【 黄色 】

「わ、分からない……。いつまでだろうね……」


 私は誤魔化ごまかすように、そのルイザの言葉にお茶を濁した。


 温かい紅茶を一口飲んでから、今度は黄色のものをポトリとその紅茶へと落とす。

 すると、またそこからプクプクと小さな泡が出てきた。


「もう、3年だよね……。もうそろそろ新しい恋でも始めてみたら……?」


 ルイザは私に気を使いながら、作り笑顔でそう言った。


「そうだ! もう卒業もしたんだし、レンタルDVDでも借りて、気分を変えて、部屋で恋愛映画でも見ない……?」


 ルイザは続けざまに、私にラテンのノリで誘ってくる。


「う、うん……。もうちょっとだけ、待ってみる……」


「そ、そうか……。じゃあ、私先に部屋へ戻ってるね……」

「うん、ごめんね。ルイザ……」


 贅肉とは無縁と言わんばかりのセクシーな体つきをしたルイザは、スッと席を立つと、一度振り返り左手を私に振りながら、このカフェを後にした。


 誰にも言えない私の恋。

 彼がどんなことにあったかなんて……。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る