第15話

 ミリンの独白



 当初結界の外の人間とは言葉が通じずメルモの通訳だけでやっていくつもりでしたが

 設定を少し変更するために今回の話をはさみます。

 メルモが戻ってこないので依頼失敗とギルドの人間が考えたところを変更します。

 依頼失敗だとメルモが来てから彼女らが来るまでの日数がだいぶかかりますが、あまり日をあけずに来たことにします。




 あの子ったらなんて我がままなんでしょう。

 私たちと彼女の合同チームで依頼を受けるはずが独りで先に行ってしまうなんて。

 確かに天才と騒がれてソロで冒険者なんてやってるけど、最近ちょっと調子に乗りすぎっ!

 おねぇちゃんとしてちゃんと注意してあげなきゃね。

 あ、お姉ちゃんといってもあの子の近所に住んでて小さいときから私のことをミリンお姉ちゃんって慕ってくれた子で血は繋がってないんだけどね。


 ギガントランドドラゴン。巨獣の森の奥深くに生息する恐ろしいモンスター。

 一流の冒険者でも気を抜くとやられてしまうことも多いという話だ。


 それをあの子ったら『先に行って倒しておくから、みんなはゆっくりおいでよ』とかいって勝手に独りで行っちゃうんだもん。

 そりゃ、あの子なら独りでも倒せるだろうよ。

 それでも…… もー、勝手なんだから!

 ぷんぷん



 ギルドで依頼を受けた後、今日は準備をして明日でかけようねって話してたのに、宿のおばさんに手紙を預けて勝手に行ってしまった。

 それを半日遅れで私たちは追いかける。

 町からは乗合馬車で森にほど近い村まで行き、そこからは歩いて森に入る。

 どっちに行けばいいのよ。

 先に行くって手紙残してたけど、森のどの辺りに行くかとかの話さえしていない。

 ギガントランドドラゴンは森の奥深くって話だけで適当に行ったんじゃないでしょうね。


 村であの子の足取りを聞き、通ったと思われる森の入り口の小道を見つけた。

 そこで幸運にも我がチームの斥候役、スカウトのモニュがあの子の足跡っぽいものを探し当てることができた。

 最近のもので、ひと際小さな足跡。

 モニュの話では棒か何かで度々草木をなぎ払ったような痕跡も見られるとのことだ。

 ふふっ、鼻歌歌いながら杖を振り回してる姿が目に浮かぶわね。



 煙!?


 鬱蒼と茂る木々の合間から見える空にひと筋の煙がたなびいている。


 もしかしてメルモ!?


 こんな森の中で煙なんてあの子が焚き火でもしているのかもしれない。

 チームの皆で話し合ってそちらの方へ進むことにした。

 しばらく歩くとモニュが血の匂いがすると言い出し、モニュの弟のチッパを先頭に慎重に歩を進める。

 私にも血の匂いが嗅げるとこまで来たときに首のないギガントランドドラゴンの死体を発見した。

 いや、首は近くに切り落とされ転がっているわね。


 やっぱりメルモちゃんよね、ふふ。


 ギガントランドドラゴンにも驚かされたけどなにこれ、お屋敷?

 森の奥深くだというのに立派な建物が目の前に建っている。

 ちょっと自分の目を疑ってしまう。


 そちらに歩を進めると……


「きゃっ」


 なにこれ?

 見えない壁?

 結界かしら。


 こんな危険な森の中で大声を出すのはよくないかもしれないけど、周囲を見回し安全を確認した後大声で呼びかける。


「メルモちゃーん、いるの~? いたら返事してよー」


 何度か叫んだ後彼女が目の前に現れた。


 メルモちゃん!


 よかった。

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