サクラ・コンフェイト

星野 未来@miraii♪

【 緑色 】

 右手の人差し指と親指で挟んでいた緑色のものをポトンと落とす。


 すると、褐色かっしょくの液体の中へ、それはゆっくりと落ちて行った。

 プクプクと小さな泡が、一列に綺麗に並びながら、上に上がって弾けている。

 その泡を一人静かに眺めていると、向かいに座るルイザが口を開いた。


「ミッツ、見てごらん」


 ルイザが指さす方を見ると、このお店の中のテレビが、とある国の戦争のことを伝えていた。

 平和を訴える人が、異国の言葉で何やら見たこともない文字の紙を持ちながら泣き叫んでいる。


 その背景の奥の方には、私たちに見せられないものなのか、少しどす黒いモザイクがかかったものが見えた。

 今、この遠い国で起きていること……。


「ミッツの国も大変だったよね」


 赤茶色のロングヘアのルイザが、私の祖国のことを気に掛けてくれた。

 私の祖国、日本で起きたあの未曾有みぞうの大地震のことだ。


 長い睫毛まつげをパチパチさせながら、ルイザが私の顔を心配そうに覗き込んでくる。


「もう、大丈夫だから」


 私は顔を上げると、その作ったばかりの笑顔をルイザの方へと向けた。


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