第3話 俺の正体

俺には前世の記憶がある。


俺の前世は日本という国に住んでいた。


元は妖怪であったが人間と交配しその能力を失った一族。


元の妖怪は『牛鬼』だが、時代が変わり妖怪が生きられない世界が来た為、変化能力を身に着け人間と交配をし…半妖となり、更に交配を続け、血は薄くなり今や普通の人間と同じ…


人間と交配しその能力を失った一族、それが俺の一族だった。


一族の殆どにはその能力は無くなっていたが、俺は先祖返りなのか一部の能力が宿っていた。


牛鬼という妖怪はどういう者なのか? 


本来、牛鬼という妖怪は死なない。


正確には死なないのではなく、殺した人間が『牛鬼』に代わってしまう。


簡単に言えば殺した人間の体に乗り移り自分の物にしてしまう。


そういう妖怪だった。


本来はその姿は牛鬼になる筈だが…俺の場合はそうはならない。


人間と交配をした結果、牛鬼の血は薄くなり、性質が変わったせいか相手の姿のままだ。


まぁ、殺した相手と入れ替わってしまう、そんな感じだ。

恐らく相手は死に掛けの俺の中で死んでいくのだろう。


しかも、この世界のジョブやスキルの仕組みは解らないが、前のスキルやジョブは持ち越せるし、相手が持っていたスキルやジョブもそのまま残る。


これが俺の今の能力だ…

セレス

ジョブ 勇者(ポーター)

スキル 聖魔法 光魔法 聖剣の使い手 限界突破 剣の才能(極)

(固有スキル 【牛鬼亜種】)


この固有スキルや(  )の中は他人にはなぜか見えない。


俺は本来は牛鬼という妖怪なのかも知れない。


能力があるという事は最低でも妖怪の血は混ざっている筈だ。



だが、この世界に転生した時から、その前もほぼ人間として過ごしてきたから人間として生きたい…そう俺は思うんだ、だからこの能力を自分から使ったことは無い。


リヒト、お前が俺を殺さなければこんな事にはならなかった。


リヒト、お前の人生は俺が代わってやるよ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る