第14話

 翼竜? プテラノドンか?

 いや、確かあれって顔が三角っぽくスリムだったよな。

 それとはちょっと違うし、なんかとげとげっぽい。


「なにをしておるのじゃ、はようこっちに来るのじゃ!」


 車の陰に身を潜めたメルモの手招きに、そちらへとしゃがみ小走りに駆け込む。

 再び上を見上げると、翼竜はこちらへ一直線に滑空してくる。


 狙いは自分たちか?


 角度を考えて、こちらではなさそうだと彼女たちのほうをみると場所を移動している。

 見上げて向きを計算する。


 狙いはギガントランドドラゴンか!


 翼竜がぐんぐんこちらに迫ってくる。



 グシャッ


『ギエーーーー』



 バン

 バン


 ドスン


 翼竜が飛んでいた場所からギガントランドドラゴンまでの直線上に我が家の結界ー見えない壁ーがあり、結界の天井部分にぶち当たりバウンドした後地面に落ちてきた。

 自分だけでなくメルモもミリン、モニュそしてチッパ、みなが白けたじとっとした目で翼竜を見ている。

 それでもいち早くわれに返ったメルモが声をかける。


「早くとどめを刺すのじゃ!」



 メルモの声に我に返ったチッパが剣を抜き駆け出す。

 翼竜はチッパが駆けつける前に意識を取り戻したのか、羽をバタバタ羽ばたかせ暴れだした。

 動き出した翼竜をまずは飛ばせまいとチッパは剣を羽に突き立てた後、そのまま大きく切り裂く。

 地に落ちた鳥は恐れるまでもない。

 モニュの投げナイフが体に突き刺さり、ミリンの風の魔法が頭部に当たりそのまま動かなくなった。



 その様を見ても腰も抜かさず、逃げ出しもしなかった今の自分が少し誇らしい。

 よく成長したよな。

 なんてこの状況の中考えてるのはやっぱ普通の精神状態じゃないか。

 あ~、帰って布団かぶって寝よう。



「どこに行くのじゃ?」


 家に帰ろうとしたが服を捕まれ引き止められた。



「ほれ、あれじゃ、血を洗い流すのに彼らに水をくれてやるのじゃ。わらわにかけてくれたように」


 言われるままにホースを引っ張ってきて、結界越しに水を流してやったら3人は血を洗い流し、がぶがぶと美味しそうに飲んでいる。







 3人は帰っていった。……らしい


 言葉も通じないし、我関せずで仕事してました。

 いや、どうしろというのさ。

 どうもできないでしょ。

 スケジュール遅れてるからね、仕事するしかないでしょ。

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