第4章 神界編

これまでのあらすじ

 ☆4章の冒頭に、人物説明などが入れられなかったため、これまでのあらすじを、主人公瑠衣るいの語り口調でまとめています。


 不要な方は読み飛ばしてください。


 ***



 みなさんこんにちは!!

 物語の主人公をさせていただいている私の名前は瑠衣るいです。


 これまでのあらすじについて、まとめていきたいと思いますね!!


 まず、私の事。

 この物語は、私の前世、八代奈々が地球の日本に暮らしていた時に、バスジャック犯に殺されに行ったところから始まります。


 何でそんな事をしたかと言うと、日本に住んでいたころの私は、ゲームの世界に現実逃避をしているイタい女の子だったんですよね。


 当時私がはまっていたのが、【Vanquishヴァンキッシュ The Prophecyプロフェシー】通称【VTP】


 そして、このゲームに出て来る最推しキャラが、二刀流の侍、かける様だったのです。


 このゲームは、主人公の死神、レンが死者の魂を導いて育てる育成ゲーム。

 なので、大好きなキャラには、死なないと会えないの。


 だから私は、死神が魂を導く、栄誉の死を求めて、バスジャック犯が子供に向かって振り上げた刃物に刺さりに行きました!!


 そうしたら、死神レンが現れて、気づくと翔様の妹、瑠衣になっていた・・・つまり、異世界転生してしまったみたい。



 兄となった翔様は、ゲームで見ていたよりもずっとずっと恰好良くて、控えめに言って大大大好き!


 しかも、翔様は唯一の肉親である私に対して、自他ともに認める過保護っぷりを発揮してくれるの。


 頭を撫でてくれたり、肩を抱き寄せられたり、抱きかかえられたりするのは、私達兄妹の中では当たり前なところがあって・・・


 もうなんか。

 好きが止まらなくなっちゃって大変!!


 翔様にとっては、私なんて妹でしかないのは分かってはいるけれど、恋心が止められないんだ。



 ところで、私が転生してきた時期は、翔様が死んでレンの仲間になる直前だったんですよね。


 実は私、幼い頃に【短命の呪い】っていうのを受けていて、突然の頭痛や眩暈、高熱にうなされ数日動けなくなるなどの日々を過ごしてきたんです。

 そうじゃなくても身体が丈夫じゃなくて、年の半分は床に臥せてたんだけどね。


 そんな状況を、翔様が放っておく訳が無くて・・・

 呪いを解呪するために、兄様は昼夜問わず働きながらその方法を探ってくれた。


 で、呪いに関係しそうな鬼と戦って命を落とす設定だったんだけど・・・

 そんなの嫌だったので、第1章では、そんな死の間際にいる翔様を、死なせない為に全力を注ぎました!



 その過程で私は、この世界にある、ありとあらゆる魔法を使えるチート能力がある事が分かったんです。


 魔法が使える術師は、私たちが住む【倭ノ国わのくに】ではとても貴重。

 だから、陰陽寮おんみょうりょうってところが、一括管理して、術師の養成と派遣をしているんですよね。


 だけど、陰陽寮に入ったら、二度と出られないくらい厳しい修行が待ってるらしいから、そんな所には行きたくなくて、私は魔法を使えることを隠している。


 知っているのは、翔様と、私たちの保護者の史郎しろうさん。


 幼い頃に両親を亡くした私たちを、引き取って? 面倒見てくれた史郎さんは、お医者さんでありながら、兄様に戦う術を教えた刀の師匠でもある凄い人。


 親も家もない、通称・野良のらと呼ばれるような身分の低い私達が無事に生き延びてこられたのは、そんな状況でも生きる術を教えてくれた史郎さんのおかげである部分が大きいのです。


 それから、私の魔法の師匠になってくれた萌生めいさんと、萌生さんが仕える明日花あすか様も、私が魔法を使えることを知っている。



 明日花様は【倭ノ国わのくに】にある【潮領うしおりょう】の領主の娘様。

 つまりお姫様なんだけど初めて会った日に、私はこの人に海に沈められたよ!


 それで3日くらい昏睡して、気づいたら前世の記憶を持ってたんだよね。

 懐かしい。


 私が殺されかけたことを知った翔様に、コテンパにされて反省した明日花様と萌生さんとは、今はとっても仲良しになりました♪



 ***



 で、第2章では、そんな仲良しになった明日花様に頼まれてお隣の国、ローランドへの公務へ付いて行くことになりました。


 後、エネっていう前世での親友と再会しました。

 彼女はこの世界では妖狐になっていて、少しの争いもあったけど・・・色々あった誤解を解いて、またこの世界でも仲良くやっていけることに!

 普段は金髪美女の人間の姿に化けていて、この世界にはない漫画という文化を広めるために執筆活動をしているんだって。


 前世でも同人誌を書いていたエネ。

 作品ファンだった私は、またエネの作品が読めて眼福です。


 一度見た物は忘れないという、凄まじい記憶力は健在で、この世界の事ゲーム内容は全て頭にあるらしい。

 まさに歩く攻略本になっているけれど、それを抜きにしても、エネと仲良く過ごせることはすっごく嬉しいのです♪



 さて、明日花様から頼まれたいわくつきのこの公務は、まさに陰謀の渦中!


 しかも、ゲームの必須要素キーパーソンだった翔様は、絶対に命を落とす運命なのかもって話になって・・・

 物語的に、ローランドでの公務で命を落とす可能性まで出て来たからさぁ大変!


