第18話

 もうこんな時間か。

 時計を見て、すっかり薄暗くなった部屋に電気をつける。

 張っていた気を抜けば周囲の音がよく耳に入るようになった。



「わらわのじゃ~」

「貸すのだー」


 隣室から騒ぎ声が聞こえるので覗きにいく。

 ふたりは魔女っ子ステッキを取り合っていた。


 何やってんだよ、見た目子供だけどあんたらいい歳した大人だろ。

 そんな考えを持ちつつ仲裁するが、一向にふたりとも耳を貸そうとしない。


 しょうがない。

 納戸まで走り、ダンボール箱をあさって月に代わっておしおきするやつの変身コンパクトをみつけてきた。


「ほら、ネミアにはこれを貸してやるからさ」


 中央部を押すとキラキラ光りだす。



「な、なんとー! 魔道具かの? それは」

「おぉー、それもキラキラなのじゃー。わらわによこすのじゃー」

「まぁ、魔道具なのかもな。キラキラ光るし。動力は魔力ではなく電池だけど」


 メルモの頭を押さえつつ、ネミアに変身コンパクトを渡す。

 受け取ったネミアは鏡部分で自分の顔を映してニヤケながらパカパカ開いたり閉じたりやりだした。


「して、この魔道具の効果は?」

「鏡として使える。あとはボタンを押すとキラキラ光る。以上かな」



 ふたりを落ち着かせた後夕食にした。

 今日もご飯と焼いた肉、それに庭に生えてるというか、昔は親が植えてたがそれが勝手に生い茂ったアスパラだ。

 でかくちょっとした木というか藪みたいになっている。

 それでもちょこちょこ小さなよくスーパーで見るような形のアスパラが生えてくる。

 土の栄養不足なのか太さなんかスーパーの半分以下とかだけど、その分柔らかくて自分的にはこっちの方が好きだ。

 それをゆでてマヨネーズをかけるだけ。

 それはさておき、我が家の数少ない野菜のアスパラと肉だけがおかずのわびしい夕食を終えると煩かった二人もすぐ布団に入る。

 電気のなかった今までの生活では暗くなったら寝る、朝明るくなったら起きるという生活だったのだから。

 それにアニメも長時間の視聴は禁止したしな。

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