切腹自殺配信
切腹自殺配信
櫻井の車の中
「櫻井さん、今電話があって自殺配信しようとしている男性の家に向かうことになりました。僕が案内するので、今から向かってください」
「え〜、なんで?俺たち何でも屋だけどさ。それは警察の仕事じゃない?」
「なんでも、通報者がコメントで自殺教唆のようなことを書き込んだらしく、警察に通報するのはヤバいと思ったそうです」
「それは通報者の事情じゃん。俺もう早く帰りたいんだけど」
「警察よりも僕らが向かった方が早いです」
「で、報酬は?」
「わかりました。じゃあ、僕が帰りにセブンイレブンでエクレア買ってあげますから」
「それなら仕方ない。じゃあ、行くか」
田中(自殺配信者)の家
「田中さんさ、たかだか首吊り自殺を配信したところで、伝説にはなれないよ。自殺配信するならさ、切腹でもしたらどう?それなら、伝説になれると俺は思うんだけど」
「櫻井さんっ。そういうのやめてください」
「じゃあ、ぼく切腹して自殺配信しようかな」
「田中さんもそんなこと言わないでください」
「お、やる?それなら、俺、日本刀持ってるから貸してあげるよ」
「櫻井さん。あんた本当に何言ってるんですか?頭大丈夫ですか?一回、病院行きます?」
「大丈夫、大丈夫。これただのレプリカだから」
「でも、なんで日本刀のレプリカなんて持ってるんですか?」
「今度の休みに、友達と鬼滅の刃ごっこするんだよ」
「鬼滅?今ごろ、鬼滅ですか?もう連載終了したじゃないですか?」
「俺、無限列車編見て煉獄さんがかっこいいって思ったんだ。俺は俺の責務を全うする。なんて、かっこよくない?でもあの映画、作画はいいけど微妙なところがちょいちょいあってさ。CMで触手みたいな敵に立ち向かう煉獄さんかっこいいと思って、映画を見たら、そのシーンすぐ終わって猗窩座と戦うし、猗窩座との戦闘シーンのBGMはなんか合ってなかったし、魘夢は最後、説明口調で主要キャラを褒めるし、そして、なによりギャグシーンが寒い。でも、エンディングの炎は好き。点数としては、75点。俺は、君の名はの方が好きだな〜」
「はいはい。無限列車編の感想はもういいです。今日は遅いですし、もう帰りましょう」
「田中さん、じゃあね〜。切腹する時はぜひ俺も呼んで。介錯ぐらいなら付き合うからさ」
「もう、変な冗談言わないでください。櫻井さん。それじゃあ、田中さん。おやすみなさい。僕らが帰るからってまた自殺配信なんてしないでくださいよ」
「はい、わかりました」
櫻井の車の中
「じゃあ、次はセブンイレブンだな。佐々木の奢りのエクレア楽しみ〜。あ、電話だ。佐々木、俺のスマホそこにあるから電話取ってから俺に渡して」
「わかりました。はい、なんか業者さんからみたいです。日本刀の件ですかね?」
「はい、もしもし。櫻井です。えっ?あの日本刀、実は本物だった?やっば、早く田中さんの家に取りに戻らないと。おい佐々木、今ニュースで切腹して自殺配信した人がいたなんて報道されてないよな?」
「今はそんなニュースは流れてません。あ、でもTwitterのトレンド1位が切腹自殺配信になってますよ」
切腹自殺配信 @hanashiro_himeka
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます