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「夜道は、あぶないねえ」


 タマは、ぼくが水曜日に学習塾がくしゅうじゅくへ行くようになったのを心配していたみたい。

 水曜日の五時から七時まで。場所は商店街。小さいところなんだ。


「たしかにタマがおむかえしてくれると助かるけど」


 お母さんが言う。


「でも、知らないおじさん、て、かんちがいされないかな?」


 たしかにその心配はある。

 このあたりで見かけない顔。悪い大人とまちがわれるかもしれない。


「あんまり無理しなくていいよ」

「むう」


 なんとなくタマの顔を見てわかった。

 タマ、じゅくにも興味があるのかも。


「タマ。おむかえは、ねこのままでいいよ。何かあったら、よろしくね」

「むう。

 なにかわるいニンゲンがきたら、大きくなっておどかせばいいかな」

「お母さん、あんまり目立たない方法が助かるかなあ」

「むう」


 タマは考えこんで、うでを組んでいる。


「タマ」


 お母さんに聞こえないように言った。


じゅくの国語の時間にも興味があるの?」


 にっこりしてうなずいた。


「やっぱり」


 わかったところで、ぼくは話題を変えた。


「タマ、粉ジュース飲んでみる?」

「甘いやつだね?」


 あんまり好きじゃないみたい。


「タムラくんのおばあちゃんがくれたんだよ」

「じゃあ、飲む。うすくしてね」


 タマは、タムラくんのおばあちゃんが好きなんだ。

 だがし屋さんをやっているんだけど、タマがあそびに行くと、にぼしとか、おやつをくれるんだって。

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