#2
ファリアの自宅…
今日の夜はゲームをしながらすごそうか。そう思い最新機器のゲーム機で遊ぶ
RPGなのでいつでも中断可能だ。RPGをやりつつスマホで会話アプリのチェックをちまちま見る
小学生から。中学生から。そして高校生からのグループ会話でいつでも毎日賑わっていた
たまに自分への返事が届くため見ないといけない。別に無視してでもいいが、あまり無視はできない
だが、ファリアが一番気にしてるのは恋人。セレネの通知である。これは絶対見逃すわけにはいかない
どいうか小中高とグループ会話があるため面倒なことにならないようにミュート設定はしてる。申し訳ないが
まだセレネからの通知が来てないわね?RPGを進めてスマホを見る
そう言えば今日は親から恋人のことを色々言われた。別に同性だから。というわけではなく、恋人を持ったからにはきちんとしろみたいな
母がキューピットという天使の種族では珍しい縁結びの天使なため恋人ができたら喜んではくれた
全く。天使というのはちょっとだけめんどくさい。しかし生まれてきた種族なんだから仕方ないとは思う
そんなこと考えながらゲームを進めるファリア。会話アプリの通知が来た。間違いなくセレネだった。中断をして会話をする
彼女は本屋でアルバイトをしてるらしい。最近は本屋が潰れるなんてことが多いがその本屋は長く続く店らしい
自分がアルバイトしてる場所はチェーン店なんだけどなーとは思っている。本屋でバイトなんて彼女らしい職業だ
更に会話をすると彼女のほうから声が聞きたいと言われて会話から通話へとボタンを押す
ファリア「セレネ。どうしたの?」
セレネ「はい。貴女の声が聞きたかったんです」
ファリア「嬉しいこと言うわね~。セレネ、少しは私に心開いてくれたじゃない」
セレネ「いえいえ。恋人でいる以上閉まったままだとだめじゃないですか」
ファリア「そうね。最初はあまり会話続かなかったもんね」
セレネ「はい。でもこうやって恋人になれたこと。幸せに思います」
ファリア「私も幸せに感じるわ。貴女の緑色の髪、とってもキレイなのよ」
セレネ「きゅ、急に何言い出すんですかファリアさん」
唐突にキレイと言ったら通話越しから慌てるような声をするセレネ
ファリア「それにセレネって名前も聞いたときから凄い素敵な名前だなって思ったもの」
セレネ「恥ずかしいです…でも、嬉しいです」
ファリア「ふふふ!」
セレネ「今日もありがとうございます。ではそろそろ寝ますね」
ファリア「え!もう!?」
セレネ「そうです。早く寝ないとそろそろ眠たいので…失礼します」
ファリア「ちょっと!早すぎ…!あー。もう切れちゃった」
おやすみなさいを言えずに電話が切れてしまった。本当に声が聞きたかっただけなのだろうか
しかし今何時だ?ちらっと時計を見たら21時半である。早すぎないか?夜はまだこれからなのに
セレネはとことん優等生である。寝る時間も早い。おそらく起きる時間も早いだろう
もしかして私自身が夜ふかし体質なのだろうか。もしも一緒に暮らすとなるとどう考えてもセレネのほうに合わせないとだめかも
RPGの画面をほったらかしにして、他のグループからの通知を見ながら考えてたファリアであった
朝。今日も大学が始まる
一応ファリアとセレネの自宅はあまり遠くはないが今日はセレネのほうが朝はやく講義に出ないとだめであり一緒ではない
昨日も結構ゲームしちゃったなあ…そう思いファリアはあくびをする
今日は何があったっけ。色々な講義があるがバードンがほぼ無理やり作った同好会はいつまで持つのだろうか
だが根は真面目なバードンだから突発な同好会はなんとかやり続けるだろうに違いない。なにせアンデッド。真面目な種族だ
そう思うと後ろから声が聞こえた
ジェスト「おーいファリア」
その声はジェストだった。まだ会って間もなく仲良しグループに入っている
ファリア「あら。ジェストおはよう」
ジェスト「ええおはよう。今日は恋人さんはいないのね?」
ファリア「そうよ。セレネはもう大学にいると思うわ」
ジェスト「なら一緒に行きましょう」
そう言いつつ2人は大学へと進む
大学内は極端には広くなく中規模の広さだ。ところどころに樹木が並んでいてケヤキだったりイチョウだったりする
そんな大学を歩いているとまた途中から声が聞こえる
バードン「ファリア、ジェスト!」
バードンであった。彼女も講義が早いのだろうか
ファリア「おはようバードン」
ジェスト「あらバードン。おはよう」
彼女が近寄ると話す
バードン「はぁ…ハーフってなかなかいないねえ…」
そう言うとファリアは疑問に思った
ファリア「…?なにしてたの?」
バードン「実はさー。来る人来る人に声をかけてハーフですかって言ってたんだけどなかなかいないんだよ
せっかくだからもっと増やそうと考えて声掛けしたんだけど…いないのかなあ」
こ、声掛け。ファリアとジェストは顔を見合わせる
ファリア「も、もしかして朝早く来たのも声掛け?」
バードン「そうだよ~」
ファリアはその情熱はどこから来るのだろうかと思った
バードン「いい加減そろそろ授業だから止めるけどね…はぁ…」
そう言いながらため息をはくバードンだった
ジェスト「たしかバードンこの後の講義一緒でしょ?」
バードン「一緒だね。行こうか」
3人で一緒に教室へと向かう
ほぼすべての講義が終わった後…5人はなぜか用意された一室にいた
もちろんセレネも合流して全員揃っている。しばらくの間使われていなかったのかホコリの匂いがする
今日はちょっとだけ掃除をすることにする。掃き掃除、雑巾でキレイにする。それだけだった
窓があったため窓を開けて換気をする。それだけでキレイな室内になった
バードン「ふー!終わり。これでいいね」
バードンは辺りを見渡して笑顔で言う
セレネ「お掃除楽しいですね」
美治「そう思うのはセレネだけなんじゃねえか…」
セレネ「部屋の汚さは心の汚れなんて言いますし、楽しいことですよ」
美治「な、なるほど」
ファリア「アタシが思うに後はこの殺風景な室内をなんとかしたいわね」
ジェスト「私もそう思った!」
バードン「水槽でも用意する?」
美治「そんな予算あるわけないだろ!」
バードン「じゃあ私が腹に水色かいて腹踊り…」
美治「意味不明なこと言うな!お前女だろ!」
相変わらずの自虐。これがアンデッドなのか?
ジェスト「とりあえずそれは置いておこうか…」
そう言って5人はソファーに腰を下ろす。上座はバードンだった。ファリア、セレネが座り、その対面で美治、ジェストが座る
いつの間にかバードンがこの同好会の部長なのか?しかし誰も突っ込まないためそんな状態になっていた
ジェスト「で。バードン今日は色々な学生を話しかけたんでしょ?」
バードン「そうだよ~。でもハーフはいなかった。朝言ったとおりさ」
セレネ「ハーフ種族って珍しいんですね?」
美治「だいたいバードンのハーフアンデッドっていうのはかなり珍しいと思うがな」
バードン「たまに人から言われるね。セレネのハーフエルフっていうのは国家で認定された種族だけどね」
ファリア「えーと。確か4つの国のヒダンゲって言うところがエルフが多いって聞くわね?」
セレネ「そうですね。ヒダンゲはエルフが多いです。元々涼しい気候と自然の多い場所が好きな種族なので」
ジェスト「でも私ハーフデビルだけど暑いとこ好きよ?」
セレネ「悪魔は暑い場所が好きと聞きますからね。アマリリス、リュウキュウがそうですね」
ファリア「暑いかあ…暑いのは苦手ね」
美治「暑いとか言ったら汗出そうだな。そこへは行けないかもな」
セレネ「アマリリスはともかくリュウキュウには仙人と精霊と言った独自の種族はいてそれは楽しいらしいですよ?」
ファリア「そうなんだ。名前を聞いただけではイメージできない種族ね」
バードン「どんな種族かわかる?」
セレネ「はい。仙人は樹木のエネルギーを吸収する種族。精霊は四元素を司る種族らしいです」
美治「ほー。精霊が強そうだな」
ジェスト「えーと四元素と言うと火、水、土、風。かしらね?」
美治「すごい種族だな。全世界へ飛んでもいいぐらいの種族だ」
セレネ「その国独自の種族は別の場所へ移動することはめったにないとも言われています」
バードン「そう言えば4つの国って独自の種族なんだっけ?」
ファリア「ハーフアニマルとエイリアン、のはずよ」
セレネ「ハーフアニマルは半人半獣の種族。エイリアンは…宇宙からやってきた人型の異人と言われています」
美治「エイリアンの説明で急にSFになったな…」
バードン「宇宙から。って時点でロマン感じるね!」
セレネ「ただ身長がでかいみたいですよ」
