第4話 今日も疲労、明日も疲労
「じゃっ、じゃあ今日は…ここ…まで各々テキトーに帰りなさい…先生はもう帰ります…さようなら…」
なんとか地獄の自己紹介が終わった。担任はフラフラと教室を出ていく。
「…らんぷ、帰るか」
「うん…そうね…」
らんぷはお疲れだった。
「やっぱ2人は付き合ってる系??」
帰ろうとカバンを持とうとした所で声が掛かった。
「え!?え!?やっぱ2人で帰るのぉ~?ヒューヒュー!」
声を掛けて来たのは先程の自己紹介で助動詞のほうがいいとか意味のわからないことを言っていたギャルっぽい、らんぷの前の席の子だった。
「もしかして、俺とらんぷのこと?」
「もしかしなくてもそうじゃね!?名前で呼んでて一緒に帰るとかそれ以外なくね!?」
どうやら何か勘違いをしているらしい。よく考えてみれば付き合ってもいない家族でもない男女が同じ家に住んでるのってすごく変な状況なのでは?
「んで!やっぱ付き合ってるの!?ねぇ!」
「圧が強い…付き合ってねぇよ、なぁらんp」
らんぷはもう既に帰っていた。
どんだけこの空間が嫌だったんだよ…
「見てわかったろ、あいつ俺を置いて帰りやがった。付き合ってたらそんなことないだろ?」
「いや、私にはわかるね。私だって授業でCan様が出てきたら恥ずかしくて帰りたくなるもん。今のはらんぷちゃんが恥ずかしがっただけだね。乙女のことなら任せておいてよね!」
たぶんこいつ乙女のこと任せられない奴ランキングトップ3には入るわ。
「あっ!そうだ!!響くん女慣れしてなさそうでらんぷちゃんと上手く行かない時に大変だと思うから相談用に私のLINEあげるよ!!」
スマホを向けてくるギャル。ん?つかこいつ俺の名前も覚えてる。らんぷは目立つから覚えやすいだろうが俺みたいなTheモブの名前まで覚えれるとはギャル恐るべし。
「俺、お前の名前知らねぇ」
「え?」
「いや、悪いんだけどさ俺、自己紹介クセが強い奴が多すぎてほとんど飛んじまったんだ。だから名前、教えてくれねぇかな?」
「うん!私の名前は
俺は生まれて初めて女の子と連絡先を交換した。
「た、ただい…ま…」
らんぷのやつ俺を置いて逃げやがって…願いはあと1つ残ってたはずだからな。罰として裸エプロンにしてやるぜ…へっへっへ〜俺を怒らせたらどうなるか思い知らせてやるよ…
響もまた、疲れで頭がおかしくなっていた。
俺はらんぷを裸エプロンにするべく自室へ向かう。階段を上がり部屋の扉の前に立つ。
「ん?」
「まーじで飲まりゃきゃやってらんないあよ」
「ほんとにらいりょうぶなの?おにいたんかえってくりゅよ?」
なんか…酔ってね!?いや、酔ってるよな、明らかに飲んでやがるよな!?
俺は部屋の扉を勢いよく開ける。そこには缶ビールを7本、レモンサワーを4本、瓶の日本酒を2本の空き缶と空き瓶と制服をはだけさせたらんぷと、モコモコのパジャマをはだけさせた恋美がいた。
「おい!お前ら何酒飲んでんだよ!!」
「あっおにいたんおかえり〜」
「ひびき〜きゃえったのね」
「おにいたんって何だよ!?キャラ崩壊してんぞ!いつもの毒舌はどうした!?毒舌は!?というかお前ら呂律回ってねぇ!!」
なんか調子狂うな…
「どきゅじぇちゅ〜?いつもおにいたんにちゅよく当たってるから?ごめんね…でも私おにいたんの事が嫌いな訳じゃないんだよ?あっ!そうだ!!ギューってしてあげるね?」
「なんでそうなるんだよ!!」
「照れなくてもいいから。ね?」
「ね?じゃねぇし!おい、やめろ、にこにこしながらこっちに寄ってくるな!!っ!」
俺はじりじりと寄ってくる恋美からゆっくり離れていると足を滑らせてしまった。そしてその瞬間俺に手を添えていた恋美も一緒に転ける。
ムニュ
顔に柔らかいものが当たる。
「いてて…」
「もう。おにいたん私のおっぱいに顔埋めたかったならそう言いなよ。いっぱいしてあげるから」
は?今コイツなんて言った。俺が恋美のおっぱいに顔を埋めたい?つかこれ恋美の柔らかさなのか?コイツいつの間にこんなデカく…つか、は?なんでこんな大人のビデオみたいな展開になってるわけ?コイツは俺の実の妹だよな?え?いつからラノベになった?いつから大人のビデオになったんだ?もしかしてあれか?一体いつからこの世界がラノベの世界じゃないと錯覚していた?ってやつか?いつの間にか俺はラノベ主人公の仲間入りをしてたのか?いやいや落ち着け俺。これは現実だ。俺の婆ちゃんもよく言ってただろ。おっぱいが大事なときはおっぱいだと。ん?ん?ん?もう何言ってんのか分かんねぇよ!婆ちゃん!!俺の頭はおっぱいになっている!いや、よく考えろ。妹だぞ?今まで16年間一緒だった妹のおっぱいだぞ?興奮する要素があるか?いやある!童貞、彼女いない歴=年齢の俺だと女性の温もりってだけで興奮してしまう!!まずい我が息子を沈静化せねば。沈静化?ちんだけにってね笑笑
ってちがーーーーう!!とにかく恋美にやめさせないと
「べびばべろお」
「何?おにいたん」
埋まってて喋れねぇぇぇ!!
