第5話 サキュバスを呼び出そう!!

俺は1人で座ってラノベを読んでいた。やはり白髪はくはつの美少女が出てくるラブコメは面白い。まぁいつも通りだ。時計の針は10時47分を指している。休み時間終了まであと3分か…

「またエロ本読んでんじゃん!きっも!!」

「ブックカバーなんて意味ないよ?だって中身知ってるし!」

また始まったか…今日はあと3分しか時間がないのではやく済みそうだ。

「え、なに?無視?」

「エロ本にしゅーちゅーしてんだよ〜♪」

「なるほどねぇ!ギャハハ!!」

はぁ…これだからバカは嫌いなんだ。

「さすがにイラつくわね」

そう言って俺の本を奪う。

「っ!」

「えーなになに?「コンビニの常連になっただけの俺が白髪美少女を筆頭にモテはじめたんだが!?」ってタイトルなっが、ギャハハハハ!!こんなんが面白いわけ?」

「…」

我慢だ。こういうバカは相手にするだけ無駄だ。

「こんなん読んでっからモテねんだよ。あっ!こんなん読んでなくてもモテねぇか!!ブスだもんな〜!!」

「ギャハハハハ!!」

クラス中で笑いが起こる。今までこっちを見てなかった奴らまで笑ってやがる。そんなにこのくそが怖ぇかよ。だせぇな、ほんと。

「それに何この白髪しらがの子。こんなんが可愛いわけ?こんなんが好きとかほんとキモイ!白髪しらがなんてババアじゃ…」

「まぁお前に比べたら若く見えるけどな」

っべ!声に出てた。

「あんた舐めてんの?ブスに見た目のこと言われる筋合いないんだけど?」

「見た目をイジるとかサイテー。顔もブスで中身もブスとか救いようないじゃん」

コイツマジか…自分てめぇが何言ってるか理解してねぇのか?

「あーマジ気分害したわ〜。早く償えよ」

そう言って手をこっちに向けてくるクソ女。手を差し伸べてくれてる訳じゃなさそうだな。うん、まぁ当たり前か。

「何?分かんないわけ?金、金だよ。悪いことしたら罰金だろ?」

「金なんてねぇよ。あるのは眠気だけだな、すまん」

「まっ、払わないなら払わないでいいけどさ、アタシの彼氏怖いよ?」

またそれか。ねっむ。

机に伏せ始める俺。まったくチンパンの相手は疲れる。

「泣いたの?だっせぇ〜」

「だっせぇ〜」

「ギャハハハハ!」

先生が入ってくる。

「せんせー大宮くんが泣いてまーすっ」

「なんかちょっと本見せて〜って言ったらやましい物がバレて泣きましたぁ〜」

笑い声が起こる教室。

「大宮、女子のほうが多いんだからこの様な本を学校で読むのはやめときなさい」

そう。クラスで男子は俺1人。イケメンじゃないと許されないこの世界クラスで俺は悪者。これが俺の日常。教師も使えたやつはいねぇ。あー、眠。

ここで俺の意識は途絶えた―










…。

………。

……………。

「ん…んん〜」

久しぶりにあの夢を見たな。思い出すだけで反吐が出る。幸せな夢を見たときは起きた瞬間忘れちまうのにクソな夢を見た時は記憶にこびれ着くのマジでなんなん?うぜぇよな。

最悪の自己紹介が終わってギャルとLINEを交換して家に帰ったら妹と同居人が酔っ払ってて、妹から重大な告白をされてキスされて、意味わかんないアナウンスが頭で流れた厄日から1日が経った。俺はらんぷにベッドを奪われたのでリビングのソファで寝ていたのだが…

