第5章 死神の領域編

4章のあらすじ

5章に入る前に4章、神界編のあらすじを、主人公の瑠衣るいとその親友のエネの対話形式でお送りします。


1~3章のあらすじは、4章冒頭の「これまでのあらすじ」をご覧いただければ、内容は粗方把握できます。


おまけのおまけなので、不要な方は読み飛ばしてください。



***



瑠衣:私って何!?


エネ:いきなり何よ。っていうか、それが解き明かされたのが4章じゃなかったの?


瑠衣:そうだけど・・・。説明された瞬間に、私にずっとあった設定・・・病弱、呪い、魔法能力、ほぼ否定されたよ!? 


エネ:ついでに、転生者設定はグレーゾーンに入って、そもそも人間ですらない事になったわね。人間の器に神の御霊をねじ込まれた、息をしているだけでも奇跡的な・・・何なの? 一応、神なの? 人間なの? ハーフ?


瑠衣:今の所。酷くない? 身体は人間、中身は神様、その名は異物! ・・・滅茶苦茶だよ。


エネ:そうね。でも、それプロット作成時からそうらしいわよ。


瑠衣:え!?


エネ:瑠衣は途中で冒頭で語られる設定が全て無になって、自分を見失うっていうのは、初めからあった設定だって。


瑠衣:何故なにゆえ!?


エネ:さあ? ともかくそういう事だから、別に物語が破城したわけじゃないってさ。それに、いい事もあるでしょ?


瑠衣:まぁ、今まで身体が弱かったのも、発作が起きていたのも、呪いのせいじゃなくて、自分の中にある神の力が暴走していたせいだって分かったから、これからは自分で気を付けられるしね。


エネ:いや、そこじゃなくて・・・翔と血のつながりが無いって事よ。


瑠衣:!?


エネ:これからは、アピールし放題じゃない♪


瑠衣:いや・・・でも、兄様は私の事なんて、手のかかる妹くらいにしか思ってないよ。兄様の中は、8割が私の心配だもん。そ、そんな事よりさっ! 史郎さんも神様だったね。


エネ:話変えるの下手ね。・・・私は知ってたわよ。大昔会ったことがあってね。


瑠衣:え!? 初耳。昔の史郎さんってどんな感じ?


エネ:目の前に動くものあればとりあえず切るって感じだったわね。


瑠衣:・・・カマキリ?


エネ:ふっ。・・・史郎あいつの持ってる神殺しって、妖魔にとって厄介なのよね。神以外は斬れないとか言ってるけど神獣とかも斬れるし。


瑠衣:なんかね、その辺の曖昧な所は、史郎さんにしか分からないらしいよ。何となく、斬れるかどうか分かるんだって。因みに私は斬られたら魂消滅して消えるって。だから、私と対峙した時には普通の刀で斬ってくれたみたい。


エネ:傷だらけのあんたが運ばれて来た時はどうしようかと思ったけど、やったのが運んで来た史郎張本人だったなんて、本当に腹立つわ。


瑠衣:あはは。でも、だから史郎さんは、最初から私の事助けてくれる気だったんだよね。きっと神界で何かと辻褄合わせるために、私が傷つかなきゃいけなかったんだと思う。それに、その後話をしたら、今まで通りの関係を続けてくれるって言ってくれたから、私は嬉しかったよ。やっぱり史郎さんは、優しいと思う。


エネ:・・・あんたが史郎あいつに懐いてるから、余計に腹立つのよね。


瑠衣:ふふっ。エネってば兄様みたいなこと言わないでよ。史郎さんは、私を創り出した創造の神、ユーメル神に私を託されて、ずっと育ててくれたんだから。ユーメル神は史郎さんのお姉さんなんだってさ。・・・あれ? じゃぁ私、史郎さんの姪っ子?


エネ:あんたを創ったっていうユーメルとレンを親って事にするなら、そうなるわね。


瑠衣:創造神と死神の子ども・・・嫌だ。私、もっと普通が良い。


エネ:世界一つ崩壊させるような存在が、普通の人生が望める訳ないでしょう? 諦めなさい。


瑠衣:うぅ・・・。ごめんなさい。そうだったです。


エネ:まさかこの世界があんたの手で一度崩壊しかけてたなんてね。しかも何? 相変わらず理由は翔が死んだからですって? どんだけ好きなのよ。


瑠衣:ホントごめんなさい・・・。でも、崩壊しかけた世界第一世界の記憶はまだ完璧じゃないんだよ。なんか世界を壊す前の記憶がすっぽり抜けてて・・・。

兄様を取り戻すために世界を壊した記憶と、レンと話した記憶、【終焉の砂時計しゅうえんのすなどけい】を巻き戻そうとした記憶は戻て来たけど。


エネ:十分よね。


瑠衣:十分ですね。はい。・・・でも、レンに兄様を取り戻したければ時を戻せって言われて、とりあえずこの世界の終わりを刻む【終焉の砂時計】の砂を強制的にひっくり返して、世界自体の時を強制的に戻すことに成功したから、今二週目の世界を皆で生きている訳でしょ?


エネ:そうね。


瑠衣:そのおかげで、私は次元を超えて地球に行って、VTPに出会えて、エネにも会えて、今ここに戻ってきている。


エネ:えぇ。


瑠衣:負ける気がしないよね!!


エネ:どうかしら? 私からしてみればあんたの考えなんて無謀―――


瑠衣:もう!! ここくらいは、同調してよ!! 結局は物語通りに崩壊に向かってる今の世界を、これから救済しなくちゃいけないんだからぁ。


エネ:出来なくてもやるって覚悟したんでしょ? なら、私の意見なんて関係ないじゃない。


瑠衣:そうだけど・・・そうだけど!! ・・・意地悪。


エネ:まぁ、崩壊しかけた世界第一世界でお気楽に暮らしてた頃には無かったであろう出会いや繋がりは、あんたが望んだ世界に必要な物だったって事でしょうからね、最大限に利用したらいいわ。


瑠衣:利用って言い方は嫌だけど・・・でも、世界の救済に兄様の死が必要なんだったら、兄様が死ぬ前に、私は世界を救済する!! そう決めたから。


エネ:理想を叶えるのは相当厳しいわよ?


瑠衣:分かってる。でも、兄様を死なせない為に出来る事があるなら、何だってやるし諦めないよ。そしてこの、事あるごとに兄様に撫でてもらったり、抱っこしてもらう人生を謳歌するんだっ。


エネ:なんて薄い理由・・・私達、そんなものの為に利用されるわけ?


瑠衣:薄くなんてないよ! 少なくとも、私にとってはそれが全てだよ。


エネ:そうなのよねぇ・・・。まぁ、頑張りなさい。現状はあんたに力を貸そうとする存在が多いんだから、道を間違えて敵を多くしない事にだけは気をつけなさいね。


瑠衣:うんっ。本当に、いい人達に恵まれて幸せだな。私の存在については、知っていた事全部否定されちゃったけど・・・今世で築いたこの幸せは本物だと思うから、失くさないように頑張る。頑張って、皆と生きるこの世界を救う。


エネ:えぇ。期待しているわ。・・・それじゃ、あらすじ説明はこの辺りにして、第5章【死神の領域編】へ行きましょうか。


瑠衣:いよいよゲームのラスボス、ガーリェ神を倒しに行くんだね。まだ最強の力を手に入れていないとはいえ、かなりの強敵だろうし、準備をしっかりして挑まないとね。って事で、今からエネの家に行ってもいい? 作戦会議しよう。今日、兄様がいるから、家じゃ話し合いができないんだよね。


エネ:だったら何も急がなくたって、たまの休みくらい翔とデートでもしてればいいじゃない。


瑠衣:そうしたいけど・・・兄様もお出かけ誘ってくれたけど・・・今日は泣く泣く断ったよ。兄様が物凄く寂しそうにしてたのを振り切ってきたんだからぁ!


エネ:何で? まぁ、そんなに作戦会議したいなら、別に今日は暇だからいいけど?


瑠衣:良かった。早くガーリェ神を打ち倒して、この世界を救って、兄様とお出かけするんだっ。隣町に期間限定で出来た、水饅頭屋さんにねっ。 って事で、早く行こっ、ね!? 先行って準備してるから!


エネ:・・・行っちゃったわ。全く、自由奔放だ事。

そんなわけで第5章、死神の領域編がスタートするわ。

自分では全く気づいていないみたいだけど、相変わらず破天荒な瑠衣が、翔の為に無茶苦茶するお話が続くらしい。

呆れるような子だけれど、瑠衣は真剣だから放っておけないのよね・・・。

よかったら是非、そんな瑠衣のお話に付き合ってくれると嬉しいわ。

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