【 僕だけの秘密 】

 一緒に入りたい、どんなにその言葉を言いたかっただろう。

 でも、そんなことは言えない。


 僕が去年の夏、初めてかず姉に抱いた気持ち。

 まだ、誰にも言えず隠している、僕だけの秘密だ。


「一人で入れるから大丈夫」

「そう、残念だな~」


 どこまでもかず姉は、僕を子供扱いだ。


 ふと、かず姉の机の上に1つだけ置いてある写真立てに目が行く。


「あっ、これって……」


 去年、僕とかず姉で一緒に撮った写真。

 ふたりとも笑いながら、仲良くほっぺたをくっつけて嬉しそうにしている。


「どうして、かず姉はこの写真を……?」



 ――それから、頭がボーッとして、どうやってお風呂へ入ったのか、その後かず姉と何を話したかあまり覚えていない。

 布団に入り、かず姉が電気を消す。


「それじゃあ、おやすみ。ボクちゃん」

「おやすみ……」


 と言ってはみたけど、今日はドキドキして、とても眠れそうにない……。




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