【 織姫と彦星 】

 お祖母ちゃんはその後、七夕のお話を僕たちに話してくれた。


「七夕はね、一年に一度だけ、天の川を渡って織姫おりひめ彦星ひこぼしが出会える日なんだよ」


「一年に一度だけ?」

「そう、一年に一度だけね」


 そう語るお祖母ちゃんに、僕は「ふ~ん」とうなずいた。

 かず姉は、その横でなぜか顔を赤らめ、両手を組み、大きく天井に向かって伸びをしている。


 7月7日。

 一年に一度だけ、ふたりが会える日。



 そう言えば、かず姉と僕も、一年に一度しか会えてない。

 この7月の短い夏休みだけ。


 そんなことを思いながら、短冊に書くことを考えていた。




 ――でも、次の日、あんなことがあるなんて、この時の僕は思いもしなかった。



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