2
うちは、ペット可なんだよ。いいでしょう。
「おかえり」
この日のタマは、声だけで姿が見えなかった。
「小さくなってみたよ」
どーこだ?
「足もとじゃないよね?」
ふみつけたらたいへんだ。
「ふふふ」
くつ箱の上の、花びんのかげにいた。
「ただいま」
「あそぼうよ」
「今日は宿題あるんだよ」
お母さんは仕事でおそい日だから、夕ご飯は冷蔵庫にある。開けてみたらグラタンだった。
「洗たくもの、たたむよ」
タマはぼくが宿題をしている間、お手つだいもする。
人間の姿になって、人間の手で器用に仕事をしているつもりなのだけれど、時々あんまり上手にできていなくて、大きなねこが洗たくものを集めていた、と、近所の人にびっくりされたことがある。
「牛乳とクッキーもあるよ」
「うん。あとで食べる」
みんなにいいことを教える。
化けねこになると、ねこの手でもおいしいお菓子を焼ける。
「『あした天気になあれ』をしようよ」
ぼくが宿題にあきてきたころ、タマが言った。
「いいよ」
ぼくとタマの『あした天気になあれ』は、ぼくがタマをふわり、と放って、タマがくるくると空中回転し、きれいに着地をする、という遊びだ。
タマがもしもお腹を出して着地をしたら、明日は雨なのだが、タマはそんなへまはしない。
「『あした天気になあれ』」
二回転して、着地。
「『あした天気になあれ』」
三回転一ひねりで、着地。
「あしたは晴れだね」
晴れだといいね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます