるんだよ」

美治「それ初耳だぞ」

そう言うとバードンは全員に向けて話す

バードン「今日来るのかな?でもその教員はちょっと時間かかって来るみたいだから…」

セレネ「その人もハーフ、なんですか?」

バードン「らしいよ?なんのハーフだったかちょっと忘れたけど」

ジェスト「ふーん。じゃあ長く喋ったほうがいいかもね」

話しているうちに5人は部屋に着く。鍵を開けて部屋に入る。5人はいつもどおりに椅子に座る

ファリア「あれ?アルマ先輩とカナ子先輩は?」

バードン「もうそろそろ来るんじゃないかな」

美治「その冷静な根拠はなんなんだ…」

そう言うとドアが開いた

アルマ「やあみんな!」

カナ子「今日も来たにゃ!」

美治「バードンの予言が当たった!」

先輩登場。またお菓子を持ってきたみたいだ。あと飲み物

バードン「先輩達お疲れ様です!」

アルマ「もうちょっと君達に合わせておきたいけどね!」

美治「大丈夫ですよ?」

カナ子「とりあえず飲み物ね。はい」

今日はあまり見ない2Lのペットボトルを用意してくれた。お菓子は…

ファリア「あれ!これみかんじゃないですか!」

そう。果物のみかん。アルマは説明する

アルマ「なんか、コンビニで普通に売られてたものがあって良さそうだなと思ったんだよ」

セレネ「わあ美味しそうです」

アルマ「カナ子は…大丈夫これ?」

猫のハーフアニマルなので一応聞くアルマ

カナ子「大丈夫よ~」

そう言うと7人は紙コップにジュースを注ぎみかんを配る

美治「これジパングの果物だって聞くけどな」

ファリア「普通に全世界規模で売られているのかしらね」

紙コップに注いだジュースの飲みつつみかんを口にふくむ。美味しい

セレネ「こういうの大好きです~」

バードン「いやー!いいねえ甘くて美味しい!」

アルマ「みかんもお菓子のひとつだって言うらしいね!」

そして今日の話題へと変わる

ファリア「このジパングの食べ物…ジパングって結構変わった国なのね」

アルマ「色々と変わっているけどね。天使と悪魔の協会が無かったり」

ジェスト「でもその話、設立しようとしてその段階でストップしてるって聞いたわ」

バードン「なんでだろうね。それ」

セレネ「うーん…。もともと龍人と兎人がいる国だから…でしょうか」

美治「その龍人ってすげー種族だと聞くがな」

セレネ「究極種族と言われています。何もかも加護された種族です」

カナ子「加護と言われてもあまりピンと来ないわね…」

セレネ「神に加護された種族…祀られる存在だと言われてます」

美治「ふーん。で、兎人は?」

カナ子「これ聞いたことあるわ。私と同じハーフアニマルの類らしいけどジパングで独立した種族、とか」

アルマ「兎は幸せを招くとか聞くね」

カナ子「私だって幸せ招くにゃ!招き猫よ!」

そう言うとカナ子は手を丸めてこねこねし始める

ファリア「…でも究極と前に話した完璧のネレイドとどっちが凄いんだろうね」

カナ子「あれ?スルーされた?」

言う通りスルーされてる

バードン「私は完璧が一番凄いと思うよ!」

美治「いやいや、究極が一番だろ」

ジェスト「その完璧VS究極の試合が見てみたいね」

セレネ「テレビで見ましたが過去に一回だけネレイドと龍人の試合が格闘技であったらしいですね」

アルマ「ほんと!で、どっちが勝ったの?」

セレネ「龍人が勝ちましたね。ほぼ互角の戦いで判定でギリギリ龍人が勝ったみたいです」

バードン「でもギリギリ勝利だったんだ」

ジェスト「龍人でもネレイドは強いと感じるほど互角なのね」

セレネ「その後、その龍人とネレイドはお互いを認めて仲良しな2人になったとのことです」

アルマ「友情に変わったなんて良い話だね」

バードン「イイハナシダナー」

美治「お前、心に思ってない言葉だろ」

バードン「イエイエ、ソンナコト、アリマセンー」

美治「なぜ急にカタコトになってんだ」

バードン「あ、そうだ顧問が来るって時間になったような…」

アルマ「ん?急にどうしたんだい」

バードンがチラチラとドアを見る

バードン「実は顧問が来るって話なんですが…」

そう言うとドアからノックオンがする

バードン「あ!来た!はーいどうぞ!」

バードンが言うとドアが開く

そこには中位の女性がいた。教授らしい服装、体格をしている。ようやく確認できたのか笑顔だった

?「やっぱりこの時間なんだね?みんなと会えて嬉しいな!」

アルマ「…ミシェル教授!?」

アルマは驚いた

カナ子「ミシェル教授?私あまり知らないけど…」

アルマ「そりゃそうだよ。経済学部の教授だもん。僕は知ってるけどさ」

