犬の名前

 とある場所のとある一軒家。

 そこに仲の良い姉妹がいた。

「そんな近くでスマホ見てると目に悪いわよ」

「あ、お姉ちゃん」

 姉に声をかけられて、妹はスマホから声のした方へと顔を向ける。

 時刻は、23時30分。明日のことを考えるとそろそろ寝ておいたほうが良さそうだ。

 姉は、台所で冷蔵庫から水を取り出してコップに注ぐ。眠たくなってきたのかあくびをしている妹に姉が話しかける。

「で? こんな時間までゲームでもしてたの?」

「ううん。犬の名前を決めてたの」

 妹の返事に姉は首をかしげる。

「ええっと、実は友達の中田ちゃんって子が犬……チワワを飼うことになったんだ。で、せっかくだからみんなで名前を決めようって」

「それで無事に決まったの?」

「なんとかね。いやー普通の名前にしても面白くないからって話になってさ。なかなか聞かないオリジナリティあふれるものが、さっき決まったんだ!」

 名前というのは、大事なものだ。ペットと言う新しい家族のために深夜まで議論するのは、褒められるべきことだろう。姉は、友達思いの妹を誇らしく思った。

「それは、お疲れ様。なんて名前になったの?」

「スカイハイ轟」

「もう一度考え直せ馬鹿野郎」

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