「…腰いてぇ」

時計を見ると今の時刻は10時50分。奇しくもあの夢と同じくらいの時間だった。また俺に思い出さそうとしてんのか?神は俺には厳しいらしい。

「あいつら起きてんのかな…」

俺は様子を見に行くため自室へ向かった。

ドアを開けると部屋の真ん中で野垂れ死んでいる金髪と人のベッドでヨダレを垂らして寝てる白髪がいた。

「というかこの部屋酒くさっ!」

俺は部屋の窓を開ける。朝の春風が気持ちいい。

「…ん、んん〜」

「おお恋美おはよ。大丈夫k」

「あったまいたーーーーーーーーーーーい!!!!」

「だろうな…つかお前昨日の記憶あんの?」

「昨日?昨日はらんぷちゃんとお酒飲んでから記憶ない…」

「だろうな…」

唐突に自分を抱きしめるポーズをとる恋美。

「え?いや、ナニヤッテンノ?」

「兄貴、昨日まさか私と…」

「違ぇわ!ヤッてねぇわ!童貞歴16年なめんな!!」

「なにその悲しい弁明。まぁ兄貴のヘタレ加減はよく知ってるけどさ」

これで信じてもらえるとかどんだけ拗らせてんだよ、俺。

「どちらかというと襲われたんだが」

「…は?何言ってんの?きも」

「あと本当は血が繋がってないことも聞いた」

「…あの、私はナニヲシテシマッタノデショウカ…」

俺は起きた事を全て話した。珍しく恋美が狼狽えているのを見てちょっと嬉しかったことは秘密だ。

「…というわけなんだが」

「きっ、キスは嘘だろ!キスは!!」

「これがほんとなんだなぁ」

「うっわマジで腹立つ!二度と酒なんて飲まねぇ!」

「なぁお前、俺のこと好きなのか?」

「んなわけねぇだろ!血は繋がってなくても15年兄妹やってんだよ!!さすがにねぇわ!!ラノベの読みすぎだろ!きもい!死ね!死ねーーーーー!!」

必死すぎるだろ…あと顔が赤いし。俺は安らかな笑みを浮かべる。

「その顔で見てくるのをやめろ!!」

俺のことをポカポカと殴る恋美。女ってのはこれしないといけない決まりでもあんのか!?結構痛いんやぞ!

「わかった、わかったから。んでなんでお前は血の繋がりがないことを知ってて俺は知らねんだよ。というかどっちが義理の子供なんだ?」

「質問が多いな…はぁ」

別に多くなくない?

「まず1個目の質問だけどお父さんとお母さんいわく、響に言うと恋美を女と見ちゃって童貞丸出しで喋れなくなるだろ。だそうです」

親が言うには酷すぎないか!?これもしかして俺が義理の子供のパティーン!?

「両親は次会ったらシバくとして2つ目は?」

「2つ目の質問は…私。私の親はお父さん達の研究仲間で研究の途中でウイルスを吸っちゃって死んだらしいの。それで産まれたての私を引き取ったらしい」

「それでお前だけ金髪なのか…今までおかしいと思ってたんだよ。まっ、可愛いからなんでもいいが」

「…きもい。きもい!きもい!きもい!」

「なっ、なんだよ!照れてんのか?可愛いなまったく〜」

「だからきもいって言ってんだっ…ろっ!!」

「ぐへあ!!」

腹パンをくらった。響に1020のダメージ!!

「すいませんでした…」

「あんま調子に乗るなよくそ兄貴。あと私がキスをした事も忘れろ!!」

「それは忘れられねぇだろ!?ファーストキスだぞ!ファーストキス!しかもこんな美少女と!!」

「…バカ!!」

恋美は部屋を出て行ってしまった。

「…なんだよアイツ」

何はともあれ恋美のことは色々分かったな。マジで両親あいつらは許さん。

「ふぁーーあ。響?なんで!?なんでいるの!?変態!?へんたーーーい!!」

「ここ俺の部屋!!」

「なんで!?響まかさ…私を連れ込んでえっちなことを!?」

恋美と同じポーズをとるらんぷ。

「ヤッてねぇわ!!てめぇらすぐ人を性獣扱いしやがって!!」

「でも私知ってるのよ!響が白髪好きだって!!だって白髪の可愛い子が写ってる本がたくさんあるし、しかもベッドの下にはえっちな白髪少女たちの本が…」

「よーし1回黙ろうか!らんぷちゃん!!」






らんぷに事情を説明し終わった。なぜ酒を飲んだか聞くと、ランプにいた時は辛い事があったとき酒を浴びるように飲んでたから癖でついやってしまったらしい。そして恋美をそれに巻き込んだ。

