#3

朝のファリアの家

今日も大学へ行こうとして支度をする。相変わらず朝の授業とはとてもめんどくさい

3年になったら朝はなるべく避けて単位をとるしかない。そう思った

準備ができたらリビングへ行き母に挨拶する

ファリア「じゃあ行ってくるね母さん」

そう言うとキューピットである母が言う。紫髪ショートの人だ

母「あ!ちょっとお弁当忘れてるわよ!」

母が言うとお弁当を渡される

ファリア「ごめん忘れてた」

母「もー!ちゃんと忘れないようにね!」

なんか怒られた。こんな大学生にもなったのに弁当を作ってくれる母は少しだけ過保護だ

母「はい!後水筒!」

水筒も渡されファリアはバッグにしまう

ファリア「…もうないよね?」

母「ないわ。さ、行ってらっしゃい!」

そう言うとファリアは玄関へ行き出発する


通学してるときに思っているはセレネのこと。友達のこと。少人数だが、大学なんて本当に仲良くできる人と付き合えればいい

セレネを始めバードン、美治、ジェスト…そんな人たちと居たほうが楽しいと思っている

もしかしたらまた友達が増えるかもしれない。まだ猶予がある。だから大学も真面目に行きたい

だが1年は本当に大変だった。いちいち必修科目をとってそれの単位をとらないとだめだからだ

必修科目の中でもめんどくさい科目もあったりしてバードンと美治はとても大変だったとは行ってた。こっちも大変だった

プログラミングとかタイピング練習などあまり向いてない科目もあったが、まあなんとか単位がとれたのでよしとする

2年になると必修科目は少なくなりある程度わかりやすい授業だらけだ。3年になるとどうなるのだろうか?

まあそんなこと考えつつ大学へと到着する。友達はいるだろうか?それにセレネはどうしただろうか?

