第7話 プレゼント

朝起きると、純さんがご飯を支度していた。そしておはようとあいさつをしてくれた。おはようございますと挨拶を返して、朝の食事の支度を手伝った。手伝うことが終わり、食事を始めた


「いただきますっとな。しかし、手伝わされるとは思わなかったよ」

「1時間ぐらいでしたよ?」


夏野菜を採った後、自分と純さんは畑の手伝いをした。軽い細々とした作業を1時間ほどやった。純さんはぶつぶつと何か言いながら不満そうにしていた。手伝いをしていると、里子ちゃんのお父さんから、お小遣いを頂いた。正直、1時間で2000円は割に合わなくて、申し訳無いと感じてる


「いいよなぁ〜渡くんはお駄賃もらっているくせに、オレにはないんだもんな」

「なんか、申し訳無いです」

「気にすんなってよ!それより、目にくまができてるよ。休んだら?」

「そうですか、でも宿題があるので」



朝のうちは頭がとてもスッキリしていて、作業がしやすい。その時間を取り逃したらもったいない。そこで寝てしまったあとはずっと頭がぼんやりとしてしまう。だから朝にいつもやっている。


「あんま無理はしない方がいいよ」

「えぇ、そうですね。やることはやるべきですから」

「本当にいい子だなぁ」



部屋に戻った。宿題をやるため、座布団に座り込み筆記用具を取り出した。あと半分ほどはすでに終わっているが、まだ量はあることにはある。

やらないといけないという気持ちを感じて、数学のワークを出した。栞代わりに伏線で貼っているところから始めた。だれでも分かるような問1の問題が分からない。得意な単元のところだ。だけど、集中ができない。頭の中で浮かんでくるものは眠気。

眠気には勝てないみたいだ。自分はおとなしく横になった





女の子の声がする。夢で時々そういったことはある。これも夢だと考えた。もう少し、寝てたい気持ちがある。何も考えないようにしよう。稲妻が体から走った。あまりの衝撃の痛みで体を起き上がった。人がいる、分からない。誰かも少し分からない。誰だろうか?


「誰なんだ!」

「私だよ、渡くん。なんかお昼ごはんも食べてないんだって?」


時計を見た。1時になっている。お昼ごはんの時間が過ぎている。まずいと感じて

頭の中を巡らせた。でも、ただ一つだけ分かるものがある。お腹がすいていることだ

ということはどうすればいのか、分からない。


「しまった!」

「純さんが用事で家を出ちゃったみたいだけど。それで、ごはんはうどんがあるから茹でて食べといて欲しいって行ってたよ」

「なるほど」


なるほどと言ったが実際は少し理解を追えていない。とりあえず、お昼は問題ないことが分かった。僕は部屋のふすまを開けて台所を向かった。しかし、手を掴まれた。

そして何か包まれた物を差し出してきた。


「プレゼント。開けてみて」


中を開けてみると何か布の記事が入っている。取り出したてみるとエプロンだ。ところどころ手縫いらしき場所がある。これはお手製のエプロンなのだろうか?しかしながら、しっかりと出来ている。これをわざわざ作ってくれたのだろうか?


「エプロンだね。ちょっとつけてみようか」

「嬉しい!それ、暇を見つけて作っていたんだよね」

「これ、簡単に作れるものじゃないでしょ?」

「簡単だよ、気持ちを込めればあっという間にできるよ」


ありがとうと言って台所に向かった。鍋を取り出して水を入れた。沸騰させて、麺を入れて茹でた。家でも作ったから割と手慣れているものだ。僕は麺が入ったザルを持っていった。そして飲み物を持っていき、席に座った


「いただきます」

「ねぇ、これ量はあるけど一人で食べれるの?」


迂闊なミスをしてしまった。いったい何を考えていたんだろうか、お腹が空きすぎて頭が回らなかったのかもしれない。でも、しっかりと作った分は食べないといけない

時間が経つにつれて、鮮度も落ちて美味しくなくなる。だから、責任をとって食べないといけない


「たぶん二人前だと思う。いつも純さんがいるから、二人分作ったのかもしれない」

「じゃあさ、私も食べるよ!ちょうどお腹が空いていたんだよね」

「じゃあ持ってくるよ」


里子ちゃんの分の飲み物とお椀にめんつゆを入れて持ってきた。里子ちゃんは目をキラキラとかが痩せている。お昼ごはんを食べていなかったのだろうか?お腹すいたと何度でも言って子供のようだ


「持ってきてくれてありがとう。やっぱり似合ってるね」

「いや、そうかな。ありがとう」

「エプロン似合う男の子ってステキ。私、渡くんと一緒ならいいのに」

「恥ずかしいな。冗談でしょ?」


里子ちゃんは恥ずかしそうに、ホントだと言っている。その姿を見て笑ってしまった。こんな毎日が続いたら良いのにと心の隅で思えた。帰る日は日に日に嫌でも近づいてくる。この笑顔は崩したくないという気持ちが入り複雑になった。

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