「酒の話は分かったけど、今度からは気をつけろよ?」

「え?…止めないの?」

「癖ならしゃーないしさ。でも次泥酔したらマジでおっぱい揉むからな?」

「おっぱいくらい揉まれても構わないわよ?それ罰になってる?」

なんでコイツはこんなにおっぱい触られることに抵抗がないんだ。

「お前、あんまりそういう事言うなよ?ほんとにヤベェ奴はおっぱいじゃすまないからな?」

「うん?」

「それで、魔人協会ってなんなの?」

そう、問題はこれだ。あの頭のアナウンスの事もあるが、何より危険な宗教団体だったりしたら今すぐにらんぷを脱退させなくてはならない。まぁたぶんこの世の物では無いだろうが。

「魔人協会って言うのはね、私たちが所属してるグループみたいなもので私たちを管理してるの」

「私たち?他には誰がいるんだ?」

魔人協会っていうくらいだし○○の魔人がたくさんいるのだろうか。ランプ以外は思いつかないが。

「そうね…ドラゴンもいるし、伝説の悪魔とか魔法使いとか…あっ!桃太郎とか!」

「桃太郎!?」

「そうそう!召喚される系の人達が集まってるの!」

桃太郎って召喚される系か!?要は異世界アニメで召喚されがちな奴が所属してるってわけか。桃太郎については議論の余地があるがそんな事より大事なことがある。召喚される系が所属しているという事は…

「おいらんぷ」

「どうしたの?真面目な顔で」

「サキュバスはいますか?」

「…」

「…」

「…」

「…」

「…」

「…いるわ」

ひゃっほーーい!!というかこの間何だったの?

「今すぐ呼び出そう!だから呼び方を教えてくれ!」

「いいけど…後悔しても知らないわよ?」

後悔?分かっているさ俺が全部吸われてしまうことなど…それを承知でやるのが男ってもんだろ!いやっほぉーーーい!!

「サルでも分かる!サキュバスの呼び出し方!!」

「なんかはじまった…」

①どこでもいいので半径がまぁ1mくらいの円を描きます。

②描いた円の中に星を描きます。

③台所へ行きます。

「なんで台所なんだよ?」

「まぁ黙って聞きなさいな」

④卵料理を作ります。

「それってなんでもいいのか?」

「卵料理ならなんでもいいわ。でも私も食べたいから目玉焼きでお願い」

おい…

⑤さっき描いた魔法陣の上に置きます。

「置いたけどこれでいいのか?」

「ええ、後はこれに」

「これに?」

「…その、えーっと…」

「なんだよ、もったいぶらずに言えって」

「……き」

「え?」

「男性の精液って言ってんの!!」

「男性の精液!?」

聞き間違いじゃねぇよな、男性の精液ってあれか?せーから始まってしーで終わるやつか!?もやしみたいな見た目のあれか!?あれなのか!?

「だから早く出しなさいよ!!」

そう言って俺の秘蔵の白髪はくはつコレクションを出してくるらんぷ。

「おい!やめろ!!それを出すな!!」

「このラミィちゃんと遊ぼって本、なんかベリベリしてるわよ?」

「やめろ触るなぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「あっ」

俺がらんぷから本を奪おうと攻防していると、らんぷが本を目玉焼きの上に落とした。

突然目の前が輝き出す。まさか今出してないやつでもできるのか…

あぁ〜はやく搾りとって貰って死のう…これはまずい。

「えっ!えっ!なんで!?あの本そんなに凄いものだったの!?なんで言わないのよ!!」

「あっ、うん、そうなんだよ!ハハ…すまんすまんハハハ…」

らんぷにはバレていないようだ。良かった…

そして光が収まる。そこには…

「なにこのせーえき。古くない?マジでふざけんなって感じ〜」

黒色のニワトリがいた。


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