ジェスト「さらなるロマンねそれ」
セレネ「ハーフアニマルは獣人という祖先がいるためわかるんですが、エイリアンはいつどこでそこへ来たかわからないですね…」
バードン「今後の研究で解明されるのかな」
ファリア「ファンタジーな種族ね」
美治「いや、ファリアとジェストのような種族もファンタジーだと思うぞ」
ファリア「それは言えるわね。アタシの母のキューピットなんて特殊だからね」
ジェスト「私はグレードデビルって悪魔の種類の一部だけどとりあえず高位悪魔とは呼ばれているわ」
美治「私は普通の鬼…普通すぎてつまらんなあ」
バードン「はーいはい。バンシーっていう不死の種類も意外とあちこちに散らばってるよ」
セレネ「そうなんですか?」
バードン「エビチリならぬ不死チリだよ」
美治「お前エビチリをエビが散ってるみたいな言い方するな」
ジェスト「なんだかエビチリが食べたくなってきたわ」
ファリア「エビが食べたいわね」
セレネ「2人とも面白いです」
バードン「はい!というわけで今日はこのへんにしましょう」
美治「そうだな。今日は掃除したプラス種類の話をしたってことでいいな?」
ファリア「とりあえずエビチリ食べたいわ」
セレネ「私も食べたいです」
美治「お前らエビチリが食べたいだけだろ?」
そう言うと5人は笑っていた
バードンが会話した室内の鍵を閉める
バードン「さ!帰ろう!」
セレネ「5人で帰れるなんて嬉しいです」
ファリア「仲間がいるって良いことでしょセレネ?」
セレネ「はい。とても嬉しいです」
ジェスト「そう思ってくれたら幸いだわ」
5人は帰っていった
5人が離れちょっと経ったときに…1人の女性が5人が話してた室内のドアの前にいた
「んー?鍵が閉まっている…?」
そう言うとその女性は思った
「ハーフ同好会なんて僕もハーフでその一人だからちょっと入ってみよう…と思ったけど。もう終わっちゃったのかな?」
その女性は考えていた
「うーん。また明日あるのならタイミングを合わせて行ってみよう。今日は少し遅かったみたいだね…」
そう言うと女性はその場を離れた
ファリア、セレネの2人きりになったときにセレネはファリアの腕を組んで手を繋いでいた
2人の家はそこまで遠くはないという幸いなことがある
セレネ「ふふふ。やっぱり天使様の体温は暖かいです」
ファリア「アタシ一応天使だからね。天使協会に行くとたくさんの天使がいるわよ」
セレネ「天使協会へ行ってみたいですね」
ファリア「そんなに面白くないわ?」
セレネ「でも行ってみたいです」
そう言うとセレネはぎゅっと手を握りしめる
ファリア「ところでああいう連中は気前のいい人たちだから頼ってもいいのよ?」
セレネ「なにかあったら頼ってみます。でも、貴女が一番頼りです」
ファリア「嬉しいこと言ってくれるわね」
ファリアはセレネの頭をなでなでする
セレネ「なでなでされるの嬉しいです。大好きですファリアさん」
ファリア「…アタシも大好きよセレネ」
そんな愛の言葉を言いつつ2人は歩いていた
いつの間にか分岐点になりここで2人は一旦お別れだ
ファリア「…じゃあね。セレネ。また明日」
セレネ「はい。会話アプリでまた話しましょう」
セレネは去っていった。ファリアは長くセレネの後ろ姿を見ていた
ファリア「天使協会に行きたいかあ…」
そう言うとファリアは自宅に帰ろうとする
ファリア「アメジア国の天使協会はあまりおもしろくないけどユキノウエの総本山は面白いらしいから…でも遠い…」
お金に余裕があるのなら総本山に行ってみたいと思う。そう考えたファリアだった
ふと、思った。セレネはどうして友達がいないのだろう?歩きながら考えていた
まだそういう核心についた話はしていない。だが言っていいものだろうか?
友達がいないというだけでも大学生活送るのに難易度が上がると思う…
付き合い初めて数ヶ月ぐらいだ。そろそろ心を開いて彼女自身から色々と話してくれたらいいのだが…
心を開いている。とはセレネは言ってるがまだ完璧には開いてない様子がわかる
アタシから言っていいものだろうか。そう考えながら自宅へと戻っていった
アメジア国の夜に近い夕方
鳥が鳴き、1日の終わりを告げてくれた
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