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「そしてタマは、お母さんのパソコンを借りて、化けねこに詳しい人に相談をしてみたんだねえ。
こんなふうに、人間のふりができるような化けねこばかりで世の中は大丈夫なのか」
「うん」
妖怪にくわしい大人って、いるよね。
「そうしたら、気になることがわかったんだねえ」
昔むかし。
「ほかの化けねこの力を食べて、どんどん強く大きくなろうとした化けねこがいたんだって。
名前は、
でも、封印されているらしいから、ということで、少し安心していたんだけれどねえ」
「……うん」
「それで、その昔むかしの大猫又姫、化けねこたちに術比べを流行らせて、みんな強くなったところを食べちゃったそうなんだねえ」
「ひどいなあ」
なんだかひきょうだ。
「今も。
いろんな町で、化けねこが集まって、人間のふりをしていたら妖怪としての力も強くなるねえ。
その強くなったところをみはからって、町を巡ったら、」
たくさんの化けねこの力を食べることができる。
「でも、そんな想像をしてしまったけど、まさかと思ったんだねえ」
「うん」
「だけど。最近いなくなった人たちはみんな化けねこなんだねえ」
「そうなの?」
クリーニング屋のおじさんも、美容室のお姉さんも?
「そして、化けねこの力を食べられたから、しっぽも一本に戻ってしまって、子ねこになっちゃったんだねえ」
そのとき、窓の外をカリカリひっかく音が聞こえた。それもたくさん。
「わあ!」
ベランダにたくさんの子ねこがいた。どうにかして登ってきたんだね。
「みんな。無事だったんだねえ」
タマが嬉しそうにガラス戸を開けて部屋に招いた。
(どの子ねこがクリーニング屋さんなんだろう?)
「ミルク飲むかな?」
ぼくもお皿の支度をした。
だけど、こんなにたくさんの子猫を見て思った。
これだけ食べて、大猫又姫はいったい何をしようとしているんだ?
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