ミシェル「自己紹介するね。はじめまして。ミシェル・アルバートっていうの。経済学部の教授。種族はハーフドワーフだよ」

ファリア「ハーフドワーフ!」

アルマ「そうだ。ミシェルさんハーフドワーフだったんだ」

そう言うとミシェルは内部へと歩き7人の近くに寄る

ミシェル「君達…学部はどこ?」

7人は説明する

ミシェル「なるほど。情報学部に動物学部…色々だねえ。どちらかと言うと情報学部が多いんだ」

バードン「教授が顧問になると聞いて嬉しい限りですよ」

ミシェル「一応ね!どういうこと喋ってるのかなあって!」

カナ子「さっきまで龍人の話とジパングの話をしてましたよ」

カナ子が言うとミシェルは何かを思い出したかのように言う

ミシェル「あ~!ジパング!昔、旅行で行ったよ!龍人ってでかくてたくましい体格な種族だったね。

兎人も見たね!兎人は可愛かった!ジパングの雰囲気はとても良かったからまた行きたい国になったよ!」

そう言うと7人は納得する

ファリア「やっぱりジパングって良い国なんだね」

ミシェル「もう一度行きたいね…そんなような国だった」

アルマ「教授、他にも国に行ったことあります?」

ミシェル「えーとね。ユキノウエのクリスタルウィンター大学だね。研修に行ったよ。寒いのが印象的だったけど」

セレネ「あの国は寒いですからね…」

ミシェル「そうそう寒い。けどあの大学はさすが世界で頭の良い大学であって学ぶところが多かったよ」

そう言うとミシェルは思い出すかのように語る

ミシェル「でも…あの大学でもたまに退学する人もいて、一時期天使教会関係の人が退学がしたニュースは凄かったらしいね」

ファリア「天使教会関連…そんな人がいたんですね」

バードン「私は一切辞める気はしないけどねーふふーん」

美治「お前が辞めたらビッグニュースだ…」

カナ子「ん?なんかその話お姉ちゃんから聞いたことあるような」

アルマ「何か知ってるのかい?」

カナ子「んーと…その人確か総本山の代表の娘だったかにゃ?なんだか追放されて恋人の側にいるようになったって…」

ここまで言ってようやくセレネは前に買った本だと気づく

セレネ「それアルエルさんですよ。現在冬美さんと一緒に会社経営してる人です」

カナ子「あ!そうそうアルエルさん。でも追放だなんて…酷いことするわね」

セレネ「どうもアルエルさんは恋人を作ったり冬美さんに勝手に大天使の血を輸血したりして代表に怒りを買ったみたいですね」

ファリア「こっわ。ただそれだけで追放なんだ」

セレネ「らしいです…なにせ法と秩序、ですから」

ファリア「法と秩序…アタシもセレネに輸血したら天使教会追放または出入り禁止??」

セレネ「いえいえ。大天使、だからですよ」

ミシェル「そうなの…話がわかったよ」

バードン「さて、話をまとめよう」

ジェスト「結局どういうまとめかたするの?」

バードン「『龍人と大天使に喧嘩を売るな!』でいいと思う」

なんだそのまとめかた。だがミシェルは笑う

ミシェル「あっはっは!面白いからいいね!」

美治「意外とハードル低いぞこの人」

ミシェル「いや、楽しいものは楽しい結論出したほうが面白いしね!」

ジェスト「楽しい結論…ねえ」

だが今日はそんな感じ。ミシェルはこんな面白いサークルの顧問になってよかったと笑顔を絶やさなかった


7人はそれぞれ自宅へと戻る。ミシェルはまだ仕事という感じで大学に残る

ファリアとセレネは相変わらず手を繋ぎ歩く。今日もまたおしゃべりした。それだけでも楽しい一日だった

ファリア「そう言えばアタシが買った本はもう読み終えた?」

セレネ「ええ。とても興味深い、なかなか考えさせられる本でしたよ。ファリアさん読みます?」

ファリア「う、うーん。あの本結構分厚い本だった気がするからパスするわ」

セレネ「大学に通ってるのですから活字離れはよくないですよ?」

ファリア「いや、アタシゲームに関する本なら読めるんだけどね」

セレネ「んもー。それじゃだめです」

ファリア「わ、わかったわ…」

どうも読めと宣言されてるような気がする。これは読まないとだめか…

セレネ「でもいいですよ。ファリアさんのこと、わかってますから」

そう言うとセレネはファリアの体をより近寄る

ファリア「ん、んー。どうも真面目な恋人ね…」

セレネ「あら?私はずっと真面目ですよ」

ファリア「だからこそ、惹かれたのかもしれないわね…」

そう言いながら2人は歩いていった


アメジア国の夕方

涼しい気候で明日も涼しいらしい




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