第11話
夕方……
メールを確認すると、ネットスーパーからのがあった。
なになに……
ご指定の住所に伺いましたが、該当する番地がありませんでした。
住所の確認をお願いします。
という内容だった。
いや、まぁ無理だとは思ってたけどね。
ダメもとで注文だけはしてみてたのよ。
現実逃避だと言われればその通りというしかないけどね。
家がここにあるのはいいとして、地球の自分の家もしくは家のあった場所ってどうなってるんだろ。
とりあえず泣く泣くキャンセルのメールを送っておいた。
朝は雨戸を開け、コーヒーを飲んでから一日が始まる。
この雨戸というやつは都会のアパートに住んでたときは付いておらず閉めることもできなかったのだが、実家に帰ってからは毎日開け閉めしている。
子供時代に開け閉めしていたので習慣になっていたというのもある。
無駄に広い家の雨戸をあけるのをメルモにも手伝わせ、どんどん開けていく。
薄暗かった家内に朝の清清しい光が満ちていく。
スズメのチュンチュンという朝恒例のさえずりが耳に入ることはなく、
『ピー』だの『キョエェーン』だの『グモー』だの日本にいたときには聞いたことのない鳴き声、吼え声が聞こえてくる。
声の主を見てみたい気もするがどんな化け物だろうかと想像するとちと怖い。
……
肉と野菜がなくなった……
日持ちしないので買い溜めしていないためしょうがない。
サンマの缶詰をおかずにご飯を食べる。
食材問題もだが、もうひとつ困っていることがある。
ゴミだ。
今までは月水金が燃えるゴミ、火曜がビンカン、木曜が紙、プラスチック、土曜が燃えないゴミとゴミを捨てるのに困ることはなかった。
(もっとも一人暮らしなんで燃えるゴミも週に1回くらいしか出す必要なかったけどね)
仕方がない、燃えるゴミは庭で燃やすか。
昔はドラム缶や灯油缶を使って庭でゴミを燃やしたりしてたもんな。
生ゴミは庭に穴を掘って放り込む。
ビニール袋、発泡スチロールトレー、この辺りは燃やすと有害なガスがでるからだめだとかなんだとか聞いたことがあるのだが、とりあえず燃やしてしまうか。
燃やせるゴミを庭で燃やし、火の番はメルモに任せるとしよう。
ゴミ捨ての次は洗濯だ。
どこから電気が来ているのか、どこから水が来ているのかてんで意味不明だが、洗濯物を放り込んでスイッチを押す。
「ったく、どこ行ったんだよ」
洗濯ものを干しに庭に行くと、火の番を頼んだメルモが見当たらない。
燃やしてもらいたかったものは一応全部火にくべられてはいるが、少し変な匂いと白い煙が気になる。
お菓子の袋や肉のトレーがやっぱりまずかったか。
辺りを見回すと、車庫の辺りでメルモは両手を上げ手を振ったり、飛び跳ねたりしている。
ラジオ体操か???
メルモのほうに足を運んで驚いた。
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