大学の門に着いたときにちらっと会話アプリを見た。セレネからの連絡があった

『今日も朝から必修科目があるので先に行ってますね』

…とのことだった。やはり1年。必修科目だらけの授業ばかりである。そもそも朝っぱらから授業も嫌になってきそうだ

その通知を見てふと、空を見上げる。今日も少し涼しく快適な気温だった。空が青い。風も少し吹いてる

おっと。こんな門の真ん中でぼーっと突っ立ってたら迷惑だった。大学の門を抜けて校舎へと入る


講義室、というより教室にはいる。朝から授業に向かう人がいる。今日の講義はソフトウェア関連の講義だ

おや、美治が来ている。ファリアは近くへ行き美治の隣に座る

ファリア「美治!おはよう」

そう言うと美治はファリアに挨拶する

美治「おおファリア!おはよう。今日は一緒だな」

ファリア「ええ。バードンとジェストはどこに行ったのかしらね?」

美治「あいつらはまた別の授業だ。その授業はまだ先だから遅れてくると思う」

ファリア「まあどうせ今日も集まりがあるわよね?」

美治「バードンのことだよ。絶対あるさ」

そう言うと美治はちらっとスマホを見てた

ファリア「根は真面目なアンデッドね」

美治「そんなこと言いつつ不死なのにギャグをかますから不思議なんだよな」

ファリア「不死だけに不思議?」

美治「オヤジギャグ言ったわけじゃねー!」

ファリア「クスクス…」

美治「ま、全く…」

そろそろ授業だった


昼ごはん時。今日も食堂は賑わう

ファリアと美治で最初食堂へ行きその後にバードン、ジェスト、そしてセレネが合流する

ファリアとセレネは持参した弁当でほかは食堂の食事だった

バードン「相変わらずセレネのお弁当美味しそう…」

セレネ「そうですか?そうでもないですよ」

ファリア「じゃあアタシの弁当はどう?」

バードン「んー。普通」

ファリア「普通って何よ!?」

よくわからない見比べをされて思わずつっこむファリア

ジェスト「で、今日もあるのよねバードン?」

バードン「もちろん!私が先に終わると思うからみんないつもどおりの場所に集合だよ!時間厳守!」

美治「体育会系じゃねえんだからその時間厳守は謎すぎるぞ」

そう言うとバードンは更に言う

バードン「まあもし開いてなかったらドアの前で待っててね」

美治「お前が先に来いよ!」

なんだかこのノリ、ネット掲示板で見たことある

ファリアは思ったが過去にヒダンゲの中学校でノリで遺跡部というのが作られたらしい

10年前の昔の話だがその部長は積極的で人間ながら活発だったため色々な功績を残した人物らしい

現在はその部活があるかはわからないが、きっとその人間は遺跡関連の仕事に就いてるのかもしれない

そのノリに似ている。バードンもその一人だろうか…

思いながらファリアは弁当を食べていた


講義がだいたい終わった時間。バードンはちゃんと間に合いいつもどおりの部屋の鍵を開ける

そして前と同じような座り方で5人は座る。今日は何を話すのか

バードン「さあて。今日は何を話そうか」

美治「あのよ。空いている椅子って誰が来たらその座席を譲るのか?」

そう言うと美治は空いている椅子に指をさす

バードン「そうだよ。でもなかなかハーフっていないからね」

ファリア「ハーフという種族を公表しない人もいるんじゃないかしら。アタシが思うには」

セレネ「そうですか?秘密にしてもおかしくはないですが」

美治「まあ人によっては種族自体ぱーっとあっけらかんと話す人はあまりいないだろうしな」

ジェスト「私なんか悪魔だから余計に話しにくい感じがあるわね」

バードン「種族差別はいけないよ」

そう言うとドアからノックの音が鳴った。誰だ?

