第5話
「ほうほう、すごいもんじゃ。もしや御主は貴族様かの?」
腰を据えたソファに驚き、大きなガラス窓から見える庭の景色、ではなくガラスに驚き部屋をキョロキョロ見回している。
あ、靴も何も履いてなかったので家に上げるときタオルであんよを綺麗に拭き拭きしてからスリッパを履かせ家に上げてます。
ぷにぷにあんよにほっこりしたのは内緒だ。
「とりあえず、ほっとミルクティとクッキーでもどうぞ」
ほんの少しだけお湯を沸かし、カップにティーバッグと少量のお湯を入れ、その後たっぷり牛乳加えてカップのままレンジでチン。
手抜きロイヤルミルクティだ。
ちなみに自分用にはインスタントの粉マシマシコーヒーだ。
今日は気持ちミルクと砂糖を加えてる。
あ、ちなみにミルクティにはあらかじめ砂糖をイン。市販のペットボトル飲料くらいの甘さにした。
独り暮らしで来客用の角砂糖やスティックシュガーは用意してないのよ。
「ぬぉー、あまい! うまうま、うまうまじゃー」
ミルクティに口をつけ叫び、クッキーを口にし叫んでる。
両手を頬に当てあっちょんぶりけみたいな顔したかと思うと両手をバタバタ振ってテンションあげあげがひと目でみてとれる。
むしゃむしゃぱくぱく、ごくごくあっという間に平らげてしまった。
もちろんミルクティはもちろん熱々ではなくおこちゃま用にぬるめを提供してあるよ。
お中元、お歳暮で贈られるクッキーの詰め合わせ缶みたいなクッキー詰め合わせが、ひとつひとつは小さく、缶ではなく簡易パッケージになってたやつを100均でみかけ、ちょくちょく買っておりそれを皿に移して出してたのだが、物足りなかったようでそのまま持ってきた。
『すぅ、すぅ』
お菓子を平らげお腹が膨れて眠くなったのか、そのままソファで寝息をたてはじめた。
いや、なんもろくすっぽ話が聞けてないだろ。
眠ったならそれでもいいか。
ブランケットを持ってきて、そっとかけてやる。
『ピロン、ピロン』
「あー、わかったわかった。すぐ行きますよ」
我が家の呼称ワークルームに赴き、時計を確認すると10時23分と表示されていた。
モニター画面を確認するとwebカメラの電源もついてないし、PCの前にもいないってことで皆がやきもきというかどうしたんだーってくっちゃべってた。
Utan>すみません、遅くなりました
Kcho>うーたん遅いよ、遅刻だぞ。テレワークとはいえ、出社時間きちんとするようにって社の方針で決まったの知ってるよね
Utan>申し訳ないです
YasuK>寝坊っすか?
Utan>いや、家の外に女の子が倒れてたから、介抱してて遅くなった
nemi>おまわりさ~ん
YasuK>せ、せんぱい さすがにまずいっすよ
Kcho>捕まったらフリーターってことにしてね。会社の名前出さずに自称フリーターのうーたんってことで
Utan>ちょ、かちょー、そりゃないですよ
Kcho>冗談はそれくらいにして、仕事しよう。まじでスケジュールやばいんだって
Utan>らじゃ
nemi>ゝ
YasuK>ゝ
「おーい、タローやー。どこにおるのじゃー」
カタカタと調子よくコードを綴っていたのに自分を呼ぶ声が耳に入ってきた。
しょうがないかと席を立つとモニター画面の端にあるカウンターの数値が止まり離席モードとなる。
残業代の算定に使われるものという話で、通常勤務時間には影響しないという話だが、これ間違いなく評価や査定に響くやつだよな。
そんなことを思いながら小走りで廊下を走ったら、途中にある台所で彼女を見つけた。
「どこじゃー、むしゃ、はぐ、むしゃむしゃ」
部屋の隅に置いてあるスーパーの袋に入っていたクッキーを目ざとく見つけほうばっている。
「あ~あ、こんなにちらかしちゃって……」
開け方が分からなかったのかぐちゃぐちゃに破られた箱は捨て置かれ、クッキーは床にちらばっており、床に落ちたクッキーを拾いぱくぱく口に放り込んでいる。
自分が近づいたのに気付くとニコっと微笑んで声をだす。
「うまうまじゃのぅ」
「コラっ、メっだぞ」
「うぅ、すまんのじゃ。うまうまなのが悪いのじゃ。も、もちろん金は払うで安心するのじゃ」
自分の体をゴソゴソやったあと、顔をしかめて謝罪の言葉を述べる。
「重ね重ねすまんのじゃ、わらわ文無しなのじゃ。持ち物は全部結界の外なのじゃ」
「しょうがないなぁ、100均のだし別にいいよ。それより口の周りにクッキーのカスがついてるよ。服にもいっぱい粉つけちゃって……」
手近にあったタオルを手に取り口を拭いてやり、体の前面をタオルでポンポンっとはたく。
手拭き用のやつだけどまっいっか。
あっ、おっぱいタッチとかじゃないからね。
いやらしい気持ちとか全然ないからね。
ていうか、おっぱいどころかまだ膨らみも全然なかったからね。
イエスロリータ、ノータッチ!
ロリコンおっけー、おさわりだめ、絶対ダメの精神に反する行為をしてしまった。
不可抗力だよね、やましい気持ちなんか一ミリももってなかったし、紳士の精神は失われてないよね。
うんうん難しい顔して考えてたが「みるくちーが飲みたいのじゃ」の声にどこかに飛んでいってしまっていた心が自分の
「はぁ、それじゃぁさっきまでいたお部屋に戻って待っていてくれるかな」
「了解なのじゃ!」
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