【 思い出の場所 】

 雨はなかなか止まない……。

 7月だが、ここは山の中。

 雨に濡れた体も少し冷えてきた。


 僕は、ひざを抱えながら座り、顔を伏せて涙した。


 この雨じゃ、今日もアレを見ることができないだろう。

 今、僕が手にしているものは、ヨレヨレになった青い願いごとが書かれた短冊のみ。


 どれくらい時間が経っただろう。

 辺りはすっかり暗くなり、もう夜になってしまったようだ。


 お父さんやお母さん、叔父さんや叔母さん、お祖母ちゃんにかず姉……。

 皆、さすがに僕のことを探しているだろう。


 でも、この土砂降りの雨と、この暗闇の中では、もう帰ることなんて出来やしない。

 お腹も空いてきた。


 一人ぼっちで、段々不安になってくる……。



 ――その時。



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