もうこのまま身を任せてもいいかもしれない…神様が言ってんだ。このまま身を任せろって。そういう事だろ。うん、そうだ。
「そうだおにいたん」
「?」
「私たちじちゅはほんとの兄妹じゃにゃいらしーよ」
「もぐぁ!?」
「てかねみゅい。おやすみおにいたん。ちゅ」
そう言って恋美は俺の唇にキスをして寝てしまった。
…。
一旦思考を整理しようか。妹が実は血が繋がってなくてしかも俺にキスをしてくることって世間一般的に見てもよくある話だよな。
………………………。
妹が実は血が繋がってなくてしかも俺にキスをしてくることって世間一般的に見てもよくある話か?そっか。そーだよな…
……………………………………………。
妹が実は血が繋がっなくてしかも俺に……。
ねぇわ!!んなことなかなかねぇわ!!怖い怖い!あまりにも自然すぎて一瞬普通のことかと思ったわ!!あーぶね。あっぶね。恋美と俺は血が繋がってない!?はぁーーーーー!?意味がわからないんだが!?いや分かるよ?わかるけどわからん!!
「れみちゃんねちゃったの〜?というかひびきどちたぁ?」
そいやコイツもベロベロだったな。恋美が寝ちまった今、血の話はできねぇ。だからとりあえずコイツに何でこうなったかを尋問するか。
「おい、らんぷ」
「にゅ〜?」
蕩けそうな顔しやがって。………。可愛いじゃねーか。
「きゃお赤いよ?どしたのひびき?」
「うるせぇほっとけ。んなことよりどうしてお前ら酔ってんだ」
「酔ってらいよ〜ぜんっぜん!酔ってらい」
「酔ってるだろ…呂律も回ってねぇぞ」
「酔ってらいって!それよりれみちゃんひびきにちゅーしてた。感想は?どうりゃった?」
そう言って前のめりになるらんぷ。
「感想って…今はお前の谷間が気になって話にならん…」
「何よ〜!恋美ちゃんのおっぱいじゃ満足できないの〜?へんたーい!へんたーい!」
「うるせぇ!お前らは美少女なんだからもっと気を使えよ!!俺は!男子!!高校生!!!だぞ!!」
「そんなに褒めてもおっぱいしかでにゃいぞ〜!!」
「出すなバカ!やめろ!!つかお前絶対変態だろ!初めて会った時もおっぱい触らせようとしてきたし!!」
「違うわよ!!女の子に変態だにゃんてサイテー!そんなんだから彼女の1人もできにゃいのよ!!」
コイツ人が1番気にしてることを!!
「お前そんなこと言っていいんだな!?お前はあと1回俺の願いを叶えないといけないんだ!!…というわけで、裸エプロンでご近所1周してきやがれ!!」
「お願い。それだけはやめて、おっぱいでもなんでも揉ませてあげるから?ね?」
「もう遅いッ!さっさと行ってくるんだな!!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!!それだけは勘弁して!魔人協会に申請通ったらほんとにしないといけないから!!お願い今すぐ取り下げて!!」
「はっはー!!なら本気でするがよい!!はっはっはーー!!」
俺に逆らうとどうなるか教えてやる!!
その時俺の頭の中にピーという音が流れる。
<こちらは魔人協会です。こちらの願いは犯罪性を含むため了承しかねます。代わりの願いをこちらからご提案させていただきますと、「裸エプロンで1日御奉仕」というのはどうでしょうか?願いを取り下げるのであればお手数ではございますが願いを破棄する旨の事を言っていただきたいと思っております。最後になりましたが、いつもランプの魔人をご利用いただきありがとうございます>
なんこれ。まず魔人協会ってなんだ?しかも変なことまで提案してくれたし。よくわからんがらんぷに今度聞くか。
「じゃあ破棄で」
「ありがとう!!ひびき〜!!大好き!!」
おい、気安く大好きとかいうな勘違いするだろ。
らんぷはそう言うと俺のベットで寝てしまった。
「寝るの早っ!」
はぁ。明日は聞くことがたくさんだ…絶対疲れる。
明日の疲労が確定した瞬間だった。
「俺も寝るか…って寝る場所がねぇぇぇぇ!!」
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