バードン「はーい?どうぞ?」

バードンがそう言うとドアががらっと開いた

その人物は身長がまあまああり、銀色の髪、水色の瞳をしていた。衣装がちょっとローブに近いような服装をしている

笑顔でファリアのほうを見ていた。そして口を開く

?「へえ…こんなに人数いるんだ。僕は少人数かと思ったけど違うんだね」

バードン「おや?このハーフ同好会に入りたいと思ってる人かな?」

ファリア「あら。貴女も早速この同好会の話聞いたの?」

2人は言うと彼女は答える

?「自己紹介するよ。僕はアルマ・イビルアイ。経済学部3年だよ。君たちは…2年かな?」

え!先輩!?慌ててファリアは言う

ファリア「先輩だったんですか!?ごめんなさい!てっきり同じかと…!」

アルマ「あはは。いいさ別に」

ファリア「でも先輩にあたる人が来るなんて珍しい…。あら?バードンとジェストどうしたの?」

バードンとジェストの様子がおかしい。目を見開いたまま膠着してる

バードン「い、イビルアイさん!?」

ジェスト「あのイビルアイさんよね!?嘘!?娘がいたんだあの人!?」

驚愕してる2人だった。名前で驚愕してるらしい

セレネ「あの、どうしたんですか?」

セレネが言うとジェストが答える

ジェスト「イビルアイさんっていうこの国の悪魔協会副代表がいるのよ。まさか副代表に娘が!」

アルマ「そうだよ。僕の母はイビルアイっていう亡霊で悪魔協会副代表だよ。父はヒューマンだから実質僕はハーフゴースト。

元々母は無口だからあまりプライベートの話はしないんだけど…。でも、僕のような娘がいたんだよ。

こんなに驚いてくれて嬉しいな。もしかして悪魔協会関連の人たちかな?」

アルマが言うとバードンは慌てながら言う

バードン「はい!入部決定です!」

慌てすぎて入部決定した

美治「2人とも落ち着けよ…」

ちょっと経ち少し落ち着いたところでアルマは空いている席に座る。体格としてはやや大きめか

アルマ「いやあハーフってあまりいないからここへ来れば仲間に出会えるだろうなあって思ったよ」

ファリア「とりあえず先輩に自己紹介しましょう」

5人は自己紹介をしてアルマに言う

アルマ「ハーフエンジェルのファリア。ハーフエルフのセレネ。半人半鬼の美治。ハーフアンデッドのバードン。そしてハーフデビルのジェストか

いいねえ。良い種族のハーフのみんなだ…。ここへ来て嬉しいよ」

バードン「ありがとうございます。先輩」

ジェスト「でも先輩悪魔協会関連だったらどこかでニアミスしてました?」

アルマ「んー。たまにしか悪魔協会に行ってないよ。母の仕事の手伝いは軽くしたことあるけど」

バードン「そうだよねえ。あのイビルアイさんだからねえ」

美治「悪魔協会のことはよくわからんがイビルアイって人はかなり有名な人なのか」

ジェスト「だって副代表よ。代表のジャバウォックさんって人いるけど…正直命令してるのイビルアイさんだからね」

アルマ「ははは!まあジャバウォック様ぼんやりしてる人だし結局指揮してるのは僕の母だよ」

セレネ「無口?ながら指示できる人なんですね」

アルマ「無口とは言われているけど普段の生活は無口なだけで仕事はしっかり口を開いて言うよ。

だから教えてもらったことは父がほとんどでね。母は必要以上には喋らない。そんな人だよ」

なるほど。面白い家庭環境だ。5人は思ったが決して悪くは無さそう。そういうふうに受け止めた

ファリア「どこかで聞いたけどアメジア国の悪魔協会天使協会の割合ってイーブンなのよね」

アルマ「そうそう。寒い国ながら悪魔協会は割とあるよ。まあこの国だって暑い日は来るからさ」

美治「ファリアは当然天使協会支持者だろ?」

ファリア「そうよ。でも悪魔協会に行ってもあまり門前払いはされないけどね」

ジェスト「混沌と自由だからね。もし私が天使協会にふらっと行っても何も言われないから一緒よ」

アルマ「最近の2つの協会はそんな感じだね。僕もたまに天使協会に行くことはあるね」

バードン「何をしに行くんですか?」

アルマ「視察だよ。ギスギスした視察じゃなくて勉強のための視察。でも天使協会の雰囲気も悪くなくていいよね」

美治「なあ、天使協会もきちんと代表と副代表いるんだろ?」

ファリア「ええいるわ。代表のサリエル様。副代表のサルエル様。姉妹でやってるのよ」

アルマ「そう!サリエルさん!あの人と会話したけどむちゃくちゃ良い人すぎて成仏しそうだったよ」

美治「ゴーストが成仏するってなんか面白いな…」

ファリア「そうですよね!でもサルエル様はちょっぴし真面目すぎると思います」

アルマ「真面目すぎるとこはユキノウエの総本山のガブリエルさんと似ている気がするけどね」

セレネ「アルマさん他の協会情報にも詳しいんですか?」

アルマ「いやいや。母からの情報だよ。さっきも言ったけどこういう仕事の話はするからさ」

ファリア「面白いですね!」

アルマ「是非とも天使協会の情報を言ってくれれば視察する手間がはぶける気がするよ」

ジェスト「百聞は一見にしかずとも言いますけどね…」

アルマ「ふふふ。しかし良かった。ハーフでありつつ協会関連の話ができて。友達にはそういう人いなかったからね」

美治「今後も来てくれますか先輩?」

アルマ「もちろん!みんなでしゃべるのはとても楽しい!…あ、もし良かったら僕がお菓子とか用意するからね」

バードン「ありがとうございます先輩!じゃあ活動日を言っておきますね」

バードンはアルマに活動日を伝えた

アルマ「休み以外ほぼ毎日!?わかった!」

美治「おいちょっと待て!毎日やるのかよ!」

バードン「え。だってそうしないとつまらないじゃん?」

美治「せめて週の真ん中あたりぐらい空けておけよ!」

バードン「…んじゃあ水曜日はお休みで」

アルマ「それでいいね?わかったよ」

新たなハーフを加えて、今日は6人になった日だった。しかしバードンのいきあたりばったりな活動日である…


6人はそれぞれ散り散りになるが、ファリアとセレネはいつもどおりに2人で歩いていた

セレネ「…今日は面白い人が来ましたね」

ファリア「ええ。しかも先輩だなんて驚いたわ」

セレネ「でもハーフゴーストというのも珍しいハーフですね」

ファリア「全く聞かないよね。おまけにイビルアイさんって聞いたことなかったわ。他の協会関連の情報はあまり知らないから…」

セレネ「どっちかの協会に偏るともうひとつの協会にはあまり興味が湧かないですよね」

ファリア「だいたいそんな感じね。バードンとジェストが凄い驚いてたのが忘れられないわ」

セレネ「良き先輩で、嬉しいです」

ファリア「私だって、良き先輩よ?セレネ」

セレネ「ファリアさんは特別ですよ?」

セレネは笑顔で言う。ファリアも笑顔になる

ファリア「特別…そう言われるの嬉しいわ」

セレネ「当然ですよ。うふふ…」

2人は仲良く手を繋いで歩く。すべてのセリフに嘘は無かった


一方…今日同好会に入ったアルマは家に戻った。玄関のドアを開き、親に帰宅を告げる

アルマ「ただいまー」

そう言ってリビングへと行く。既に帰っている父とそして母イビルアイがいた

父「おかえりアルマ」

アルマ「ただいまパパ。…ママ?」

アルマがそう言うとイビルアイは静かに言う。どうも食事の準備をしてたみたいだ

イビルアイ「…おかえり」

アルマの聞こえるようにイビルアイは言う

アルマ「今日ね。僕同好会に入ったんだ」

父「同好会?どんなのだ?」

アルマ「ハーフのみの種族でお喋りする同好会だよ」

そう言うと父が笑う

父「ははは!なんだそれは?楽しそうな感じだな!」

父が大きな声で笑うとイビルアイは静かにまた言う

イビルアイ「…アルマ。それはいいけど…あまり遅くに帰っちゃだめよ…」

アルマ「大丈夫だよ!もー。ママはまた子供扱いするー」

父「アルマはいくつになっても子供なんだぞ。それはママもそう思っている。な、ママ?」

また静かにイビルアイは言う

イビルアイ「…そうよ…。でも…楽しいところなら…別に構わないわ…。学業も…しっかりね…」

そう言うとまたイビルアイは食事の準備を進める。この静かな発言はいつもの光景なのでアルマも父も決して何も思わなかった

アルマ「うん!ママ!」

アルマは言うと自室へと戻っていった


アメジア国の夜

ひんやりしていて肌寒い日だった



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る