第四話 異世界「地球」

それは地球という一つの世界の「日本」という国のこと。


俺は小鳥遊祐樹二十五歳。 職業サラリーマン(社畜)。

今夜も残業確定コースです。


「せんぱーい そんな仕事も終わらないんですかぁ?」


といつの間にかコネで入社した山田という女子社員が俺を煽ってくる。


「仕方ないだろ。 何故か納期が明日までなんだし」


いつも通り俺は適当にあしらう。


「先輩はノロマですねぇ、手助けしてくれる天使が欲しいんじゃないですかぁ?」


こいついちいちやかましいな? 頭を小突いたらクビになっちゃうかな?


「いらんわそんなもの。 一銭の得にもならん」


そっけなく返してみる。


俺は山田が入社してからなんと十五日連続の残業をさせられている。

理由はわからんし、半ブラックなので残業代は出るからまぁ良しとしている。

二十三時を回りそろそろ残業も終わりという頃


「ふあー… やっと終わるぞ… あれ?山田?まだ居たの?」


「先輩がノロマだから悪いんですよぉ」


訳が分からん。 まぁなんとか生きて二人で帰路につく。


「あーあ、大学で彼氏でも作っておけば良かった...」


山田がぼやく不意にぼやいていく。


「なんだ、山田? 彼氏居ないのか? 結構可愛いのに不思議なもんだなぁ」


「先輩そんなこと言ってるとセクハラで訴えますよ?」


やめてくれそんなことされたら秒で首が飛ぶ!

ここで俺はトイレと晩飯にコンビニに寄ることにする。

山田に一声掛けないとな...。


「あ、悪い、そこのコンビニ寄っていい?」


「いいですよぉ」


「すまんな!」


コンビニで晩飯に好物のカルボナーラとサラダ、飲み物に雨印のコーヒー牛乳を買った。

そしてトイレを済ませ、山田の元へ戻る。


「せんぱーい! 遅いですよぉ!」


「すまん、またせた!」


その瞬間、刃物を持った男が何かを叫びながら山田に突進して行ったのだ。


俺は走り山田を咄嗟に庇い。 男をぶん殴る。 あぁ、俺、反射神経良すぎ...。 剣術やってて良かった...。


「先輩!!!」


山田の必死な叫びと、辺りの喧騒を後目にどんどんと意識が途切れていく。

俺はもう死んじゃうのかな? それとも重症で済む?

もう訳が分からないが刺されたところが熱くて冷たい。

矛盾を孕んだその感覚もどんどんと無くなっていくのが分かる。


意識が遠のいていく。 そんな中、俺は不思議と「魂が体から抜け落ちるような感覚」に襲われる。


やばい! これ抗わないと死んじゃう奴だ! 必死に抗うがもう、様々な感覚から来る無力感に襲われてしまい抵抗なんて出来なかった。


なんでだろう、まるで「違う世界」にでも行っちゃうんじゃないのかな。

小説の中みたいに。


まぁどちらにせよ、こんなことなら彼女でも作っておけばよかったな...。

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