薄暗い小道を進むと、壁に埋まるような形で、ぽつん、とお店があった。

 古びた入口で、のれんには食事処と書いてある。商い中と書かれた木の札が、見知らぬ私のことを訝しげに見ている。


 新しいことをしたい私。

 暗い路地にたたずむ怪しい飲食店。

 そして何より、私はお腹が空いている。


 入らない理由はない。背筋を伸ばして、勢いよく引き戸を開ける。

 ガラガラ、という音がしたのは、扉が店内の様子を教えてくれたのかもしれない。しん、として静かだ。

 入口で立っていると、奥の調理場からおばあさんが顔を出した。

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