待ちに待った連絡
6月28日に頂いた内容は以下のようなものだった。
——こちらの作品が漫画原作になるかもしれない、と思いましてご連絡させていただきました。まだ決定したわけではなく、まずはお話をお伺いしてみて、というステータスではございますが。
うむ、なるほどということだった。漫画原作になるなんて、夢のような話だ。だからこそ、簡単にいくわけがないということも分かっている。おそらくこのような話を初めて投げかけられたら、もう自分の書いた作品が採用されるのか! と思ってしまうだろう。だからこそ「まだ決定したわけではなく」というニュアンスを付け加えられたのだと推測される。
いやいや、何とも嬉しい話ではないか。こちらは単に趣味で書いていて、もちろん多くの人に読んで欲しいという思いはある。しかし、そんなことは夢のまた夢で、死ぬまで叶わないと思っている。それが、確実ではないにしろ、そこまでの道のりを歩み始めさせていただけるなんて、夢を見させてもらえるなんて。こんな素晴らしい話は是非無下にはしたくない、という思いがあった。
一方で不安もあった。
とにかく初の分野である。これからどのようなステップを踏んで、どのような展開をしていくのか。わからないことだらけである。
こういうとき、大手というネームバリューは役に立つ。きっと変なことにはならないだろう、という安心感が最後の最後で私を支えていた。
そう簡単に漫画原作を書かせていただけるなんて思っていない。しかし例えダメになったとしても、挑戦しなければ元々なかった話だ、どうなっても構わない。また、やりとりをさせていただく上できっと得るものもあるだろう、私は期待を胸に新規コンテンツ開発編集課のH様とのweb会議を楽しみに待った。
その日がやってきた、予定された時間は45分。
ついに今日かぁ〜と思いつついつもの悪いクセが出てしまった。
……そういやあ、なんも準備してないけどいいのかな……
もちろん何か準備してください、なんて言われていない。言われていないと、しない、それが私の悪いクセだ。大人の対応というものは「いいですよ、しなくて……」は、「してほしいんだけど」の裏返しなのだ。
45分の中で、一体どんな話になるのだろうか、それを考え、準備をしておくことが、中身を有意義にするためにも重要なのではないか。直前になって一生懸命考えた。
そもそも、なぜH様は敢えて私なんぞに連絡をしようとしてくださったのか。一般人であれば「詐欺」が最初に上がってくるが、さすがに今回はないだろう。ともすれば、間違いなく立場が上のあちらの方が、下賤なるわたくし何ぞに連絡をくださるということは何らかのメリットがある、もしくはあるかもしれないことを見出したい、もしくはそれを見定めたいと思っているはずだ。
ではメリットとはなんだろう。
私たち素人からしたら、作品とは思いを伝えるツールであり、感動を分かち合う場である。しかし、編集者様たちは(もちろんそれはあっても)一番は違うのではないだろうか。
正直、カネだろう。
ちょっと嫌な言い方をしてしまった、しかし極論はそうなると思う。人の命は地球より重いが、地球がなければ人は生きられないのと同じ。夢や優しさだけでは飯は食っていけないのだ。
カネはどこからくる? それは読者だ。本にお金を出してくださる方々だ。その方々がお金を出してもその作品を得たいと思える作品をさがす、これが編集者様たちの使命だろう。その手段が感動だったり、驚き、というものがあるかもしれないが。
となると、おそらく相手様は「あなたの作品、面白いね〜」という話をするのではなく、編集者様が考えているターゲットが購入してくれるような作品を作るために、私が「役に立つ」かもしれない、と思ってくださったということだ。であれば、この話をより良いものにし、今後もつなげていきたい場合は、次の点に着目する必要がある。
・編集者様が意識しているターゲットはどのようなものか
・それに私のどの部分が役立つとお考えになったのか
もちろん「私はお金のために書いてるんじゃなーい! 私の世界観は私が大事にしているものだから、それは譲れませーん!」といいたければそう言って終わりでもいいだろう。
だが、カクヨムで創作をある程度していて、人に読んでもらうことの厳しさ、喜びを分かっている方なら痛いほど理解しているだろう、自分の書きたいことと読者が読みたいものの違い、そして読者のことを一生懸命考えて作品を作ることの大切さを。
おそらく自分のイメージする創作の世界と、要求されるだろう内容の共通点を探し続ける作業になるだろう。面談が終わった後もそれは間違っていなかったと思っている。
実際に面談を終えてみて、予想通りだったこと、予想外だったことなど、勉強になったことなど驚きの連続だった。また、これからの大まかな道筋も見えてきた。この45分(延長して60分を超えたが)はあっという間で、非常に充実したものだった。
今後、自分と同じような道を辿る方がいらっしゃったとき、少しでも参考になればと今後も記録していこうと思う。
それでは次のエピソードではいよいよその内容について述べたいと思う。
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