【 青色 】

 ポルトのフランセジーニャが有名な小さなお店『カフェ・サンティアゴ』。

 今、このお店には、ルイザと私しかいない。


 窓際のテーブル席に座る私たちの元に、西ヨーロッパの眩しく元気な太陽が、このお店の大きな窓から燦々さんさんと降り注いでいた。

 このお店自慢のボリュームあるフランセジーニャを、私は一口パクリと口へと運ぶ。

 パンと肉とチーズと半熟卵が、口の中でまるで、この国の民族舞踊『ランチョス・フォルクロリコス』を踊っているようだ。


 大きな碧眼へきがん(ブルーアイズ)をしたルイザとは、シェアハウスにルームメイトとして、この地で一緒に暮らしている。

 なぜ日本人の私がこの国にいるのか……。


 その時、タイミングよくルイザが私に問いかけた。


「ねぇ、ミッツ。いつまで、彼のことを待つつもりなの?」


 その言葉に、私の小さな体が、この異国の地、ポルトガルにあるカフェの一角で、ピクリと小さく反応した……。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る