 明日花様が、史郎さんが、私が・・・

 それぞれの戦いを生き抜くために奔走しました。


 お料理を作って振舞ったり、人質になってみたり、敵(?)と共闘してみたり、コロポックルと仲良くなってみたり、なかなか刺激的な時間でしたね。


 その中で知ったのは、史郎さんがローランドに深く関係しているかもしれないって事。

 思えば私は、物心ついたころから親と言う存在が居なくて、翔様と史郎さんに育ててもらってたけど、兄である翔様はともかく、史郎さんの事はあまりよく知らなくて。


 お医者さんだけど、凄く強いって事を除けば、知っているのは女性関係にだらしがないことくらいかな。


 だから、ローランドで垣間見えた、何かの為に戦う史郎さんの真剣な顔はなんだか新鮮だったし、ローランド王子ですら知らない事情に詳しい事も気にはなったけれど・・・

 だからって他人のプライベートにずかずか入り込むのは止めた。


 誰だって掘り起こされたくない記憶と言うものはあると思う。


 それよりも私は、例え血がつながっていなくても史郎さんも、大切な家族だって思えた事が嬉しくて、この気持ちを大切にしたいなって思ったよ。


 ただ、じゃぁ何歳なんだろう・・・? とは、思ったけどね。

 永遠の謎。


 お仕事が終わった後の街探索では、翔様と二人でお買い物に行った先で夫婦に間違えられちゃったり、デートコースを回ったり、一緒にソフトクリームなんて食べちゃったりして、なんかもう色々幸せでした♡



 ***



 ローランドからの帰りの船が陰謀の残滓によって沈められて始まった第3章。


 漂着した島は、翔様と私の生まれた島、【鐘鳴り島かねなりじま】だった。

 とはいっても、私はこの島の記憶はなかったんですよね。

 だって、3歳ころには隣の【海花島みはなじま】へ移り住んでいたから。


 翔様は、鐘鳴り島での話をしたがらず、私もあえて聞くことも無かったから、今までは一種のタブーとされていた島。

 たどり着いた瞬間から、翔様は気分が悪そうだった。


 鐘鳴り島はその昔、神の怒りにふれ、一晩で島民が全滅する【神の裁きかみのさばき】と呼ばれる事件があったらしい。


 その前後の出来事が、当時7.8歳だった翔様の中にずっと影を落としていたみたい。

 珍しく熱を出して倒れてしまった翔様。


 ほんの少しだけ休んで回復した後に、両親が亡くなった日の事、島で私と過ごした日々の事、神の裁きが起きた日の事、海花島へと逃げ延びた日の事。

 その事件にまつわる悲しい出来事を、翔様は私に教えてくれました。


 終始不安そうに話していた翔様に、かける言葉はなかなか見つからなかったけれど、辛い思いをしていた翔様の傍にいられた事、私の存在が救いだったって言ってくれた事が、嬉しかったな。

 本当は、翔様こそ私の救いなのに。



 神の裁きから彷徨っていた悪霊が、生き残っていた翔様を逆恨みで襲って、私たちを皆殺しにしようと画策してきたけれど、そのしがらみを絶つと決めた翔様によって、悪霊は成敗されたの。

 どうか、安らかに眠れていると良いな・・・


 そんな事をしているうちに、明日花様のお父様、つまり領主様の船が私達を無人島まで迎えに来てくれて、私たちは無事に【倭ノ国】へと帰ることができた。



 帰ってからは、日常に戻っていたんだけど、突然明日花様から呼び出しが。

 行ってみたら、たくさん活躍したからご褒美あげるって・・・家を貰う事になった。


 町はずれに建った、領主家の別宅で、庭付き温泉付きの・・・お屋敷!


 私たちは、私の呪いを解呪する方法を探して旅をしている流浪人で、身分だって低すぎて時々人権すらないくらいなのに、家なんて身分不相応でしかない。


 だけど断ろうにも様々な思惑が絡み合って、最終的には条件付きでもらい受けることになっちゃっいました。


 潮の町は、低い身分にも寛容な人が多くて住みやすいし、友達も出来たし、私としては少し嬉しい気もするけれど

 私よりも私の呪いを解呪したい翔様には、なんだか申し訳ない気もしてる。


 だけど・・・


 宿や洞窟じゃなくて、ちゃんとそこに帰る「家」があるのって、ちょっと幸せと言うか・・・やっぱり落ち着くの。


 いつまでいられるのかは分からないけど、翔様と過ごす時間を大切にしたいなって思えるんだ!



 ***



 今まで無関心だった自分の事、史郎さんの事、そして、頑なに話されなかった翔様の過去を知って。

 私自身の事をもっと知らないとって思ったし、

 翔様や史郎さんへの想いは少し変わったかもしれない。


 だけど、大切って気持ちは変わってない。


 それに、翔様の命の危険はまだ過ぎ去ってないんだ。


 だから、私はこれからも翔様を守るために頑張ろうと思ってるよ!



 ――― と、いうわけで、3章までのあらすじの説明はこの辺でお仕舞になります。


 第4章は、私の出自が垣間見えるらしいですね。

 私自身の事を知って、もっと強くなって、翔様と過ごす日々を謳歌できるといいなぁ・・・。


 それでは第4章、神界編、スタートです。

 宜しくお願いします。

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