5
次の日、ぼくとオオモリくんはタムラくんのおばあちゃんの店に集合した。
だがしをえらんで、おばあちゃんと学校の話や家の話をした。
「毎度ありがとうねえ」
「いえいえ。こちらこそ、いつもお世話になっております」
どうしてオオモリくんは、大人みたいにすらすら話せるんだろうなあ。
「ところで、おばあちゃん。気を付けてください」
そして、声をひそめてこんなことも。
「昨日の夜、ぼくたち
「……あらまあ。迷わくかけたねえ。
いやなこと、言われなかったかい?」
「いいえ。いいところで、彼のおじさんがむかえに来てくれたんで、何もそういうことは」
タムラくんの本当の名前がミヤタくんだということは、ぼくらの秘密だ。
そして、タムラくんは先週引っ越していったのだ。それもぼくらとタムラくんのクラスの先生、
「子供にこんなこと気をつかわせて……
仲良くしてくれて、ありがとうね」
タムラくんは、先週ぼくらとここで小さくお別れ会をした。そのときおばあちゃんに、粉ジュースをおみやげにもらったんだ。
(家族なんだけどね)
会ってはいけない事情があるんだ。そういうお家もあるんだ。
いつか解決するまで、だまって信じて待っているのよ。お母さんからも言われた。
「あら。タマがさんぽに来た。
おいで、おいで」
タマはゆうゆうとふたつに分かれたしっぽをゆらしながら歩いて、おばあちゃんについていった。
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